ひとつ実験をしてみましょう。
静かな部屋でゆったりと椅子に腰掛けます。
ゆっくりと息を深く吸い、
少しずつ息をすべて吐く。
その呼吸を10回くらい。
徐々に肩が後ろに前に動きだしていますね。
体がぼーっとして自分の体なのに自分の体じゃない感じがしてきましたか?
そのモードになりましたら、
左手を膝の上にてのひらを下にして置きます。
右手の指先を左手の手の甲からゆっくりと肘までなぞるように触れます。
そのときの感覚を記憶しておいてください。
次にまた同じ動作をしてください。
ただこんどは右手の指先だけを意識してください。
次にまた同じ動作をしてください。
ただこんどは左手の触れられている感覚だけを意識してください。
以上の3つのパターンをしてみるとわかりますが、
意識を集中によりまったく感じ方が変ってきます。
外形上はまったく同じ動作をしています。
でも意識を向け方で刺激情報の入り方がことなり、
どこが主体で情報を集めているか変化します。
施術をするときタッチする場所に意識を向け、
手から情報を得ているときもあります。
体を支える足の裏に意識を向けたり、
体の奥に意識を向けて重心を修正したり、
必要な情報を得るために様々な意識の向け方をいたします。
ただ意識を同時に複数箇所向けるのは難しいため、
体の型(フォーム)を整える概念を用いることもあります。
つまり太極拳の本を見ると、
「この動作はこのように手のひらを上に向けて」
などと写真が掲載されて解説されています。
でもその写真に写っている演舞者の内側では、
体の隅々へ意識を循環的に向けて流していき、
その型ができているといえるかもしれません。
またこの意識を向けるトレーニングを積むことで、
マンネリ化したパターン通りの動作にとどまらず、
豊かで発展的な動作展開ができるようになります。
意識を向けるときにはある種のエネルギーがそこに流れる感じがあります。
実際に意識を向けたところに血液が集まるため、
意識した部位の体温があがります。
「血が流れるところに気がながれる」とはよく言ったものです。
自分の体をつぶさに感じ取る習慣がついて、
意識をコントロールできるようになります。
武道では人の体をつぶさに感じ取る習慣が生まれ、
自分の体をつぶさに感じ取れる人ほど
他人の体も感じ取れるようです。
意識をコントロールする感覚を磨くことで、
他の人の体の状態も体感できるように感じます。
アプライド・キネシオロジーに精通している先生方は、
この意味をよくご理解いただけると思います。
他の人の情報を空間を隔てて得ることに抵抗が薄いはずですから。
正直に申しますと上記のエクササイズはアプライド・キネシオロジー系の
施術の本を読んだときに載っていたと記憶していますので。
そしてこの他の人の体の意識を置くパターンを理解できると、
施術をするとき非常に役立ちます。
動き方を伝えるときも役立ちます。
私も少なからずこの能力のお世話になっています。
それにしても人間の意識の集中や拡散(意識の居着き)、
意識の循環路などをよ〜く観察すると、
人の内部で知覚生命体が活動するかのようです。
その子が豊かに活躍しだせばセンスや能力が向上しそうですよね。
興味が尽きません。