「仙腸関節から緩める」か「首の後から緩める」か

急性の腰痛が起きたようなとき。


ギクッとちょっとひねっただけのつもりが、
いきなり立てないほどの腰部の痛みが出て、
見事な腫れ上がりをしめしてしまったとき。


急性の腰痛は腰部が痛いからと性急に患部の炎症を持った腰をもんだり圧したりすれば、
炎症を持ったもろくなったダメージを受けている部分を刺激するようなこととなり痛む。
炎症部分は組織が壊れて痛みが確実に増してしまうのです。


通常は急性の腰痛の多くは腸骨の高さを見れば左右で違いがあったり、
左右とも上下どちらかにずれたりねじれています。


それは臀部筋や腹部の奥にある大腰筋や起立筋群の過緊張が原因のひとつです。


仙腸関節から緩める」か「首の後から緩める」か。


簡単に言うことはできませんが、
ケースバイケースで状況を見て対処しなければならない。



私はいつもは大殿筋あたりを緩めることを先にしています。
意図するところは仙腸関節仙骨と腸骨の関節面がずれて
噛み合いが悪かったりすると、
体全体の関節がちょっとずつか大胆にかずれさせることで、
大関節面を持つ部分をカバーしようとするのですよね。
特にズレが強い関節側は大胆に緊張してしまう。


仙腸関節
こちらは体の中でももっとも大きな関節面を持つもので、
脊椎の仙椎と脚部の骨の腸骨をつなぎ合わせ胴体の重みを脚部へ流す重要なルートです。


動かないとか動くとか議論が絶えないところですが、
それは事実を認識していただければ済む話でしょう。


仙腸関節を緩めて左右のかみ合わせを改善させると、
仙腸関節のズレを代用関節のような形でカバーする実に多くの複数関節が即効で緩んでくれます。


そうなると施術を何度か受けて深層筋まで緩めるような施術をしたことがある方の時は、
仙腸関節の代用関節的なズレを調整していたため表層筋や中層筋などが固まった部分が
ささっと緩んでくれている。


そうすることで、その下の前回に引き続いて今回解くべきところが表出してくれていて
そちらをチェックしてこれからの作業を予測していけるわけです。


そしてこの仙腸関節を緩めて正していく作業をすることで急性の腰痛も改善させやすくなるのです。


つまり患部の腰部の激痛部分は一切手を触れていませんが、
それでも痛みがだいぶ軽減してくれるようになっています。




ただときには腰痛部分の痛みがあまりにも酷くてうつ伏せになれないときもあります。
うつ伏せになろうとしても、腰部分が中空に盛り上がって落ち着けないし、
このようなうつ伏せ姿勢は、この状況では激痛を上乗せさせることとなる。


そうなると頸部裏側から解いていくことが、常套手段となります。


仰向けに寝てもらいます。
急性の腰痛ではまっすぐ姿勢はきつい姿勢です。
膝の下にクッションを入れて、
少し膝を屈曲させ大腰筋が弛緩させておくとよいでしょう。


そして頚椎の裏側を解いていき、
脳内で作られ発せられるドーパミンというモルヒネ作用のある物質を出してくれるように導いていく。
頚椎の刺激では脳の近所を刺激して、脳の中枢の動きを活発にさせることになるのです。


そうやって脳内の麻薬物質として鎮静効果を示すドーパミンを出してもらえれば痛みが少なくなり、
精神的な緊張感が減少してくれるのです。


そうしていくと少しずつ側臥位や、うつ伏せ寝の仙腸関節を緩めさせてくれる姿勢が取れるまで
状態を持って行くことができるようになります。


そのような狙いで、「今日は頚椎の刺激から初めていきます」というときもあります。
積極的に自前の脳内麻薬ホルモンのドーパミンを利用したい意図があることもあるのですね。




ケースバイケースですが、
ただその回の施術では頚椎を解くことが重要な場合に、
仙腸関節から全体をみて最後に頚椎をとこうとしても
気づけば施術時間がなくなってしまったとなることも。
かなりあたふたして、
時間調整に追われます。


そうならないために、
真っ先に頚椎を緩め、
頚椎を解く時間の確保をするときもあるので。^-^;