半年前の施術はかなり痛かった記憶があるが、今回はさほどじゃなかった。とのことの理由

「筋膜のリリース」といっても、
そこには、どれだけの「量」の癒着がほどけたかのみに着眼するだけではなく「質」にこだわる視点も出てきます。

ならば、
筋肉の繊維の流れの整列、深部・中部・浅部と多層化された筋膜深さのバランス、患部周囲のリンパや血管神経との関係、靭帯や腱や関節の間に挟まるクッションなどを整える作業などなど。
捉え方を細分化して検証していけば、
それぞれの先生方において、それぞれの筋膜のリリースの結果は別物になってあらわれるものです。



つまり「筋膜リリース」とはざっくりとしたお題目のようなもので、
それを取り扱う先生ごとに、用途や用法が違ってきて、取り扱う項目分けの別もでてくるのだと思います。
その視点で探り続けることで、独自のおもしろいアプローチ法に各々の先生方は着手していくのでしょう。



施術者が自分なりの課題を持って創意工夫をして解決して結果を得ることで、
より人体のあるべき姿へ近づけようとしています。



ただそこには他の先生との比較もあるが、
他にひとりの施術者が時系列上の深化の変遷もあらわれてきます。



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一昨日前の顔見知りでお世話にもなっている方への施術にて。

背中等の圧をかける手技で、
半年以上前の前回に受けたときと、
今回受けたときでは感じ方が違うといっておられました。

前回の施術をさせていただいたときも、
・背中へのホットストーンの敷石利用、
・ベン石温熱器とベン石スティックの利用
・その他の当時の最新の工夫

熱が筋膜の慢性化した癒着した部位は足らなくなっており、
筋膜のコラーゲン組織が冷めて収縮性を失い硬直しています。
なので熱を患部にあたえて冷え取りをなして正常な暖かさを担保させることで、
代謝が滞って神経系も含めた過剰な緊張の張りにより痛みが発する防衛反射を緩めることもできる。

以前からお客様に「筋膜リリースをするときは、麻酔がほしい」と苦笑まじりに言われていました。

麻酔は私には使えませんが、熱を一定時間患部にあたえて代謝を起こさせることにより、
実質、麻酔ではないがパンパンにつっぱらかって触れられたら即激痛という状態を脱するよう下準備はさせていただいております。

それができたため、以前にも増して深層の部位にまで筋膜の癒着部をリリースすることができるようになったのです。

その時点で、私の手技後の感触では、以前より4~6割ほど増した感じでしょう。
手間暇時間がホットストーンの設定や研究にかかりましたが、
十分なお客様にも私にもよろこばしいリターンをえられたと思います。



この下準備がなければ、今おこなっている頚部のリリースはできないので重要なこれからの施術の基礎となりました。






今回の施術では、別にもいくつか取り組んで伸ばした施術上の工夫があります。


たとえば、

【ボウエンテクニックの仙腸関節の詰まり等をゆるめるテクニック】

背中のリリースの前に、ボウエンテクニックの講習会で学んだレッグロックを使った非常に効果的な仙腸関節の調整をしていた点。

仙腸関節がずれた状態であれば臀部の筋緊張からくる腰部や脚のハムストリングスなども引き連れて神経が過剰に高ぶり続けます。
それを効率よく適切に仙腸関節の異常をチェックして数手の手技で緩めていきます。
すると腰背部全体に変化が起こります。
施術でうつ伏せでいれば、胴体を垂直に立てて体幹をキープする必要がないにもかかわらず、
いったん仙腸関節の異常が生じると寝て体幹部を緩めて弛緩させていいにもかかわらず緊張が抜けなくなります。
その状態に陥っていれば、横たわっても立って緊張し続けているときと同様な筋が使われ続けてしまいます。
非常に無駄なロスが多い作業を、無意識に手放せない体になっていたのです。
寝つきが悪い人、寝ても身体が復活しない人などの多くはこの状態でしょう。

