呼吸器から離れた部分の呼吸に関連する筋


呼吸器の周囲にある筋肉が硬化していれば
呼吸しづらいのは容易に推測できるだろう。


だが呼吸器周りの筋肉を緩めても息のしづらさが解消されないことがある。


たとえばそれはどういうケースだろうか?


脚部の前側にある膝から足首までの間の前脛骨筋が硬化していたり、
ふともも前側の筋肉が硬化すると腹直筋が連鎖的に硬くなる。


それは体の前面に並ぶ筋肉郡は、
<前脛骨筋-大腿直筋-腹直筋-胸肋関節上の筋肉-胸鎖乳突筋>
のどれかひとつでも硬くなりすぎていれば下腹部が固まりだし
腹式呼吸がしづらくなる。
そのような仕組みが人体に内在されているからです。
他にもいくつか特定の筋肉が固まると
関連し連動して機能する筋が同期したかのように
萎縮して機能を弱めるような仕組みがあるのです。
関心がある方は経筋なりアナトミートレインなどで、
ようすを確認しておくとよいでしょう。



腹直筋が硬くなると生命維持に必要な臓器は常に内側へ加圧され窮屈。
そのため大腸や小腸などの消化器や
女性ならば子宮などの内性器に問題が出るようだ。
だから子宮内膜症などの内性器に問題がある多くの方には、
ふともも前側と前脛骨筋などの脚部前面の硬化が観察できる。
無意識にだと思うのだがこの部分を過剰に使いすぎています。
骨盤の前傾と腹直筋の萎縮が内性器や消化器に負担を与える。


それは内臓に対しての負担だけではありません。


腹式呼吸では横隔膜を上下させることで
下腹部を膨らませたりへこませたりする。
腹圧をあげたりさげたりして腰椎を支え、
骨盤にゆりかごのような動きを与える
こうしてしなやかに腰椎を前後させて腰椎の骨で上半身を支えている。
腰の筋肉を固まらせるのを防いでいる。


だが腹直筋が硬くなると下腹部を膨らませたりへこませにくくなる。
腰部の筋肉を硬化させて萎縮させ腰椎や腰仙関節の椎間板を縮めてしまう。
だって腹直筋が硬化して短縮すれば、
腹が短くなれば腰も短くなります。
腹と腰は前後で一対ですからね。
同期して影響しあうのです。


といったことで前脛骨筋が硬化して腰と腹直筋が硬化すれば
下腹部に息が入る感じが減少していきます。
そうなると肺の上部ばかりを使い息をしますから、
少量の呼吸代謝しかできません。
そのために肩を持ち上げて息をしだすようになる。


たとえばヒールの高い靴を履いたり、
スリッパが脱げやすかったりして前脛骨筋を固めてしまうと、
それだけで確実に呼吸が浅くなりだすのです。
この部位が硬くなって呼吸が浅くなるときは、
この部位が緩まないと呼吸筋を緩めてもじきに息苦しくなる。


体の仕組みをのぞいてみると、
本当に「えぇ〜、ほんとにぃ?」ということが多くあります。
地道にそのような知識を仕入れてストックするのが私の仕事。
そう考えております。