首の歪曲度をあげる実験--(1)

『首』と体重移動

『首』の伸び方をみれば、その方の体重移動をコントロールする力が推し量れる。

バレエダンサーを観察すると、首がまっすぐのび、とても長い事に気づく。
優れた格闘家も、首が太く見えて短く見えても、筋肉が付いてそう錯覚するだけで、
首の骨はよく伸びている。

知り合いのダンスレッスンに通っているものの頚椎をゆるめ、
伸びやかにするワークをすると、次の日レッスンで疲れが明らかに少なくなる。
そしてダンスのパフォーマンス能力が向上する。
運動性能と能力に関する重要な部位だ。<体重移動>の重要性。
人体は、立位では、二足で支えられた塔のような構造だ。
地面に接している面積は、身体の体表のわずかな『足裏』部分だけ。
頭部という、5〜6Kgか。大変な重さが塔のてっぺんに乗せられている。
非常に倒れやすい構造体だ。
体重移動をするとき、常に倒れる力を帳消しにしながら、体を支えつづける。
一番楽な支え方はと問われれば、『骨』を使って支えることだ。
頭でいえば首の骨をダンサーのように伸びやかに、頚椎の7つの連綿とした骨を、
連動性を活かしたコントロールをする事。
なれれば頭のウエイトがゼロになる感覚だ。
そして体重移動は、伸ばした首の上にのっている頭を、
数ミリ目的方向に倒すか回転させればいい。
それで勝手に身体は動くようにできている。

だが首の伸びを失ったとき、身体の体重移動にぎこちなさが生まれる。
[頭が首の骨で支えられるより割合]:[頭が首の筋肉で支えられる割合]
この比率が問題になる。
筋肉で支えられる割合が、少なければ少ないほどいい。
正確に言えば、喉側の胸鎖乳突筋や舌下筋などの首を支える機能を持たない筋肉を使わないで支えなければならない。