体は使いようですね

体力的にも体質的にもさほど問題のない人がいます。


筋力も十分にあります。
筋肉の柔軟性や温かさ。
筋繊維のしなやかさも。


血圧も上が120をキープしている優等生状態。
循環器も十分活躍してくれています。


だから生命力がとても強いはずです。


筋膜がやはりそこかしこに癒着をしてはいます。
でもこのような方の場合にはリリースが楽です。


通常、仙骨が後屈著しい時にはなかなか思うように動くことはありません。
それは仙骨と腸骨の間には筋肉で結ばれているだけでなく、
仙棘靱帯などのほとんど骨と同じかそれ以上の硬さになる靭帯が絡んできますから。
そこをもし指先などで強く圧迫しようものなら、
尾骨が曲がったり関連する靭帯が捻挫したり。
そうなるリスクを避けるために私はタオルをクッションに使い、
器用にリリースをしているのですが、
それでも本当に硬化が著しい時には、
安全に緩めるには何十回もに分けてそこを緩めるようにせざるをえない。


ですが上述のようなしなやかさがある方の場合には、
たとえかなり仙骨の後屈があっても
幸いにも私が思ったような対応が少ない回数でよい。



つまり肉体面を緩めるのは、
とてもやりやすいように思えるのです。



ならばどう施術を含めて対応すればいいのでしょう。


私のイメージは次のようなものです。


施術も大切ですから、
きっちりそこは私が働き、
体を自由に動けるようなキャパシティを増やします。
そうすることで本当の問題点を著眼しやすくなりますから。

ひとつ、一番目立つ部分の問題点。


それは立ち方や歩き方でした。
右の大腿直筋などの前もも当たりに力が入る。
それに伴い右腸骨筋と左大腰筋に硬化が著しい。


筋肉が筋力が強くて柔軟性があると、
すばらしい収縮力で筋肉のパワーが取り出せて運動につなげられます。


反面、その強力な筋肉のパワーがあったらもし体の使い方の誤用があると、
強力に体のその部分の歪みを創りだしてしまうということもできてしまう。


つまり強力な筋肉を持つということは、
理想的に使えば活きますが、
誤用すれば自らを傷つける。
諸刃の剣にもなるということです。



それに十分に体が緩んでいて代謝力がある人は、
体の筋肉が血行不良で酸素不足になって神経が麻痺するようなことがない。


たとえば冷え性になっている方々は、
ほとんどは主要な筋肉上で筋肉の硬化が強くなり麻痺してきているから
かえって筋肉の炎症が弱く感じたり無痛というちょっと怖いことになっているのですが。
循環器がしっかりしている状態で筋肉のしなやかさがある人は
そのようなネガティブな麻痺が起きにくいため、
神経に障るような鋭い炎症部や牽引痛の痛みがわかってくる。


これは私自身も昔は体が弱かったときがあり、
そのときはやはり相当に体内の麻痺があった。
そしてそれが取り除かれる過程でどれほど鋭くきつい痛みを感じて不安になったことか。
私は体を客観的にみる機会を施術の仕事で戴いているため、
身体の痛みはより負担のかからない体の使い方があると
その研究をしたまえというメッセージと考えて飲み込んできましたが。
そのときの私の苦しみようといったら半端じゃなかったです。
だから「体はこの状態だとつらいんですよね〜」とさらりといいつつ、
内心では『この方もつらいんだろうなぁ』という思いは昔の私の実体験から類推しつつみにつまされているので。


でもそれで体の使い方について真剣になれました。
そのときの体験で得られたことものが財産だなぁと思います。



痛みの感じられる部分が
さらに部位によっては耐え難いほどの痛みになることもあるのです。
動きたいのにここの痛みがあるから動けないというやりきれなさが、
精神的にも意気消沈させてしまう。
けっこうなストレスになるんです。



そのようなお体の状態の場合には、
問題となる体の誤用をしている部位の使い方を
客観的に再確認してみるといいと思います。


仙骨が後屈というお尻の筋肉だけでなく仙骨自体が後方に出っ張っているときには、
体の中心軸がその仙骨水平ラインで曲がってしまっていることになりますし
横隔膜部分は仙骨の水平ラインの逆パターンで傾斜して軸の帳尻を合わせようとするものです。


たとえば対処法の具体的なアイデアとすれば、
いつの間にかMBTシューズを履いてこられるお客様が
私どものところに5名ほどおられるのですが、
体の中心軸を感じ取るのにとても役だっているとのこと。
とてもよい方法だと思います。



人間の体とはマシーンのような『ハードウエア』という側面を持ちます。


体も使い方を磨いていくと「ものは使いよう」という感じで、
クリエイティブな道が残されている分野です。


つねに成長し続ければ新しい素晴らしい機能を身に付けて生まれ変われます。
それは年齢や体の強い弱いに関係ありません。