体のコアを使おうとか、丹田を活かそうとか、
とても大事なことです。
これが整えられた後の、
その後のお話だとお考えください。
手のひらや足の裏など、体の末端部分をどう使いますか?
物を持つ手のひら、
地面に接する足裏。
施術をするときだけじゃないですが、
そこにどのような技術が潜んでいるのか。
たとえば「手の内」と呼ばれるような、
あまりおおっぴらには語られない貴重な、
体をさばくときのテクニックがあります。
日本伝合気柔術 岡本眞師範という御仁は、
実践的な秘伝と申してもよいような「手の内」の使い手なのに、
これほどまでに親切丁寧に惜しげも無く教えていただける先生。
観て真似て眼力を着けていきましょうという稽古が主流なのだと思いますので、
技の基礎から理知的な解説をしていただける先生は本当にありがたい先生です。
本当は施術をなさられる先生方には、ぜひにといいたいですが、
そんなことをすると、せっかく少数レッスンを体験できるのに
混み混みになっちゃうじゃないの?と言われそうですから。
とりあえずここはひとまず剣道の本から、
ご理解をいただければと思います。
剣道 伝統の技術
馬場 欽司 (著)
出版社: スキージャーナル (1995/09)
という本を図書館などで借りてきてください。
p40からの「冴えのある手の内をつくる」との章で、
実に内容の深い通な、、、ノウハウが掲載されている。
どのようにして剣道の竹刀を握るかの教則ですが、
名人の手の内というものがどういった様子であるかが垣間見れる貴重な書籍です。
剣道ファンの方は、ご一読いただけましてもよろしいでしょう。
そして
「掌中の冴えがあれば、剣先で相手の意志を探ることもでき、無駄撃ちも少なくなる」
と語られていて、
ポイント五箇条が紹介されています。
1.茶巾絞りと雑巾絞りはまったく別。古い教を正確に学ぶ。
2.包丁で料理するママさん剣士は握りの名人
3.手の内の冴えを生むのに不可欠なことは、「切る」という意識
4.手のひらから出るエネルギーを剣先から相手に向かって放射させるようなつもりで握る
5.柄革の長さがあわなかったり、滑ってしまうようでは掌中の冴えも生まれない
私は、以前合気柔術の岡本先生の稽古会を観させていただいたときに、
「茶巾絞りと雑巾絞りはまったく別。」というところが基本だからねと教えて頂きました。
ちょっと、懐かしいですね。
微妙に本文を読まなければ、
何が何だか分からないポイントの列挙となり申し訳ないです。
ですがおそらく合気柔術を習っておられる方には、
ちょっとだけビビビッとくるような感じですよね。
わかりづらいことを申しますが、
私どもでは、手の指で物を握るつもりで握ればそれはもう死に体として、
活きた指のセンサーは使えず力みが手元を狂わせるのが落ちだとします。
それは指先が数グラムの重さのある軽いものを持ったものとしても、
物を持って重いと指先ばかりにストレスがかかれば、
すでに肩甲骨の可動のスムースさが減少しています。
肋骨から肩甲骨が浮いて、その上をすべるように動かなければ、
広背筋や僧帽筋なども生きて来ません。
そうなると手先の繊細さが鈍ります。
たとえばそれを防ぐにはどうすればよいのか。
手の指を使っているように外見上見せていても、
その使用法の内側は違ってきます。
実際には手掌腱膜を使って指の型を決めている操作をしています。
つまり指先にある部位の筋肉操作をするのではなく、
手掌腱膜の腱膜を張る肘近くの根本から伸びる長掌筋により筋を引き
あたかもマジックハンドのような動きで手掌腱膜を制御させます。
マジックハンドという棒は、
一方の持ち手では握る取っ手がついていて、
それを握ればロープ上の紐が引かれて反対側に付いている
ハンド状の握る部分のパーツが物をつかむというおもちゃです。
手のひらを使いこなすときには、
長掌筋部分を筋収縮させることで手掌腱膜を適宜縮めていきます。
そして手の骨の形をこれでいこうと決めたら、
それでキープできるように手掌腱膜を固定化。
私の感覚では骨に引っ掛けて固定化する感じ。
腱膜の腱は筋肉のように長さが変わらず一定。
筋肉主体で動かせばちょっとした力具合で長さが変わり思い通りとはならない。
そのような寸の甘さを腱と骨の協調を主体に形作ればクリアできるのです。
それに筋肉は使えば使うほど筋疲労を強いられ乳酸がたまりますが、
腱は疲労がほとんどないものですし乳酸もたまらないのです。
とても使えるような感じですよね。
私がここに気づき利用しだしたときは、
なんて画期的なんだろうとうれしかったですね〜。
とても。
腱を動かす感覚は、まるでマジックハンドを扱うような感じで、
体幹に近い筋肉部分を収縮させて腱を引っ張り骨の型を決めて固定化するような使い方をすると、
体の遠位を遠隔操作するかのような使い勝手となる。
このような遠隔操作法で動かすことは手掌腱膜ばかりではありません。
腱を利用するというアイデアの素晴らしさを知れば、
体の筋肉図ばかりではなく、
腱などまでも解説してある解剖図を観てみたくなりませんか?
