不妊治療をなさっておられる方は着床し安定するまでは安静に

施術は情報戦です。


どれだけつぶさに観察し、効果を発揮する以前に、
リスクを低減させていくことの大切さを知ります。



ただそのようななか、
まだまだだったとき、
失敗をしたこともあります。




今日は施術中に、興味深い話をお聞きしました。


都内に不妊治療に精通した鍼灸医院があります。
私自身が直接見聞きしたところではございませんので、
どちらなのかということは申し上げられませんが、
問診は言うに及ばず脈診、舌診、望診などの力に長け
すばらしい冴えを魅せるとことですといわれます。



私個人としては、脈診に興味がある。


かつて脈診関係の脈診だけで専門書を読みあさりました。
たとえば
『脈診一基礎知識と実践ガイド』
『脈診へのいざない』など。


『脈診一基礎知識と実践ガイド』は、
270ページも、
脈診について解説している詳細な本ですが、
『脈診へのいざない』にいたっては、
なんと脈診について語る500ページもの大著。


よくもまぁ脈診というテーマ一つで、
そこまで書けるものだと感動します。


そんなこともあって、
本日施術中に教えていただいたことは、
とある方が不妊治療目的で鍼灸医院を訪れ治療を受けたそうです。


いつものように鍼灸医院へ。
そして脈診などを受けた時、
先生が・・・
「あなたは、いま妊娠し着床するかどうかの大事な時期。
すぐ帰って安静にしておきなさい」
と語られたそうです。



脈診を受けただけで、そのような状況を見ぬいていただき
そして自信を持って、すぐ帰宅して安静にしなさいという。


ものすごい脈診技術です。




不妊治療目的で通われている方の体質では、
妊娠しても、そこから着床するかどうかが
まだ不安定なところがあるため安静にすべき。
もしも、その状況で、その方が大腰筋をハードか、
またはオーバーワーク気味に使えば着床できない。
そのようなことももちろんご存知なのでしょうね。



そのようなことについて、私は以前、
大きなミスを犯したことがあります。



あまりお話するべきことではないのですが、
エクササイズを伝える先生などの方々にも
できれば知っておいていただければと考え
お話しようと思います。



20年ほど前の施術を始めた当初に
施術で不妊症の方が妊娠されました。
その女性はマッサージ屋さんでした。


私も喜びました。
念願のお子さんですから。



だがそのときにタイミングが悪かったのです。


その女性は高度な体の使い方を教えるスタジオに通っておられた。
そして翌日にそちらの予約をいれていたといいます。


私は大腰筋を過度に使えば流産の恐れがあると考え、
そのことを伝えて、
十分にそちらのスタジオの先生と話をしてくださいという。
彼女自身も施術者ですし、スタジオの先生も一方ならぬ人。


キャンセルしてほしいと考え、
リスクがあるからと伝えたのですが、
スタジオの先生が問題がないといい、
その後すぐに、流産となられました。



彼女も、そしてそのご主人も、
ショックであったと思います。



大腰筋を相当に使うバレエのエクササイズを
ベースにしたレッスンをする先生です。
大腰筋を過度に使えば不妊症の傾向がある方は
特に流産するリスクは高まります。
腎経の大腰筋が左右から子宮を強くゆすぶって
着床を妨げるようになるからです。


だから先生と話し合っていただいて、
キャンセルにしていただくようお伝えした。
なのでそのような流れのことをお伝えしました。


ですがあにはからんや
スタジオの先生が「まったく大丈夫でしょう」と、
耳を疑うことをいい、
彼女もその先生がそういうのならば、、、と従う。



私も後日にそのようなことがあったとお聞きして、
スタジオの先生は単純に施術のノウハウがなくて
知識が足りなかったんだと知りました。
他の体の知識があまりに詳しかった先生であった。
だから当然知っていて、私の意見に同様だろうと。
そう勝手に考えていたのです。



そこに判断を任せるようなことをした。


そして私の意見はリスクがあるから
よく先生と相談するようにと伝えたが、
彼女の施術者であるから熟慮すると観て
結果に対して自分の信じる信念を通さずにいたのでは。


自分の多少、聞きかじったことをひけらかすだけでは、
迷惑をかける事になるのかもしれないと考えてしまい
下駄を任せるようなことをして逃げであったのではと。




今考えても、
なぜ、あのときにきっちりとダメなものはダメだ、
と言わなかった自分を責める気持ちは拭えません。




ただ、後々になって整体や鍼灸師をする先生に
妊娠し着床する前の大腰筋との関係について知っているか?
と聞くと、「えっ、そんなの知らないよ」と返答が多かった。
確かに、そのようなことが書かれている本を観た記憶が無い。
ならば、なぜ、私がそのことを知っていたのだろうか。
そのような疑問が出てきたことがあった。。。
(おそらく多読中に眼にしたので、どの本で読んだか覚えていないだけでしょうが ^-^;)




だから本日のお客様から
すぐ帰宅して安静にしなさいと、
鍼灸医院の先生がいわれてしたがったという話をお伺いし、
きっちり英断をなされる優れた先生としみじみ感じました。





ここからは余談とないますが。


妊娠したかどうかは、
別に脈診で脈を観たからだけでなく、
体温の具合やらなにやらで
観察力があればわかります。


たとえば施術をする人として
妊娠したかどうかがもっともわかりやすいところは
次のようなところからもわかるだろう。
妊娠して出産するときに骨盤の関節を無理なく開く
非常に強い体の全関節を開くホルモンが多量に出る。
だからいつもはコリコリになって固かった人が柔軟。
骨盤の仙腸関節部分などはぐにゅりぐにゅりと動く。


実に柔らかい状態になる。


その変化は、骨盤だけではない。
手の指の関節も開かせています。
だから手を握り持った瞬間、いつもとの違いを感じ、
そして体温が上昇している、そのことに気づいたら、
職人ならば状況から類推すればわかるでしょう。



だから、
幾度か施術をした女性が妊娠すればわかるでしょう。
というのはさほどまでは不思議ではないと思います。


生理のときも関節を緩ませるホルモンの弱いものがでますが、
妊娠をした場合には、その量が多い。
いつものその方の生理の状態を観察しておれば、
その違いは明らかです。