骨盤がずれているのは、胸郭がずれちゃっているから?!「骨盤と胸郭の連動」

先日のこと。

驚いたことをお伺いしました。


「 骨盤がずれていると、身体全体がずれるんだから、
  骨盤のずれだけ手当てすればいいんだ! 」


という内容の話で、
ほんとうに骨盤しか触らないそうです。。。


もちろん、骨盤がずれれば身体の全体のゆがみにつながるのは事実でしょう。
ですが、たとえば、身体的に可塑性の高い柔軟な筋組織を持つものであれば、
そのような骨盤のみのケアである程度の成果がだせるケースもあるようです。


ただし、そういった人は、それこそある程度の症状を持っておられる方が多い治療院では稀有な人なので。
そこを期待していいわけがありません。 


骨盤のずれを調整しても、重い大量不良を感じられる方の場合には、
戻りが速攻で現れてきてしまう。
つまり多くが骨盤だけのケアでは、
よくて現状維持か悪化のスピードの減退にとどまります。



以前は私もそういった神業のようなものが、
世の中の七不思議のようにあるのかもしれないと探ってみた。
だが結論からいえば、
やっぱり症状が重い方々には戻りが早すぎで、
状態を上向かせるだけの力が欠けているように感じられました。


もちろん骨盤の変位を正すこと、
つまりちゃんと骨盤が正しい位置に戻って関節も正しく稼動していたり関連筋も設計どおり働くのは健康の基礎。


そこは疑いようのないところです。
ただ実際は骨盤部は起立筋や広背筋や腰方形筋等々の腰部や背部の筋群と密接な関連を胸郭と取り合っています。


だとしたら、、、骨盤と胸郭の正常や異常の状況は密接にリンクしているんですね。



つまり、胸郭のずれや変位のパターンに近しいかクロスパターンのような形で、
骨盤がずれているという関係性を見て取ることができるんです。


そして、骨盤が胸郭部の筋異常による頭部方向への引き上げによりずらされている状態は、
骨盤部の股関節周りの外旋六筋を文字通りリリースできるまで解けば(←これがはっきりいって至難の業です)
腰方形筋や起立筋下部あたりは緩まってくれるものの、その緩み方としても芯のコリを残したままの緩み方です。


ちょっとそれでは改善状態も長くは持たないというわけです。




というと、、、ここまで書けば察しのよい方は、
「じゃあ、胸郭と骨盤ってセットでリリースして欲しいよな〜」
と感じるのではないでしょうか。



それは下記の本に書かれておりますように、
下記書籍を書かれた先生のお調べで、
「胸郭の左側方偏位が90%」とおっしゃられています。





胸郭運動システムの再建法 第2版-呼吸運動再構築理論に基づく評価と治療 Web動画付



ちなみに、この本は図画も多くわかりやすいだけではなく、
出版社のサイトに書籍にスクラッチで封印されたパスワード等をいれることで、
映像で検査の仕方などが参照できるので理解がしやすくて。


本書は理学療法やお医者様向きの本ではあります。


ただ私には他の施術をなさる整体やマッサージ、カイロプラクティック等の先生方にも、
ぜひとも参照して学ぶことで、目からうろこがはがれるものとお勧めしたい一冊です。




そして、そして。
本題に戻りまして。


胸郭が左側が軸となると機能的優位になるような状態を持つ人は90%で、
そうなれるように胸郭の骨組みの並びが偏っているんですね。


つまり胸郭は、左右がきっちり均等にシンメトリーになっている人って、実に少ないんですね。
最低でも90%の人はずれちゃっている傾向があるのだということですから。


私の施術をしてきた感覚では、身体の左右差を整えられたスポーツマンでも、
はっきりとした胸郭部のずれを確認することはほとんどです。


だからたいがいの方は、自分の胸郭はずれているわけがないと思っていても、
私が見つけ出したチェックポイントを、2〜3のポイントを20グラム程度の弱い圧で押しても、
ひぇーーーー^−^;
痛すぎですよ!!
という人がほとんどなんです。


最近はキーボードを使ったデスクワークが事務作業の主流になっているからだけではなく、
スマートフォンの普及に伴ってというところからか、
確実に胸郭の変異は大きくなってきていますね。


だからこそ胸郭をリリースする技術を独自に習得して成果が出せることが、
施術力の発揮やプレゼンにもなるキーになっているんですよね。
ここで施術効果を高める独自性が出せるかどうか。



そして同時に、胸郭部のリリースを骨盤部のリリースとセットにしていると、
改善率が非常にいいように実感しております。


もちろん、時間もかかるし、見立ても複雑になりますから、
それなりの大変さは増すのですが。


施術では骨盤と胸郭の両方のリリースをしていますし、
最後に、かならずそのふたつをうまくあわせられるよう微調整をするのです。
バランスをとるのも、
解剖学上の相関の様子が要点として飲み込めずに感覚的なところに頼るところもありますが、
徐々に多くのお客様の施術を繰り返していくうちにポイントが判明し飲み込めたところがあります。



実は、、、施術院選びには、最近の流行の「骨盤部分のみをみれば・・・」というのも、
とりあえずキャッチーなお客様の心を捉えるためのコピーなのかもしれませんが。



しっかりした施術をなさるところでは、
そこに重きは置くものの、各人の身体の多様性を見て治していくのが良心的だと思います。


私が文頭で述べた骨盤のみでいいと訴えた施術を受けたお客様の評判は、
あまり芳しいものではありませんでした。




おおよそ施術院を選ぶ側のお客様自身が、
大切なお金をお支払いいただくのですから。
しっかりと自分の身体改善につながる良否の判断ができるようになること。


そこは重要だと思えてなりません。