腸骨筋のつづき・・・(1)

腸骨筋に着目して気づいたことは、
この筋肉を動かし腸骨を制御することで、
少しだけ勁力というものが見えてきたこと。

寸勁】という、技術があります。
あまり聞き慣れない言葉ですね。

通常、野球投手がボールを投げるときには後ろに振りかぶります。
振りかぶることで力を溜めて、鞭の原理でボールを加速させ手放す投法。
だから力学的な力を溜めるためには、距離を稼がなければなりません。

それを寸勁では、距離を稼がずに拳に加速力をのせて撃ち抜く技です。
前出で説明した野球投手の投法とは異なった力の原動力が存在しています。

なぜそのようなことができるのだろうか?
人体の可能性を知るために、
このような不思議な現象を追っていくことも、
理解を深めるための役に立ちます。
不思議に見えても物理的に起きている現象ですから、
しっかりとした力学的な理屈があるわけです。

現在では勁力を分析している解説書が出版されており、
とても参考になります。

ですが「身体の中の内部感覚や細かい使い分け」により、
その力を発揮するもの。
書籍を読んで理解しようとしても限界を感じるときがあります。

そのようなときに腸骨筋の作用に着目したわけです。
すると膝や股関節を使うだけでは対応できなかった、
「前方向へ」または「後ろ方向へ」突進する非常に大きな力が、
ここから取り出せるのでは?と考えました。

そして実験してみると、いい感触でした。

野口整体創始者野口晴哉先生は、
身体の理解も深く施術中の動きは伝説となっている。
以前より寸勁のような、すぅ〜っと体内に入り込んでいく浸透力ある力。
このすばらしい力が使われていたのではないかと考えていました。

残念ながら僕の場合、研究段階。
その力を十分に体現できていません。

だがやはりこの腸骨筋を意識して利用する動きは、
かなりいいようです。
ボディワークをする際に、この腸骨筋の動きを意識しています。
すると身体の裁き方が向上してワークに反映していることを感じます。
地面に吸いつくような動きにもなりますので、
上半身のバランスが崩れなくて疲労も減少。
体軸のバランスも崩れません。
微妙な動きを作り出すだけで、OK。
力の発揮量が大きく変わります。

筋肉量の大きい下半身の脚力(ハムストリングなど)や背筋の力を伝えることの、
大きなヒントが隠されています!!