錘をてこにした施術のための「錘」の処分をしました


私が今年の1月末日から母の介護中に施術をしているとき。
それはかなり無理な姿勢での誠心誠意の施術の連続でした。


大学病院のベッドや介護用ベッドとは施術用ベッドとは違っています。
ベッドのクッションの沈み込みが強すぎて不安定なところを
必死に地面についたもう一方の足のつま先でぐらつかないよう支えて固定していた。
それにベッドの幅が思いの外広かったり高さが合わないので、
足指で支えて固定するときにはちぎれんばかりの力をこめて固定セざるを得なかった。
私がぐらついて母の上に倒れようなものなら、
それがもとで死期を早めることになりかねないという思いがあったから緊張もするわけです。

その足指での無理やりに課した固定により、
私の足の指やつま先の感覚は、冷感も痛覚も消えてしまっていた。
自分で自分の足指を触っても、もう、触覚は働かず、触られた感覚もない。
ただただジンジンと痺れ続けている異常事態のかすかなサイレンが鳴りっぱなしです。


私が重い錘を巧みに使って、通常ならなかなか解けるはずがない筋膜部位をリリースしていた、
独自のやり方を手放すしかないだろうと判断をしたのは、
実はこの錘を使いてこ操作で患部をリリースするやり方では、
足指の力加減とそこから生み出される微量な方向調整操作が命です。

 

それが、足指の感覚が麻痺して、そこに足指があるのかないのかさえわからない感触になっていた。
床での施術は、必然的に立膝で足指でのバランス調整が必要なので、
それが、できないような身体の状態になってしまったのですね。


「錘を使った施術は諦めなければならないのか、、、。」


自分自身の身体が回復するにつれて、
足指のコンディションも取り戻せるかもしれません。

今までの研究成果を手放してしまうのは
その施術成果を期待しておられるお客様にとってみてももったいない話です。
他の施術をなさる先生方がなさらないノウハウが
そこではふんだんに取り入れられて成果がだせるものです。


ですがあまりに足指の腱を介護中の施術で緊張のあまりいじめすぎたため、
一ヶ月過ぎた今もその感覚が、十分には戻ってこない。

私自身が自分の足指をケアしても、これほどのなおりの悪さですから、
当時の施術を母にしているときは夢中でわからなかったのですが、
ほんの数ヶ月で体を壊さんばかりに使い倒した日々を送っていたんですね。


あらためてその当時を振り返えってみて。
当然のこと、そのときの施術をしたことに後悔はありませんが、
精神的な余裕が擦り切れた状態でおこなう施術には、
身を削って消耗が著しいものだと痛感しました。

 

それで致し方ないと床での施術をあきらめるしかない状況。
「脚を立てたワークベッドでの施術」への選択しか、私には残されていない。

ワークベッドを使う施術では、足指の感覚麻痺があっても、
かかとを地べたに庄をかけて体の操作をすることができます。
かえってそうするほうが、庄を生み出すときなど力みがグーンと消えて、
施術成果がずばぬけて良くなるというもの。

だから、ワークベッドでの施術への移行は問題はないのですが、
今まで私が使っていた施術技術の用い方を大幅に変えるのには
新たなセオリー付や発見がなければ変えたあとに
新たな施術技術を使いこなせないものです。

 

そのシミュレーションに時間を掛ける必要があります。


それで私が目的とする施術が成り立つかどうか。
その様子を見ていかなければならなかったので、
数名のお客様や私が施術を教えている人などに協力していただいて、
その試行錯誤をはじめていたというのが、ここ最近のことです。
中医学診断学でそのときどきの施術法やアプローチポイントを選択し、
施術ではプルパを使ったり、ボウエンテクニックのムーブをいかしたり、オステオパシーの手技をいかしたり。

脳内でリアルに想像できていけるようになれば身体がそのイメージに反応して動きが卒なくなっていき、
それから実際に私が施術を教えている人などに協力していただいて、
うまく意図通りに施術技が機能してくれるか、成果がどれほどでたかをみていく段階です。

 


ひと月以上施術を休んでみれば足先の感覚がもどることがあればと淡い期待を持ってはいたのですが、
どうにか50%程度は戻ったが、細かい施術をカバーできるほどの高度なセンサーにはなりえていません。

 


錘を使った施術をできるようになるか、
それとも錘を捨てて他の施術スタイルに変化させていくか。

一気に大きな変化を強いては負担も大きいので、
できれば錘を生かしたかったというのが本音でしたが。。。


残念ながら私の、足指のセンサー機能が不十分という状況を判断した結果、
今日、長年お世話になった重い錘たちと楔型ブロックを含め総計15個ほどの工夫し自作した道具を、
踏ん切りをつけ、あきらめて処分しました。


そのおかげで部屋の中はスッキリしました。。。

ただひとつの私の大切な時代が終わったかのようで、
当初は想定外のことであり戸惑いもありますし、
寂しさが感じられます。


人生にも波風がありますが、
施術にもそれは見受けられるものです。

 

後ろを振り返らず、
前をむいて生きてゆかねば。