江戸時代の病気

図書館で『絵で読む江戸の病と養生』講談社/酒井シヅ著-を借りた。

動きのヒントを得たいために江戸時代の絵・写真関連を好んで見ます。

純粋な病理学の本とは異なり、江戸風体の情緒や暮らしぶりが伺えます。
古典落語100席』などの立川志の輔の落語ダイジェストを読みながら、
江戸時代の絵をみると入り込めたりします。

『絵で読む江戸の病と養生』には、
鯨のひげを使ったかん止分娩の様子、
華岡青洲の手術様子(日本で最初の乳がんの手術模様)、
鍼灸や按摩の様子など。

はたまた疫病退散の祭り行事や、小絵馬による願掛け、さまざまな護符。
生活観にあふれている。
そして同時に今の時代も当時と変わらないことを痛感。
受験前の絵馬、交通安全のお守り。

絵が入ると当時の雰囲気がつかめやすい。
それに掲載されている絵もユーモラスで、
観ていて楽しくなる。
『解体新書』を元に人体の内臓各所をわかりやすくした図解。
「房事養生観」や「飲食養生観」などは秀逸。
前者は「房事華やかすぎれば短命に終わる」とのメッセージ。
後者は特にいい。
なんら解剖学の知識もない民衆に、
体内を社会に見立てて、
五臓六腑説に従って臓腑の働きをイラストで説明する。
男が鯛を魚に酒を飲む。
その男の体内の飲食をしたときの臓器の処理状態が
イラストと細かい文字で描かれている。
心臓が君主で肝臓では食物・飲み物すべてが人足の手で混ぜられている。
なぜかこの絵を見ていると粋でいなせな江戸っ子を感じさせられる。

創造力豊かな絵師の仕事。
興味が尽きません。
ほんと、いい仕事してますね。

見ていて楽しく資料的価値の高い本でした。