微生物による分解
消化管には100兆を超える有益な細菌、ウイルス、真菌が生息しています。
ひとまとめにして腸内微生物と呼ばれている、これら常在微生物。
こちらが私たちに栄養を供給し、消化を助け、有害な微生物から守ってくれるのです。
そして私たちの体内の全細胞の90%は人の細胞ではなくて、これら細菌の細胞です。
私どもの人としての細胞は10%に留まる。
意外ですよね。
人体内部に生息する常在微生物との共同作業で私たちは生きていられるわけです。
たとえば私たちには消化できない炭水化物を結腸内の微生物はエネルギーとして使います。
その後に発酵やビタミンの生成、ミネラルの吸収にかかわってくるのです。
これって、すごくないですか?
そんな人との共生関係が成り立っている常在微生物がごっそり殺されることがあります。
「抗生物質を服用したとき」は、その一例です。
体内に入り込んだ有害微生物を殺すために抗生物質を服用したわけですが、
抗生物質は有害微生物ばかりではなく常在している共生する微生物をも殺してしまうのです。
抗生物質をとったらすぐに腸内細菌の多様性は失われ、11日後には最小値に達します。
こうした常在微生物が殺されたものも抗生物質を使った治療後に復活することもあるが、
過度な抗生物質の服用をしたときは回復不可能になることもあります。
抗生物質以外にも常在微生物を殺すときもあります。
抗生物質にも似た働きをもつ農薬・食品添加物などがつかわれている食品の摂取でも常在微生物が殺されています。
怖ろしいことですが調べてみると、
そのような働きを持つ農薬・食品添加物海外の先進国では使用禁止とされる農薬等も日本ではいまも許可されています。
基準値なら問題なしとして、人の体の健康よりも食品提供の利便性や供給のしやすさをとる姿勢といえるでしょう。
現代医学では、体内の常在微生物の量がどの種がどの程度いるのかを血液検査等で簡易計測できるものではないので、
そういった実態は見えてこないでしょう。
個人的なことで申し訳ないですが、
ミミズコンポストを自宅でおこなっております。
ミミズコンポストからでた肥料ともなる土には、
団粒構造といわれる土の中に空間がつくられて、
微生物がそこに常在して増殖しやすい環境をつくりだしてくれる優れものパワーがあるのです。
なので鉢が元気がなくなってきたなとなれば、ミミズコンポストの貴重な土を大さじスプーン3~5杯分鉢の土の上に乗せておくのです。
(内情:うちではミミズが死滅しかかることを繰り返したため、この土はまさに貴重な土なのです)
するとみるみる間に元気がなくなっていた植物がシャキッと復活するというシーンを何度もみました。
私が購入する土にはあまり微生物が入っておらず、
植物にとってみれば常在微生物の量が最小値の私たちの体と同じことが起きていたのでしょう。
それをミミズコンポストの常在微生物の量を増やす起爆剤を使ったことで、
人間が常在微生物との共生でえていたことと同じ有益さを受け取れるようになったのです。
常在微生物が土の中の植物が消化できない物質を分解し植物に栄養を供給して消化を助け、
なおかつ有害な微生物から守ってくれる。
ミミズコンポストの団粒構造を持った土を使うと、顕著に病気にかかりづらくなるんです。
健康を害しやすい人体内部とは、まさに常在微生物が足らない土に植えられた植物の如し。
枯れかけの精力を失った植物に、人体がシミュレーションされているように感じました。
余談ですが、ミミズコンポストへ投げ込んだ私が食した野菜のくずたち。
それらが食べてもらえる時と、一切、手を付けている形跡がないときと。
明瞭に二手にわかれます。
野生の動物でもあるミミズたちには、食べて身を亡ぼすものかどうかを知っているのでしょう。
私にはそれがわかっていなかった。
そのような気づきや発見が、ショックでした。
・・・・・健康の定義のひとつとして・・・・・
植物は土の中の常在微生物との共生が健康をもたらし、
人間は腸内の常在微生物との共生が健康をもたらしています。
先日、千葉県のほうへ足を運んだとき。
自宅用の畑を持っている農家さんが多く、
自分が食べる農作物だろうものを丁寧に育てておられました。
地の力がある土地で、農薬等を一切使わない農作物ならば、
腸の常在微生物たちとの健康的な共生関係が得られるのか。。。
うらやましい限りでした。