患部局部のみの筋硬化部位解放の危険性


本日ワークをしていて。
大変悲しい気持ちになりました。


今朝、ご予約いただいていたお客様より、
立つ事ができないのだがそちらに行くべきかどうか?
というお電話をいただきました。


すでに三週間痛みが続いていたそうです。
ならば急性期を脱しているはずです。
おいでいただけるようならばということで、
奥様に付き添われ自動車でおいでいただきました。


三週間前に右脚部に不調を感じ、
近所にある整骨院にいかれたとのこと。
夏の疲れがどっとでてこられた模様で、
腰部に疲れがたまりやすいため発痛が生じました。


『右側梨状筋症候群』


おそらくそのような病名を付けられたのでしょうか。
電気をかけたり小さな置き針をされたりしたそうです。
また梨状筋を含む殿部をマッサージを受けたそうです。
ただマッサージを受けられた箇所が局所的でした。
これがいけなかった。


右殿部だけをマッサージを受けた。
それも月曜から木曜の4日間連日ここだけ解かれたそうです。


悲鳴を上げるほど痛いマッサージですが、
耐えれば治ると信じて耐えたそうです。
仕事の関係上お休みできないため、
治してもらいたい。
耐えれば治るならば、、、というお気持ちだったそうです。


実質患部と判断された部分だけを強圧され続けた。
そのため右殿部だけが異様なほどぐにゃぐにゃ。
きれいに解かれているのではなく、
連日担当者が違ったそうでまだらに筋膜が削られている。
痛々しい炎症を起こしてしまっている。


右側の大殿筋の張りだけがごっそりととられて炎症が起きているため、
立とうとすると殿部に力が入れられない。
でもどうにか立とうとすると殿部という背面にかけるべき負担を、
鼠径部や大腰筋、大腿直筋、外側広筋などを極端に固めて立つ。
その状態で仕事もしておられたそうです。
右側大腰筋が強く腫れ上がり肥大。
内臓が全体的に下垂。



三週間経っているから急性期は越えたと思いましたが、
よくよくひとつずつ現状に至るまでの経過を聞きますと、
現在がまさに急性期状態だったのです。



それも局部のみの人為的な解放により
二次的に生じた症状です。
状況は重力線上に生じる自然なゆがみとはことなる、
大変に複雑化されています。
この人為的なものについて、
自分がおこなったものならば前の状況がわかるため
リカバリーがきかせることができます。
でも他の人がおこなったときは正確な前状況や施術内容詳細がわかりません。
そのときはリカバリーをするのは困難なことが多いのです。。。


私に本日できることは緩め過ぎられた部分により負担が起きた箇所を、
丁寧にひとつずつ緩めること。


だから大腰筋をゆるめ鼠径靱帯をゆるめ脚部をゆるめ背中をゆるめ。。。
それもすでに耐え難いほどの痛みがでておられるので、
いつものような圧をかけるのは危険極まりないのです。
ゆすることで振動で硬直した筋肉の硬化を緩める方法。
カウンターストレインさえもできない場合には、
重宝する安全第一の方法がこれです。
これを使い続けかなりの部位を解きました。
より悪化させないことにも心血を注ぎました。


最後にぐにゃりとゆるみすぎた殿部を支えるために、
キネシオテープをかなりの量張ってサポートしました。
帰宅後も容易に痛みが引くとは考えられないので、
業務用キネシオテープ一巻を丸ごと持たせました。
このような場合の常套手段は
殿部をぐるぐるにさらしで巻いて補強することだと思います。
手持ちの腰部に巻く強いサポーターをお貸しいたしました。


5時間近くの時間がかかりました。


ですがすでに過剰に解かれすぎた殿部筋を硬化させることはできません。
しこりとは時としてその周囲の筋肉と協調していてつっかえ棒のような、
体を支えるための要職を持つものです。
不用意に抜きすぎてはならないのです。


お帰りの際も立ち上がられるときに激痛で顔がゆがまれます。
その様子を見ていていたたまれない気持ちになりました。


自分がすべきことはできたのだろうか?


まだまだ勉強不足のような気がしてなりません。