手掌腱膜を活かすには、
おおざっぱにいえば次のようなことがポイントの概要となります。
尺骨と橈骨の間にある骨間膜を詰まらせず間を十分に広げる意識を持ち、
尺骨と橈骨という2つの骨をそれぞれ分かれている意味を考慮して使い、
手首の隙間が詰まっていないか調べて詰まっていれば隙間を開けていく。
実際にはこの注意点だけでは手掌腱膜を使いこなせないのですが、
使いこなすためのヒントには十分なると思います。
このような使い方をすれば、
指先の力みが出て指先という末端部分が重さの中心といった非効率的な判断をして
肩甲骨を肋骨にベタづかせて肩関節の可動を悪化させることはありません。
いつだって肩甲骨を肋骨から必要があればスルスルスルッって自在に動かせてしまう。
精密な検査機器よりも繊細に温度や出っ張りや電気的な違和感なども含め
様々な微細な情報を掴みえる職人の手は、
この状態であれば機能を発揮してくれます。
実際に簡単にそれを試してみたいならば、
次のようなことを試してみてください。
たとえば指の使い方とは難しいものでして、
一般の方が人を押すときに指先を相手に押し当てて押そうとするも、
屈強な重心を持たれている方にはかなわない。
ぐらつきもしません。
ですが指が相手に触らぬように反らせて手のひらの掌(たなごころ)だけを相手に密着させて押すと、
結構、非力な女性だと自称する方でも強力な力が発揮できたりします。
私も施術のときに指先を使い過ぎたら感覚がにごり出すので、
押圧するためのブロックを使い押すときにはたなごころ部分のみを使います。
そうしたほうが押圧する方向性も正せますし、
当たり負けしなくもなりますから。
それだけではありません。
体の下半身や状態全体をぶらさないような胆力をつけた上で
指先に力みを一切入らないようにして腕の動きを正しく制御すると、
ミリ単位の半分を、いつだって何度も何度も押し捌くことができる。
つまり指先に力がはいると上半身が重くなり肩の力が抜けなくなっている。
その時点で下半身に重心を保てないので、
状態はぶれてしまわれるのでミリ単位でのとかいった話ではなくなります。
それでは「ここだ!」という米粒大のピンポイントを狙う必要があるとき、
余計な部分を巻き込んで圧してしまい効果が薄まりますから。
それではプロの圧ではありませんから。
同じように施術をしている外形があっても、
魂が込められていない。
それでは大変な状態であるお客様に対しては勝負にならないわけです。
もちろんさほど体的に大変じゃないお客様にとっても効果が下火になるので気になりますよね。^-^;
こうやってみてみるだけでも、
手のひらをどうやって使いこなしているかは、大切なんです。
それにたとえば施術の初心者であれば、
どうしても指先に力みが入りだして
圧をかけようとするときに
相手の皮膚の表面にばかりかかる圧がかかり痛みが出ることさえもあります。
そういったことも防ぐことができるような、
体の芯まで浸透させる圧が得られるのも手の冴えた使い勝手のなせることでしょう。
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