施術終わりの直前にも、仕上げとして再度、このボウエンの仙腸関節のリリースが必要かどうかチェックしています。
この仙腸関節部のリリースをラストに挟むことで、いままで施術後に頭がくらくらするような状態に陥りやすいお客様が、
それがさほどおきなくなるという狙いもあります。
この仙腸関節を解くときに腰仙関節も調整を同時にしていて、
それにより後頭骨と第一頸椎の隙間を根から調整し施術後のふらつきを減少させるかほぼ起きないように仕上げています。



【あとは・・・】

専門的なことを描きすぎても得体のしれないブログになると同業の先生に指摘されて、
詳細の解説は割愛させていただきますが、

・皮膚の連結をとらえて関連する周辺を含めてリリース

・リリースの患部周囲に影響範囲を限る固定点をもうけることで部分リリーススポットがクールに解けるように

・いままでの垂直加圧とずり圧から、患部へかける熱量が格段に伝えよく強烈に作用されるスクリュー圧へ

・特に四肢を通して四肢およびそれに関する胴の部位において、
 四肢を持って関節を正常位置につなげる操作を丹念におこない、いっきに深層部のゆがみの変化を起こすこと


などがおおものといえる、ここ半年に施術課題として取り組み臨床まで落とし込めた点です。
これらはすべて<お客様に対しての痛み等の負担が軽減するかまったくないようなリリース法>なのです。
筋膜の癒着部を安全にリリースできる伸びが増すことにもなりました。


このような新たなこころみを有機的に施術に取り入れたことで、
一昨日前のお客様には以前の施術との変化を感じたのでしょう。



ただ今回のお客様のコンディションは、ココロが安定し、以前よりも過緊張で起きるゆがみが少ない状態だったし、
左脚部大腿部が左側腸骨の上前腸骨棘を下方に落とし込んで左右屈や前後屈などを起こし腰椎のねじれを作っていたが、
そこのリリースに丁寧な対応を股関節や足首、膝、脛骨腓骨、その骨間膜などから鼠径部の問題など1時間半かけた。

この部位は急性とはいえない昔からの癒着が表層にあらわれ炎症もあらわれている。
今回はこの部位のリリースが丁寧におこなうかどうかで、
施術後の状態が天地ほどの差が出るといえるような違いとなる。

これですっきり左右の骨盤の傾斜を消せるまで微調整をするのに時間をかけたものの、
寝ている状態と意識はあって耳は聞こえていて周囲の様子は察知するがカラダが寝ている状態を行き来しておられまして。
それによって、
「今日は脚はあっさりとしか解かなかったね」という、言葉が。^-^;

慢性の凝りと急性の凝りが左脚部の前に溜まって炎症の強い部位があったのですが、
その部位をアプローチするときに、寝ている状態と特別な意識状態を繰り返していました。


カラダが寝て意識がある状態に移行するのはボウエンテクニックの特徴です。
その意識状態になると時間の経過感覚が消え失せるので、
それででた言葉だったのでしょう。

おもしろいですね~。

またこの意識があるがカラダが寝切る状態のときに、身体内部の微調整が自動でおこなわれます。
カラダの部分部分が、ぴくぴくと微痙攣をおこして凝りを自らほどいていく、良質なリリースが起こされている。

その様子を観察しつつ施術は進められました。



それらが総合されて、
今回の施術は彼にとって痛みや負担がないまま終わり、
ちょっとあっけにとられた様子が見受けられました。


ちなみに半年前のそのお客様の身体は、肉体的なストレスも蓄積していたかもしれませんが、
それ以上に肩の力が緊張として抜けなくて上半身が実になって下半身が虚というアンバランスがあり、
上半身の筋に入り込んだひどい炎症が、脇や前胸部、首、喉、その他にそこかしこに散らばっていたのです。
その部位がリリースされるとき痛みがひどかったんですね。
急性の炎症は、一円玉ほどの重さの圧をかけられても激痛なんです。

それが今季は彼の仕事上のストレスが急激に消え去ったおかげか、
上半身の凝りを貯めるようなプロテクター筋のショッキングな塊が消えてました。
それが本人には気づかないうちに起きていたことで、
それもあって、より痛みの抑えられた施術となって感じられたのでしょう。



めでたし、めでたし。 ^-^