横隔膜が動きづらくって息苦しい人の、影に隠れた問題とは?

慢性的な疾患をお持ちの方や、
日頃からストレスフルな仕事形態で頑張る人たち。


「なんだか私は息苦しい・・・」
「腹から息ができてないんです・・・」
そんな言葉を聞くことがあります。


自分では一生懸命、横隔膜を上下動させようとしておられます。


ですが、そんなことをするとすぐに疲れちゃう。
そして、意識をしなければ横隔膜の上下動がさっぱり感じられない。




それは、なぜ?



横隔膜について、関連付けした知識を増していく必要があります。


ちょっと解剖学的な視点で、呼吸に関係する隔膜をチェックしよう。


隔膜とは、地面に対して水平に位置する筋肉の層状のものです。
隔膜といって膜と書かれてますが、
一定の厚みを持った筋肉の層で構成されている。


代表的にわかりやすいものに目を向ければ、
それが腹部上下の中央に位置する横隔膜ですね。


他にも、喉にある声帯隔膜。そして骨盤の底面にある骨盤隔膜


声帯隔膜・横隔膜・骨盤隔膜.png


声帯隔膜・横隔膜・骨盤隔膜ともども、
一回の呼吸をするたびに、
必ずそれぞれ決まった方向に上下動を繰り返すように作られています。


横隔膜だけが上下動しているわけじゃないのです。
呼吸代謝が制限されてしまっている抑制された状態。


健康な呼吸ができるときには、
3つの隔膜が決まった方向に向かい上下動するように設定してある自立型なしくみ。
それが例えば横隔膜が問題がなくても、
首の周りの筋肉が硬くなって声帯隔膜が上下しづらくなっていたり、
骨盤周囲の筋肉や腹部や脚部の硬化が著しく骨盤隔膜が上下しづらくなっていたり。
そうなれば横隔膜が、引きづられるように動きがとれなくなるのです。


特に注目していただいたほうがいいところは、
次のような仕組みです。


骨盤隔膜と横隔膜との動作の主従関係.png


骨盤隔膜が下に向かって動くとき、
それにつられて横隔膜が同期して同じ方向に向かって動き出します。


・ 骨盤隔膜が下方に動き出す → 横隔膜が下方に動き出せる
・ 骨盤隔膜が上方に動き出す → 横隔膜が上方に動き出せる


骨盤隔膜と横隔膜は、動きの主従関係がきっちりあって、
横隔膜が動きが悪いなと感じている人たちのほとんどは、
骨盤隔膜がほとんど上下動していなかったという人。
実に多いいのです!


つまり息苦しさの解消のため目線を横隔膜だけに向けていたら、
見当違いなアプローチを繰り返すだけになっているのです。



基本、私どもはそのようなことは把握していますから、
お客様に何かいわれるまでもなく息苦しいと言われれば、
徹底的に骨盤隔膜の周囲の筋膜の癒着をリリースします。
臀部筋、脚部内側の筋、腹部の筋、鼠径部、、、その他。
ここが硬くなっていては動けないのが骨盤隔膜ですから。
ただ実際は、骨盤底筋は肛門や外性器に位置する部位に
硬化して動けない骨盤底筋が存在していて周囲の筋肉と
ガッチリ癒着しているわけです。


多くは婦人科系の疾患を持たれた方には、
そのような癒着の傾向は強く現れている。


また精神的に鬱に入る状態の際も、
そのような傾向があります。


また婦人科系の疾患にとどまらず内臓疾患について、厳しい方々にも、
骨盤隔膜が上下動しづらくなっている方が多いようにも見受けられます。


要は骨盤隔膜(またはときには骨盤底筋ともいいます)が、
意外なほど具体的なリリース必須ポイントなんだと言える。
そちらが改善された後に、体質が好転するものも多いので。



ただ、骨盤隔膜部分に問題があると告げられると、
今までまったく気にならなかったところだったが、
いきなりそこにリリースのヒントがあるという思いよりも、
自分の思い通りにならないネガティブなものがそこにあり、
自分ではそこを反転させてよく出来づらいものがあると。
そんな歯がゆい、気にばかりかかってしまうところがある。


そのようなことを気づいてしまうのは、
得策ではないと考えるような範囲内の人は、
私はあまりこの部位について指摘をしません。


ただし、なかには絶対早々にこちらの事情を知っていただき、
自身でリリースに協力していただけるような意識を持っていただいて向き合って欲しい場合。
そのときにはできるだけわかりやすく説明をするようにして、
仕組みの理解を促すようにしていくようにしております。


