仙骨のカタチ

以前も申したことがあるかもしれません。
仙骨の周りに強固な筋肉や靭帯のしこりをつけていると、
妙に仙骨が大きい物のように思えます。


それは仙骨の骨の形状を誤解していることとなります。


強固なしこりが仙骨の周りにはびこっている状態では、
仙腸関節を緩めて動かそうとしてもできないものです。


そうなる理由を考えてみると、
仙腸関節が動きが悪くなれば、
上半身全体の重みを仙骨から腸骨へ伝えるときに、
がっちりと密着して遊びの部分としての仙腸関節の緩衝材がないと、
仙骨に強い負荷をかけることになります。
仙骨を傷つければ生死に関わるダメージをあたえることになります。
仙骨を強打すれば呼吸がとまり、
やがて心臓が停止することもあります。


だから仙腸関節周辺が固まって仙腸関節が動きが悪いと、
自己防衛本能的なことが加味されたシステムなのか、
広域に渡る他の関節の動きを抑制させ、
生きながらえようとします。


なので仙骨のカタチが、
仙骨の骨のアウトラインを正確になぞらえられないならば、
なんらかの体全身の動きに当然のように問題が出てきます。




私がなぜ、仙骨のカタチを誤解しないでというかと申せば、
たまたま施術のデモを同業者の方にしておいたとき、
デモを受けている人の仙骨の形が私が明らかにしこりがはびこって
異型となるように見えているのだが、
同業の先生は何ら問題ない正常だから、
仙腸関節をこうやって手技で緩めてとした。
確かに仙腸関節は先ほどとくれべ物にならないほど動くようになっていた。


ですが私はもっとスムースに動かないとおかしいだろうという。
そこでこれで十分だという意見と不十分だという意見に割れた。


微妙な険悪な雰囲気を漂わされて、
冷や汗モノです。


ただこのようなことは別に抽象的なお話をしているわけではない。
実際に解き進めて結果を見てもらいさえすればいいだけの話です。


そこで私が仙骨周囲のしこり化した部位を緩めていく様子をみて、
仙骨の形状が変わっていくことに驚いておられた。


何度かそのようなデモを同じモデルを元にして施術を積み重ねていくと、
次第に仙骨部分がペコペコと前後に動きだすようになってきた。
そのことにも驚かれていました。


こんなに柔軟に仙骨は動く骨だったんですね、と。


深層筋と言えるような骨盤部の深部まで緩めなければ、
このような仙骨の形状を確認するのは難しいものです。


私も以前はここまで深層筋部分へと迫るところまで
開放できなかったため、
この先生のおっしゃっている感覚はよくわかる。
同じように、そんなに大人の仙骨が動くなんて
信じられないといったかもしれない。




スポーツ選手やダンサーなどのような健康体この上なく、
なおかつ優れた体の機能を発揮させるために忠実な肉体を持つものにふれる機会があれば、
理解もしやすかったであろう。


仙骨の全体の骨の際がくっきりとすっきりとしだして、
周囲の筋肉が適宜緩んできてくれたときに起きる体調好転の様は
とてもすばらしいものがあります。


そして反面、この仙腸関節を理想的に緩めるまでのことに至らなければ、
施術の成果などが比較的元の体調が不良だった状態に戻りやすいのです。
その点を注意すべきでしょうね。