耳で聞き取れたもののみ発音できる・・・

人は多くの音を聞いている。
ガヤガヤとなりひびく人込みのなかのノイズ。
パソコンがついているときのファンの音。
・・・

聴覚トレーニング法に、トマティスメソッドというものがある。
欧米人は英語の発音をするときに高音域をも意味ある言葉の一部としてとらえているので、高音域を聞き取る耳を持っている。
しかし日本人は母音が積み重ねられてできている比較的高音域を含まない言語。
だからいざ欧米人が話をするときに、日頃の母音しか聞き取る耳を持っていなければ欧米人が発音する音が、まるでガヤガヤと鳴り響くノイズ程度にしか響かない。
印象に残らない。だから英語が聞き取れない。

しばらくノイズを聞いていたらその音が意味のないものだなぁと感じていたら、サウンドノイズがある場所にいても耳がなれてきてしまい、その騒音やノイズを気にしなくなる。
気にしなくなると、その音が耳にはいったとしても脳に入る手前で意味内容をくみ取ることも無くカットしてしまう。
マティスメソッドでは、それらのカットされてしまっていた高音域のサウンドを脳にまで届かせてくれるようにする。それを原始耳状態と呼ぶ。

人は耳で聞き取れたサウンドのみ、それを再現し発音できるようになっているのだ。

それと同じように人は自分の感覚器官で感じ取れて脳が意味を理解したもののみ、その存在を認識し再現できる。
実は今まで周りに満ちていた音などの情報がノイズのように扱われていて、深い意味を理解するに至る前に排除されているものがある。それはまるで透明な存在で気配を多少感じる程度で亡霊のようなものだ。
だが、それを排除せずにあるがまま感じ取る原始感覚を身につけたとき、そのものが突然に現出し驚きとともに感動が味わえる。
マティスメソッドでは「英語が頭にすぅっとはいってきて意味がわかるぞ!!」となる。不思議な感覚だ。
このように原始感覚でとらえられた情報には、いままでむだだと決めつけてみないようにしてきたもののなかに、本当は宝石の原石が含まれている。

自分の体についての原始感覚を発揮しよう。
体をよい状況でキープしてくれるもっとも神聖でパワフルな、自分自身のなかに眠っている原始感覚だ。
それはたとえば体の快・不快を伝えてどこへ進んでいけばよいかのナビゲート役になる。
それに従えばいい。

その原始感覚が目覚めたときに、見える世界が変わる。