『脈診講座入門』脈で触れた血管の感触がぐにゃぐにゃだ!なぜ? 脈の強さと、熱証・寒証。

去年、私が脈診講座を受講していたとき。

講師の先生が私に尋ねました。
「鈴木さんは、なぜ、脈診が必要なの?」


私が筋膜リリースという整体のような施術をしている者だとはお伝えしてました。
鍼灸師漢方医等の他の脈診を積極的に活用する職業ではないので、不思議に思われたのでしょう。
他の受講生たちは、みな、鍼灸師です。


脈診講座に通うと決めたとき。
オステオパシー等の西洋の筋膜リリース系の文献ばかりを読み漁ると、
骨格筋や骨格、血管やリンパ管、そして神経などに対して専門的な解説がなされています。
その方面の最新情報を得て施術でいかすだけでもかなりの勉強量で、
内臓等の知識はオステオパシー系の内臓マニュピレーションほどで、
内臓部への理解が浅く対処力がないように痛感していた時期でした。

私が脈診講座を受講する前は、
脈診イメージが{脈を診ると内科的な五臓六腑の好調・不調が読めるようになる検査キット}でした。
私の返答は「五臓などの内科的な面をもっと深くとらえて仕事をしたいと思いまして」だと思います。

今考えると、脈診に対しての知悉な認識が丸見えで顔が赤くなります。

 

 

脈診講座入門編2.png
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脈の強さについて
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私が教えていただいた脈診講座では、{脈位}の次に、
{脈の強さ}について、教えていただきました。

{脈の強さ}
柔和脈
軟脈
硬脈


硬脈・柔和脈・軟脈.png

 

脈の中にある血や津液が過剰・適量・足らないイメージです。
多少ざっくりとイメージが伝えたかったので上図は不適切な印象があるのは否めませんが。
一般の方への理解を進めるためにということで。m__m

 


脈の強さを教えていただくときに、
脈の見方の基礎を教えていただけたように感じます。


脈診のとき、指の腹が<寸・関・尺>に触れた瞬間、
もし脈管が不明瞭であれば「軟脈」です。
もし脈管の硬さが硬いかどうか判定をして、硬ければ「硬脈」。
さもなくば、「柔和脈」。

この言葉を、何度、先生の口から聞いたことでしょう。

脈を診るときは、押さえ込むようなことはしません。
脈管の管にエッジが感じられるかを感じるのです。


エッジがまるで感じられないようなら軟脈。
そのエッジが硬すぎる塩ビのチューブほどなら硬脈です。
それに当てはまらなければ柔和脈。

つまり、最初の時点で軟脈とわかれば、
他の硬脈・柔和脈の判断はする必要がありません。

脈診は、システマティックなフローチャートが描けているんだと感じ、
内心、びっくりしたことを覚えています。

 

 

寒熱の脈の変化について。


脈診では、
「熱証」と呼ばれる虚実の「実」と
「寒証」と呼ばれる虚実の「虚」の両極があります。

たとえば、
【(硬脈)は、血管内部に血液と津液がたくさん存在しすぎた過剰な状態で(熱証)】
【(軟脈)は、血管内部に血液と津液が少なく虚した状態で(寒証)】

のように分けられます。


硬脈・柔和脈・軟脈の変化.png


他にも熱証と寒証としては、

脈位:浮脈は熱証、沈脈は寒証
脈拍:数脈は熱証、遅脈は寒証
強弱:強は熱証、 弱は寒証
大小:大は熱証、 小は寒証
高低:高は熱証、 低は寒証

のように熱証・寒証に分けます。


脈を診るように習慣づけば、
熱証は、まだ元気がある状態で病と闘う気力に満ちているとき。
対して、
寒証は、すでに元気が失われつつある状態で、
それはかつて熱証のとき持ち合わせていた熱が放熱されて、
冷めた状態。

熱証よりも寒証のほうが病脈としては深刻な度合いが増しているといえるのです。

脈を診ることができるようになれば、
脈の変化が< 熱証←正常→寒証 >のどの位置にいるか見分けがつくようになります。

 

 


筋膜リリースをするときに感じるのは、
熱証であれば直りはよく、
寒証であれば時間と労力がかかります。


お客様との初見で、またはお客様がお見えになられたときのその日の脈状から、
施術の進行が相応に推測させていただくことができます。


そのおかげで、昨今、見分けがつくようなことが増えました。

多くの脈で調べる項目が寒証に属していたところから抜け、
熱証かまたは正常に移行できたお客様の脈を診て。

「だいぶ、安定してきてますね!」
といえることです。

お客様自身は、カラダがだるい等のつらさを背負って数週間おられるということが、
寒証がさらに悪化したために起きたことであるか、
今までの寒証の位置から変化して状態が改善方向へ向いてきた脈状か。
そこで違いを読み取ることができます。

お客様の言葉通りに、だるくなってカラダの内部の筋膜の癒着がはびこる量が増したなら、
寒証の脈が強まります。
ですが脈を読めばカラダの芯が暖かさを取り戻しだす変化が表れている。

その状態を確認して
「だいぶ、安定してきてますね!」
といえることです。


以前は、私も自信なさげに、
「おそらくそれは、好転反応により代謝ルートがかわってきている過程で、
 カラダに奥まった炎症部位を修復しているんだろうと思います。
 様子を見ていただけませんか?」
という返答になっていたところです。
体内部で起きることを、調べる術がありませんでした。
レントゲン撮影や血液検査等々、なんらできない私では。

 

それが私が脈診で客観的指標を持つことができたことで、
「着々と沈んだ脈が正常化して、脈拍数も一呼吸に5回でちょうどになったし、などなど。
 だから以前よりも状態がいいですね」と言ってみたい気持ちになります。

施術中、脈を調べた結果からというと、
お客様が私同様に脈診できれば確認をとっていただけますが、
そうではないときには複雑怪奇な脈状の説明をはさんでいくと、
「鈴木さんが、わけわからないことをいいだした???」となるかと。
意味不明なことをいわれるのも、診られるのも、なんだか不安だし、
緊張することです。

だから、ざっくりと「脈診ると、いいかんじです!」というにとどめますが、
体内部での改善変化が起きていることが見えたのは、私には施術プランが明瞭化できて大きい。

それはお客様への施術で、成果が還元されるでしょう。

 

 


正直に言えば、いまだに脈診の奥深さやデータ量の多さから、私が十分に使えているとはいえません。

ですが結果的に施術をさせていただく者として、
脈診に縁があったことに、
そして講座を受講させていただいたことに対して感謝いたしております。

脈診講座の先生が、私に「脈診はきみの仕事に役立つの?」という回答に、
「きっと、役立つと思います・・・」
というと、
「だったら、いいんだよ」
と言っていただいたことを思い出します。

 

今だから言えますが、ホットストーンを使った施術成果の評価は脈を診て状態変化を調べることで、
主観的な気分をはさむことなく、チェックすることができました。
それゆえに寒証化したカラダの状態はホットストーンの心地よい温熱効果による対応が優れている。
そうした実感が持てました。

かつては単純に筋膜がはがれた量が多くなった少なかったという視点が多くを占めていましたが、
別の目で俯瞰して状況を見通せる感じを得られるというのは素晴らしいことです。