呼吸のリズムの観察


お客様がこられたときに、
いわれなくても条件反射的にチェックしているところがあります。
それは呼吸のリズム。


呼気と吸気では、生まれた時から1:2のリズムです。


赤ちゃんもそう。
元気な人もそう。
寝ている時もそうなります。


それがストレスが強くかかれば呼気と吸気のリズムが1:1に近づきます。



ご本人が「今日は体が辛くてね。どこそこが痛いんですよ」といわれても、
まさに1:2のリズムで呼吸している。
そのときはそのような申告は深刻ではありません。
痛くとも体内で復活のサイクルが働いている状態。
自力でも余裕で復活できるのですが、
私どもはそのサイクルを妨げない程度バックアップをするのです。


ご本人が「今日は体が調子がいい」といわれても
まさに1:2のリズムからは遠い状態です。
そのときには本人が気づいていない部分に
肉体的かまたは精神的なダメージが予想されます。
告げられた言葉をそのまま受け取れるときもありますが、
体からはさまざまな状況を伝えるサインがでているわけです。

対面する人の呼吸のリズムが1:2になっているかを観察。
これは私どもの大切なチェック項目の一つなんですよね。


1:2であれば案外呼吸が正常だから生命力があるんです。



それが1:1に近づいていくときがある。
注意が必要な場合ですね。


人間は酸素が十分あることが大切といいますが、
かえって息を吸い過ぎると活性酸素となります。
活性酸素により体内の正常細胞が癌化することをご存知であれば、
酸素が増えすぎれば細胞が傷つき正常な細胞に再生できなくなる。
そのことをご理解いただけると思います。


酸素が少なすぎると細胞が働けなくなり死にもしますが、
酸素が多すぎると細胞が活性酸素に傷つけられてしまう。



そうならないよう制御された呼吸リズムが1:2なんです。
健康を維持出来ている人の自然呼吸の目安になるのです。


そのリズムは肉体的ストレスや精神的ストレスにより乱されます。
その乱れた呼吸リズムの復活には違いが出てくるようです。


肉体的なストレスをかけたとき、
例えばダッシュで坂を駆け登る全力坂のようなことをしてみれば、
ぜぇーぜぇーとする息を吸うタイミングと吐くタイミングが1:1に。
ただし肉体的ストレスがかかっているときは、
しばらく休めばまた1:2に落ち着くはずです。
過労まで達していなければ問題ない状態ですね。


それに対して精神的なストレスがかかっているとき。
ひそかに1:2の呼吸から1:1の呼吸リズムに近づいていく。
本人はあまりそのような状態に移行していることは気づかない。
思いのような囚われは執着によりこころのなかでキープされる。
肉体的ストレスがかかっているときよりも、
精神的なストレスがかかっているときのほうが長く1:1が持続しやすい。
それにより体内細胞が生命力を減少させられるダメージが深い。


現代社会はとかく情報や刺激を欲するという傾向が強く、
過剰な刺激による交感神経の高ぶりは
体内のエネルギーを燃やしいずれ枯渇させようとします。
そのような渦に飲み込まれないように注意すべきです。
そしてこのときも1:1に無意識に近づいている状態。


あとは、「いびき」。
これも無呼吸症候群になるのはわかりやすいことですが、
いびきでも1:1に近づく状態に移行した状態で、
睡眠状態の長時間居させられるわけです。
副交換神経が優位な睡眠時の休息を妨げるいびきは
意外なほど大きな肉体的ストレスを残すことといわれいます。
(初回提出していただく質問表の質問項目に”いびき”を載せいているのは、このような意味合いです)


もっとダメージが強いのは呼吸リズムを自ら壊しかねない呼吸法の実践。
施術を研究しようとかいう人は研究のため実践はしかたない。
そのような人たちは特殊な呼吸法をすることで、
体がどのように変化するか、
そのメリットとデメリットなどを検証していくことで、
自分の力量を増やしていくべきでしょう。
呼吸を自らの目的と意思の元で制御することは、
修行の中でも高度なものといえると思います。
安易にしすぎるとしっぺ返しが怖いですから。


もしやりすぎたなと体調を崩したときは、
呼吸のプライマリーなポジションである
1:2に戻ろうとしてください。


1:2の呼吸リズムは心身を癒してくれる効果が非常に高い。
そのため不調も癒えていくでしょう。
ときどきメトロノームを利用して、
正確な1:2呼吸を練習してみる。


これは有効性の高いエクササイズのひとつでしょう。