普段は意図してスルーして解説をしない部分です。
つまり解説したいなというネガティブな情報を、
そこそこ健康な人にでも20〜30は見つけるし
健康でなければ、その数倍やそれ以上見つけてます。
そのようなことをあえて言われれば、
私なら大幅に凹む気持ちになります。


人は、賞賛されれば力が出ますが、
ネガティブな言葉に聞こえることを投げかけられれば力がでなくなります。
不思議と、ネガティブな事実を伝える側も、相当なストレスがかかります。
施術者も、お客様を賞賛したほうが力がいきいきとしてくるようですから。


それでも伝えたほうがいいと踏ん切りをつけるのは、
こちらのピースを外しては先々手詰まり感がでると踏んでのことです。


自身の骨盤隔膜、ここを感じ取ってほしい。


リリースポイントとして、こちらを除外してしまうのは、
とてももったいない!!


と思っていただければということですよね。




だったら本筋では、
そちらに直接圧をかけて骨盤底筋へとアプローチをしたいところです。
ですが、気づかいをしっかりしている指圧の本や施術解説書には、
お客様に恥ずかしい思いをさせるのはNGとあります。
失礼に当たる部分にずけずけと入り込むのはいけない。


まさにそういった部分が骨盤底筋部分です。


ですから私もお客様にこのような部位に問題がありそうだから自身でリリースをお願いします。

問題をお客様に丸投げしているように感じられますが、
私の目的としては、そこではないということは理解いただけましたら幸いです。


施術をする方としても、もどかしいところですが、しかたのないところもあるのです。
せめて、マッサージ方法の詳細をテキスト等にできればいいのでしょうが、、、。
個々の状態が大きく違いすぎて難しい側面もあり、手が出しづらいところもあります。
ただ、リリース補助の方法を考えておかなければなと思うところではあるのです。



息苦しさが強く骨盤隔膜に硬化が著しい方の場合。
私が施術で骨盤隔膜に関連する周囲の筋肉群をゆるめてからでなければ、
セルフで骨盤隔膜にアプローチをしても、なかなか思うようにリリースできないようです。
そのようなことで私どものような筋膜の癒着をリリースする施術で、
十分な問題箇所としての骨盤隔膜に影響する部分をゆるめて
骨盤隔膜が緩みやすいようした準備をする。
それは意義深いことなのだと思います。




決定的に、息苦しさがうそのように低減させていくには。
時間はかかりますが横隔膜に関係する周辺部位にまで手を伸ばして直すのです。
それは骨盤底筋が緩んで上下動が自然に起こるような仕組みに乗せることができる手順を踏むのが必須なのです。


実際には、他にも相応なお客様ごとの個別具体の状態を踏まえていきます。
骨盤隔膜を解いてくださいねとアドバイスできるまでの下ごしらえとして
ステップ数をいくつにも割って計算したうえでの施術をして、
うまくいくようにしていくわけなのです。
そこまでしても、なかなかうまく行かずに不満だなと思うところがあります。



どうにか、現状の私が考えているリリースへの改善の糸口が磨ければと思う次第です。




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今回、声帯隔膜・横隔膜・骨盤隔膜について私が知った本。
ご紹介させてください。
下記の書籍です。


以前も、こちらのブログで取り上げさせていただいたことがあるかも知れないですね。



自然呼吸法の本


本来の正しい呼吸を取り戻し、心身を活性化させ、ストレス撃退! 写真・図版多数収録。生きることは<息する>こと。大事な呼吸法のすべてがわかる! 呼吸で心と身体を鍛え直す!


著者:ドナ・ファーリ (ファーリ,D)
1960年アメリカに生まれる。ヨーガ歴は20年以上の世界的に有名なインストラクター。『ヨーガ・ジャーナル』誌の編集に携ったり、ワークショップを行ったりしている公認セラピストでもある。本としては本書が第1作目




私が持っているのは、上記の本の前に出た出版社では重版未定で、もう書店では売っていない本。

自分の息をつかまえる―自然呼吸法の実践


重版されない理由は、自然呼吸法の本という本に表紙等は一部変わった部分もあるが、
それ以外はほぼ同一の本が出版されたので。 ^-^


重版では書店では平積みしてくれなさそうですが、
表紙が変われば、新刊と間違えておいてくれるのか??
どーんと表紙を変えて、売りだしたのでしょう。


ちなみに自分の息をつかまえる―自然呼吸法の実践は、
アマゾンで中古本として購入しようとすると¥ 12,215より。
体が良ければ¥ 30,237
高額取引されているのですね。
驚きました。


本来は『自然呼吸法の本』が定価で2052円です。
こちらを買っていただければ十分だと私は思うのですが。


書籍の値付けって、魑魅魍魎が跋扈する感じですよね。 ^-^;