「ちょっと舌をお見せください」と、
私の母が他界する数ヶ月前に鍼灸院の先生に診ていただきました。
そのときのことを、いまだに頭から離れることはありません。
私はそのとき、先生がどのような情報を母の舌から得ていたのか。
まったくわかりませんでした。
舌診について、私には知識がそのとき、ほとんどありません。
母の舌からは、いい情報ばかりではなかったのでしょう。
それはわかります。
だから私から先生に「多くを教えてください」とは言えませんでした。
それでより先生の見立てがどういったことか、不安でした。
先生からの言葉を聞いても、中医学の単語がでてわからない内容。
きいたことがない単語がひとつでもでてくると、
難解なものと空恐ろしいものに聞こえてきます。
難解な中医学単語が増えれば頭はパニックです。。。
ただ先生の説明をわからないなりにノートに書き留めていました。
そのときに持っていたかった知識が自分にない不安さ。
それは、私自身の情緒も不安にするようなつらさです。
それが私の舌診を受けた人を目の前でみた最初でした。
今になってみると、舌診の本も多数あることがわかり、
ホームページにも舌診の知識を公開してくれている人もいます。
ただ私が母の介護をしていた当時は、
そのようなところにまったく気が回らなかったのです。
なので、いま、私が舌診を、理解を深めたいという思いがあります。
舌診の臨床でどう使うのか?
わかりやすく図にするとこのような形になるようです。
たとえば、
舌を見せてもらって、
(淡い紅色)であれば正常です。
青紫色をしているなと思えば(寒証)にあたり、
赤紫色をしているなと思えば(熱証)にあたります。
まんなかに正常があります。
正常の位置にキープすることが大事です。
そこから左右の(寒・熱)に離れてバランスが崩れれば、難ありということ。
あと、自分用の記憶のために、もうちょっと詳しいところを記録させていただきます。
※ 舌診で、気血の盛衰、病邪の性質(寒熱)、病位の深さ(表・裏) 病状の進展度が判ります
・正気の盛衰を判断する
たとえば、
紅舌---気血の充実した状態で理想的、淡舌---気血の衰退、老舌---正気不衰の実証、嫩舌---正気衰退の虚証
苔(こけ)がないとき---胃気や胃陰を損なうので、苔があったほうがよい
舌がうるおっているほうが、津液が充実していて、乾燥した舌は津液が損傷していてよろしくない
・病位の深さを弁別する
たとえば
苔の薄いときは、表証、または病邪が軽く、苔の厚いときは、裏証、または病邪が重い
淡紅舌または舌尖端が紅で薄い白い苔のときは「熱入衛分」、紅舌黄苔のときは「熱入気分」、絳舌(こうぜつ)といって赤い色よりさらに赤い色のときは「熱入営血」。
・病邪の性質を区別する
たとえば
白苔(寒邪が多い)、黄い苔(熱邪が多い)、滑らかな苔(水飲が多い)、まったりして剥離しにくいとき(湿邪・痰濁が多い)、ぼろぼろとはがれやすい苔のときは(食積、痰濁(乾燥))
淡紅舌で、瘀班・瘀点がなく舌下静脈が正常(気血滑利)、紫暗舌で、瘀班・瘀点があり舌下静脈が異常(気血凝滞)
・病気の身体を予測する
たとえば
薄い苔から厚い苔への変化は、軽症・表証から重症裏証に進む兆候があるということ
厚い苔から薄い苔への変化は、病邪・裏証が減退する兆候
潤苔から乾燥した苔への変化は、津液損傷の前兆
乾燥した苔から潤苔への変化は、津液が回復する前兆
白苔から黄苔、さらに灰色の苔・黒色の苔へと変化するのは、表証より裏証へ、または寒証より熱証へ、軽症ようり重症に変わる兆候
そして舌を診る手順は、
まずは舌苔の有無をみて、厚い薄いをみて、腐膩、色調、潤うか乾燥しているかを観察。
そして舌質の色調をみて、胖痩(舌が太いか痩せているか)、歯の形が舌についていないか、亀裂紋が入ってないかなど、
調べて状態を診ていきます。
願わくば、
いつかは舌診を用いて少しでもお客様の役に立ちたい。
そのようにしたいと思っています。