人体はテンセグリティ構造により立ちやすくできています

「背骨が骨がずれてるのに、なんで、筋膜を緩めないといけないの?」

「骨がまっすぐな位置に戻るように、その骨のまわりの凝りだけ解けばいいんじゃないの?」

などの疑問、わきだすときってありませんか?


曲がった位置にずれた骨の周囲だけを凝りのリリースをして済ませられると、
それはお客様にとって、大きな不利益がでてくるため、
骨のずれがみられているときに、単純な骨の骨格調整に頼らずに筋膜リリースで全身の筋膜の状態を改善させることに注力する理由は。。。





人体が立つという仕組みには、
「圧迫組織」と「引き張り組織」のふたつの組織がもちいられています。


それを象徴するものとして、
以下の写真をしめします。
私がかつてつくりました割りばしと輪ゴムを組み合わせることで立体化させた{テンセグリティ構造}をもつおもちゃです。

テンセグリティ構造.png

割りばしの棒が圧縮材となり、圧迫される支えの組織。
輪ゴムが引張材となり、張力により重力に逆らって浮きをつくる組織。
この二つの引張材と圧縮材が組み合わさることで、テンセグリティ構造と呼ばれる立体構造を構成することができます。


それを人体でいえば、
骨が圧縮材となり、圧迫される支えの組織。
筋膜が引張材となり、張力により重力に逆らって浮きをつくる組織。
上図と人体を対比すると次のようになります。

テンセグリティ構造 人体.png


圧迫組織の骨や割りばしは、その長さが一定で変わりません。
対して、引き張り組織の筋膜や輪ゴムには張力を持ちます。
圧迫組織を引き張り組織が内部へ取り込んで統合させることで、
重力に逆らう立つ力を持ちます。

テンセグリティ構造のおもちゃを観ればわかるように立つ力は、
圧迫組織としての割りばしの骨組みの据え置く位置により、構造体は変化しますが、
結局はその割りばしを据え置く位置を決めている唯一のものが引き張り組織の輪ゴムなんです。


だから人体も同様に、考えることができるでしょう
圧迫組織としての骨の骨組みの据え置く位置により、構造体は変化しますが、
結局はその骨を据え置く位置を決めている唯一のものが引き張り組織の筋膜です。

筋膜の引き張り張力が適正でどこかひとつでも張力の乱れがなければ、
人体は楽に立てるような力学的な安定性を持った構造を誇っているのです。



だが筋膜の引き張り張力のどこかが{強縮性の凝り}{筋力の虚弱した筋・筋膜}を持つならば、
人体を立体化させる張力の乱れは、その一部の張力の乱れた部分のみにおよぶにとどまりません。

それは筋膜組織が張力により全体がネットワークを持つことで人体の各々の部位の動作が統合的に変化を産むことで
スムースな動きができるよに仕組みができあがっております。
そうした全身性におよぶ筋膜のネットワークには、たとえば肩の筋膜が凝りが強まって張力が緊縮した状態となれば、
人体の全体に及ぶ筋膜のネットワークに影響し、一部の肩の凝りが、他の多くの部位の張力バランスを乱す作用をあたえます。
それは肩が凝ることで首の筋膜が張力上緊縮常態化されたことで、
一見すると無関係に見える足首の筋膜の張力が同様な緊張の常態化が現れることも見受けられるのです。

それは上に提示したテンセグリティ構造を持つおもちゃの輪ゴムのうちのどれか一本でも張力を変えれば、
そのおもちゃのモデル全体の形状が変化することがあります。
たとえば、地面に接している基底部の輪ゴムの張力を変化させる目的で張を縮める力を強めれば、
おもちゃの全体は基底面が狭まって全体がぐらつきやすくなります。

人体も同様で、足裏の足底腱膜と呼ばれる足裏の筋膜の特別な組織が異常な収縮を続ける常態化が進めば、
立位姿勢の安定性は減少してふらついたりぐらつきやすくなります。

どこかの輪ゴムの張力を変えれば輪ゴムの張力のネットワークにより全体の立つ立体構造体が全体におよんで変わるのと同様に、
人体の内部に輪ゴムに置き換えられる筋膜の張力が変えられれば筋膜の張力のネットワークの影響で立位構造が全体におよんで変わります。


実は椎骨の一部が左右に捻じれていたりその上下の椎間板が詰まっていたというのも、
全身を包みこむネットワーク上の張力異常を起こした筋膜が影響した末の現れといえるのです。

その証拠に、
そうした全身を包む筋膜ネットワークの調整をしたうえで椎骨部位のサブラクゼーション(変位)を調整したら改善状態が長く維持できるのですが、
単純にずれた骨を理想位置に行くように押し込み力で圧したことで位置修正をおこなったときは、ものの5分として改善状態が保てません。


だから私ども筋膜リリースをみるものは幾本も使われて立つ輪ゴムに置き換わる筋膜組織の全身におよぶネットワークを観ており、
そこからの調整を施していきます。
そうなるとお客様にとって「いや、そんなところは痛くないし不快さもない!」というところをアプローチすることもあるかもしれません。
ただ当初、お客様には痛みがなかったところが実際は骨格を大きくずらすような化け方をさせる炎症がありありの筋膜を探索して解くので、
解かれだして虚血化して痛覚神経が麻痺して痛みがちっともなかったところが、驚くような痛み具合を含んだ場所だとわかるときがあります。
または使い過ぎが原因で筋膜の張力が狂う状態の背景には、多くは正しく筋組織を運用するノウハウがないため、
主導筋と拮抗する筋肉の両者を力を強めてしまい筋膜の張力異常を自ら作り出していることもあります。
この自ら張力異常を作り出す癖があるときには、施術自体はカンフル剤のようなものとして作用され、
一時期、その問題の筋膜の張力が改善したときに筋膜の張力を乱さない使い方を学ぶきっかけにしていただければと願っています。


というように。

つまり、圧迫組織の骨は、その骨の位置が変位する悪さとは無関係な組織なんです。
張力異常におちいった引き張り組織の筋膜が悪さをしてたんですね。
筋膜の全身を包むネットワークが異常な張力を持ったときにはどうなるのか。
そちらを読むいくつかの特殊な専門的施術書に掲載されている方法があります。
その知識は日頃の施術をなすうえで基礎となり、また有効な臨床例が増すことで独自のノウハウが経験として高められていきます。
そのような独自のノウハウは、ほんとうにひとりひとりのお客様に対して、
どこまで時間をかけて徹底して向き合うかという姿勢に比例して増減するものだと、つくづく感じます。。


なんとなくという感触でも、まったくOKですので、
全身を包むそれぞれの輪ゴムのごとき筋膜の張力の影響範囲の広さを感じ取っていただければ幸いです。

筋膜の引き張り力ネットワークの正常化を図るのが、筋膜リリースなんです。