経絡マップの経穴の名前や主治などを表計算に入力作業へ(経穴経絡に関心ない方、ごめんなさい!) 


『身体のなかの気血津液の代謝の滞りなどを改善したいとき。
 やみくもに体に触れて多くの刺激をあたえるのはよくないことだ』


私が習いましたボウエンテクニックの流派の根底にあるようです。

ボウエンテクニックとは。

特徴として経絡や経穴を利用した手技アプローチです。
ボウエンテクニックの手技をほどこす場所がほぼすべて経穴上となります。

用いる経穴は十二正経以外の奇経も含めたアプローチとなります。
スマートなタッチによる刺激を経穴に加えますが、
それが検査であり、同時に治療にもなっているのです。
だから正確な経穴の位置が刺激できたときに望む効果がえられるのです。
そこでボウエンテクニックで利用される経穴を丁寧に洗い出し、
主治(主な治療効果)や経穴の位置を調べてセッションに活かしました。
経穴位置を正確に把握した後は施術の手応えがよくなってきました。

「ボウエンテクニックという手技は、
 他のボディワークとうまく組み合わせ応用してもよいでしょう」
そうボウエンテクニックを教えてくれていた講師の方も申されており、
それからは私の平素の施術で、適宜、ボウエンテクニックの手技を織り交ぜて、
施術をしてきたのです。

 

このようにかつてはボウエンテクニックの手技に
取り上げられた経穴のみを熟知するにとどめました。
それだけでも100前後の経穴になり、
丁寧に調べたため述べ60時間ほど費やしており、
忘却を補うため定期的な確認作業をしてまいりました。
個人的には、これでも【(十分に)ボウエンテクニックの力を引き出せた】と考えていました。

ところがです。

いま、ボウエンテクニックでは使うことがない
経絡地図を頭に入れつつ肺経からはじまり肝経で一巡する十二正経の全体や、
任脈や督脈、そして他の主だった奇経を調べて学習し始めると。
【(十分に)ボウエンテクニックの力を引き出せた】とのは勘違いでした。

もっと力を引き出せる土台作りがあったんです。

ボウエンテクニックの基本的なテキストにおいては、
せんだってのボウエンテクニック上で使用する経穴のみで十分でしたが、
肩の対応過程(大腸経のけんぐうから三焦経のけんりょうという別経絡をつなげる)など、
別々の経絡線をつなげる手技がからんでおります。
別経絡をつなげる意味と効果を理解したら、
他にも応用できるところもみえてきました。

ボウエンテクニックのテキストでもちいられる経穴以外のものがでてきてしまい、
ボウエンテクニックで使われている経絡を知ることは必要最小限のことであって、
ボウエンテクニックで使われていない経穴も知ることが必須と思えてきました。
そんなことを考えているのは、私だけではないと思いますがいかがでしょう。

ボウエンテクニック創始者のトム・ボウエン氏の工夫が読めるようになると、
おもしろい魔法をかけてるものとわかってきました。

 

ただ個人的なことで申し訳ありませんが、
400以上もの経穴やその他経絡の知識を頭に詰め込もうとしたここ一ヶ月。
経穴名などはひたすらノートに書き写すことで徐々に吸収してきた感じです。
50cmサイズの経絡人形で位置を確認しつつ、
Androidアプリの経穴マスターで体内を通行する経絡の流注を確認しつつ。
正確な取穴までは現状手が出ていないところで。
臨床としては心もとなすぎるとおっしゃられるのはごもっともです。
ですが基礎的な知識を自宅に引きこもって覚えるにはいたしかたなし。
とにかく、いまできることを、押しすすめよう。
そうした作業も、やはり膨大なボリュームが有って遅々として進まず。
そこを早く覚えようと焦り、主治と経穴を関連付け作業するときに、
まずりました。
いままで完璧に頭に叩き込んだ経絡ごとの経穴が、
ごっちゃごちゃに入り混じりだした感があります。
わかってたはずの経穴も混乱、混同しはじめるスランプにどっぷり。。。

立て直しに、一旦冷却時間をおこうと。

妥協案として
書籍[経穴マップ]内の経穴データを
手作業で表計算に入力しはじめました。
主治等の検索ができればと考えまして。

 

 

余談ですが経穴を施術に用いるとき。
五兪穴と呼ばれる井(せい)・榮(えい)・兪(ゆ)・経(けい・合穴(ごうけつ)の5種類があります。
肺経では、少商(井穴)・魚際(榮穴)・太淵(兪穴(原穴))・経渠(経穴)・尺沢(合穴)など。
他の経絡にも同様にあります。
五兪穴は頭に叩き込んで使えるようにしておくといいでしょう。

あと上記の肺経の経穴のひとつである【尺沢(しゃくたく)】。
位置は肘の内側にある経穴ですが、<尿漏れに効果あり>と経穴マップに書かれております。
それはかつての主治を暗記したときの記憶で存じ上げていましたが、
他の肺経の経穴の主治を観れば尿漏れに近しいものはありません。
肺経の経絡上も膀胱経や腎経にも交わりません。
・・・なんで、尺沢は尿漏れに効くのか?

そこの理由をネットで調べようとしてもうまく見つけることができず、
よい機会と自分で考察してみることにしました。

尺沢の[沢]には水を多くたたえた部位という意味合いがあります。
確かに肺という臓器には(水)が多量に含まれておりますから、
水に関係していると言われればそうなんです。
でも、、、
肘周りの経穴には<海>や<沢>など水を連想させる経穴名ばかりです。
解せない。

推測でしかありませんが、
人体の膝と肘の関係性に着眼してみました。
たとえば、右膝に不調ありのときに左肘を直せば右膝を治すことができます。
そういった腕と脚が対角線上に相互に関係し合うケースがあります。
ならばたとえば右肘内側の尺沢は、
左側膝裏の肝経の曲泉または腎経の陰谷という泌尿器の主治をもつ経穴に関係し合います。
そうした見立てを治療に活かしているというわけで、
尺沢の気が滞れば曲泉にも気の滞りが現れて尿漏れになるときがある。
ならば曲泉のみをアプローチしても尺沢が気が滞ったままでおけば、
早晩、曲泉へ悪影響が及び泌尿器に問題がでるというものなのでしょうか?

そうやって一つずつの経絡に対して丁寧に注意を向ける経験を積むことが
経絡や経穴を覚える過程で大切にしたほうがいいのかと思います。


こうして経絡や経穴のことを浅く広くではなく、深く知るようにできたとき、
自信を持って深く症状に関係する経絡経穴を見つけ出せるようになり、

『身体のなかの気血津液の代謝の滞りなどを改善したいとき。
 やみくもに体に触れて多くの刺激をあたえるのはよくないことだ』
という真意が見えてくるように感じます。