私が施術でずり圧をかけて筋膜をリリースするときに利用している道具は
いくつかあります。
手技は手でおこなう技ですが、
大工や工員は自らの仕事を助けるための道具を工夫して使います。
手にこだわりを持つことも大切ですが、
それもケースバイケースだと思います。
その道具のひとつに、
100円ショップで購入できる『滑り止めのゴムシート』があります。
以前、ゴム手袋を利用して、
自分の体の気になるところをゴシゴシとマッサージをするという方法を
一般書の本にし出版している人がおられました。
これは私に取りまして、
目ざといことを公開してるな〜と思いました。
ゴム手袋でするマッサージはやり方次第では、
一般の方が自らの体をマッサージするときに、
少ない力でも大きな成果があるでしょう。
ゴム手袋マッサージの本では
手や足のマッサージにとどめて解説していたと記憶しています。
それはちょっと腹部や胸の前とか喉とか首とか、
いい加減なマッサージはリスキーな場所があるので、
そちらは暗黙的にマッサージしないようにということでしょう。
手足ならば体の末端部ですからそちらを刺激することで
全身の血行を向上させることができますので、
それだけでも十分な健康増進効果がみこめる。
だからこれだけのところで紹介をとどめていたのでしょうか。
ゴム手袋を着用しておこなうマッサージは、
ゴムの特徴として摩擦抵抗が高いため密着した部位が滑りにくく
摩擦力が効率的に与えられることになります。
その摩擦力が、
マッサージをするときのつかみがよく力が伝わりやすいようにしてくれて、
マッサージの成果を高めるということになるのです。
それをもちろんそれは私どもは手足に対してだけでなく、
体中の癒着している筋膜部を見つけてくまなく緩めるように
アプローチしていくのです。
そのときに必要に応じて摩擦係数を高めるために
『滑り止めのゴムシート』を工夫して噛ませて圧をかけます。
うまく表層筋膜や中層筋膜など適宜まとめ上げ透過して深部を感じ取ります。
そちらの深い部位に接触してから、
その部位の筋膜の癒着している部位を、
癒着している上と下の層をわかれさせるように狙いを定めて
ずらしていく圧(ずり圧)を加えます。
すると『滑り止めのゴムシート』があるときとないときでは
上滑りせず効率よくずり圧で摩擦力を伝えられる差は大きい。
それにお客様の体のホールドにも役立つのです。
圧をかけるときにお客様の体が押されて圧の力が逃げるようでは
施術成果は極端に下がります。
一般の方がこれはおこないやすい致命的なミスです。
圧を特定部位にかけたいのに施術を受ける方の体がグラグラしていれば、
狙いを定めて一定のコントロールした圧をあたえることは不可能です。
圧をあたえる側と受け取る側の二点間の距離が読めないと
目的とした部位の筋膜のリリースなどできるはずもない。
グラグラしているお客様の体を支えるのに力を使いすぎれば、
それが力みになって施術者の体をこわばらせてずり圧が死ぬ。
それではよくありません。
お客様の体に手を添えてホールドして動かないようにすることが大切です。
圧をかけつつホールドして動かさないように留めるという二つの作業をする。
このときに適宜必要に応じてホールドする手の下に
『滑り止めのゴムシート』を噛ませる。
そうすることで施術成果は飛躍します。
それは少ない力でお客様の体をぐらつかせないようにできるからです。
『滑り止めのゴムシート』を利用する意味合いは、
シートの面は私の手のひらよりも広くすることができる。
つまりシートの面が広くなって接触すれば摩擦力が強力。
シート面を適宜、必要なサイズに広げたり折りたたんだりして、
効率的に接触させることで手で摩擦力を生じさせるのでは難しい
摩擦力を創りだして制することをできることも大きいでしょう。
たぶん『滑り止めのゴムシート』が何枚も転がっている様子は
施術をするスタイルとしてはあまり見栄えがよいものではありません。
ですがこれも私に取りましてはとても画期的な工夫のひとつなのです。
当社比という曖昧な評価ですが、
手のみで施術をするよりも、
『滑り止めのゴムシート』を利用したほうが
場合により5倍を超える成果があがるように感じます。
私の仕事上では遥かに成果は違ってきますね。
これはお客様にとってみても大きなメリットのはずです。