このブログをお読みいただきたい方:
■ 力み癖がある方でその解消を考えている方
■ 動きをスムースにつかれずにしてみたい方
「力み」がはいると自由な動きが制限されて、
運動していてもパフォーマンスがよくないですよね。
では、「力み」ってどんなことをしてはいることがあるのでしょうか?
いくつもパターンがありますが、
そのうちのひとつを「手首の屈曲」をサンプルにしてお伝えします。
まずは、あまり何も考えず、
いつも通り手首を内側方向へ折り曲げる動作をしてみましょう。
そのときに無意識に手首を屈曲しようとして使っている部分は
① 指先に意識が入ってましたか?
② 手首あたりですか?
③ 筋腹ですか?
④ それとも手首から対角に位置する腱部ですか?
どこを意識しても手首が屈曲できた感じがするかもしれませんね。
ただ力みが一番強く入るのは、{① 指先に意識}ですね。
そして多くの方がしがちなミスです。
なぜでしょう。
それは手首の屈曲は、絵にあるような屈曲筋が体の方向へと引っ張られることで起きる運動だからです。
指先には、そのような屈曲筋の腱があるだけですね。
腱は、筋肉のように収縮や弛緩はせずに、一定の長さのままの組織ですから運動ができない。
そこに動きの意識を持ってみても腱が筋収縮のような運動ができないから、
指先を意識の中心にして屈曲筋を操ろうとするのは生理的にムリなんです。
それは意識を{② 手首}においても同様です。
手首あたりの屈曲にかかわる筋肉を観察してもらえば白色をした腱しかないのがわかるでしょう。
だから手首から先を屈曲するとき、手首に意識がはいってそこの部位の屈曲筋を縮めようとしても、
それはできないのです。
なので ①指先 ②手首 への意識が先行して入った瞬間、
そのものの手首の屈曲は「力み」がゴリゴリに入っている。
だから実際に屈曲しても、そこにあたえる動きに強弱やスピードなどを自在にコントロールできず、
うまくあやつることが難しいはずです。
何て言っても、非力で持久力があまりなくて疲れがたまりやすい。
たとえば、キーボードで文字入力をしていても、それほどまでは酷使してもいないが腱鞘炎が起きることも。。。
なので合理的に手首の屈曲をするには{③ 筋腹}を意識して体幹方向へと収縮させること。
そうすれば、勝手に手首から先が屈曲するし、ほぼ力みゼロでサッと素早く動かすことも、ゆっくりスローに動かすこともできる。
力の発力も軽微なものから強力にも自在に変えられるでしょう。
もちろんこの部位の筋をトレーニングでうまく使えるようにすれば、ということですね。
でもピアニストの手が繊細かつ素早く、力の強弱がつけられているのも、この部位の筋を使えてるからです。
それは私が以前施術をさせていただいたピアニストの方の手の該当部位を触らせていただいて観察済みです。
先に腱に意識がはいると、もう、その時点で動きのブレーキを踏んだようなものです。
先に意識がはいったところは、意図的にそこの意識を抜いてニュートラルにしない限り、ブレーキのペダリングは止まりません。
ブレーキを踏みながらも、どうにか手首を屈曲させようとアクセルを踏むなら、どうなるか。。
ブレーキを踏みながらアクセルをふかすんだから、動けなくなりますよね。
それが「力み」という現象です。
運動として発力するときの非力化もありますが、
筋膜同士や骨膜との癒着が起こりやすくなり、手首関節や肘関節が詰まりだす。
結果、疲れとしてそうした筋肉の疲労は蓄積して寝ただけではリセットが効かなくなります。
それが過ぎれば腱鞘炎にまで進展してしまうことにもなりかねません。
腱鞘炎を筋膜リリースで緩めても、
こうした筋の操作をしているうちは、
何度でも同様の不具合が起こります。
それは自らの身体操作が気づくか気づかないかは別として、
いつのまにか自分で自分の体の一部の健康状態を摩耗させ続けて終わりがありません。
今回は手首の屈曲を例に説明しましたが、
このことは他の筋肉の操作でも同様な法則が成り立つのです。
力みがはいった動作をする方の多くには、
筋断面が太い筋腹部を操作せずに、
末端の腱部などに先行して意識がはいる人がいます。
それがほぼ無意識に操作する動き方の悪癖として定着しているときもありますから、
そういった場合は動きの要点を意識したトレーニングを取り入れたほうがいいでしょう。
それはフェルデンクライス・メソッドのATMセッションやFIセッションでもいいし、
促通反復療法のセルフワークへの導入もいいでしょう。
促通反復療法は、片麻痺回復のためのリハビリテーションでもちいられるのですが、
トライしてみたらわかりますが
「あっ、こんなところを意識して筋肉の収縮操作をしたことってなかった!」
「ものすごく力みがなくて、動く練習が気持ちいい!!」
って、私が自分で促通反復療法をビデオを見てやったら意外なほどといっては失礼ですが、
ほんとうにいい悪癖動作改善のためのリハビリになると実感しました。
そしてこの場合、いつも使っていない部位を意図して他動的に、それも繰り返し操作するため、
強く運動神経系の未使用部位に刺激は走って、新たな動きの学習が容易に成されます。
あまり難しいことを考えつつといった練習ではなく、
促通反復療法の本を見ながら、そのままやれば、未使用だった合理的な筋操作が開発されて、
そこが定着してくれるのです。
すると、あろうことか、いつの間にか楽に全身の身体操作ができるような感覚が磨かれていく。
そうなると、だいぶ、身体がしまって、運動のときの自在性が高まるでしょう。
動くのが楽しい!
動くのが快感!
そんな感じでしょうか。
もちろん、これには個人差があるのですが、
もともと力み癖のある方だったら、やっていけば効果は絶大ですね。
私が利用した本は以下のものです。
他にももう少し平易なやりやすい促通反復療法の本が多数出ています。
もし、新たな動きのトレーニングに関心ありという方がおられれば、
そのようなものを手に入れてやってみるのもいいでしょう。