腰椎の前彎を和らげるための腹圧をいかすメリット

胸椎は肋骨、仙椎は腸骨といったように脊椎の仲間でも、その周囲をしっかりした骨で固定したものと、
頚椎や腰椎のような単なる積み木を積み上げた一本棒のようなものとの2つの種類があります。


胸椎や仙椎は肋骨や腸骨にサポートをされているおかげでしっかりしたものです。
この部分はヘルニアのような状態にはならないほど丈夫です。
動きの制限を肋骨や腸骨などの骨で固定されているからです。


それに対して腰椎や頚椎は椎間板ヘルニアと言って、
たとえば負担を強いた使い方をすれば椎間板という
椎骨同士の間に挟まったクッション部分がはみ出たりするようにもなってしまう。
またはギックリ腰のような状態になるのも腰椎の横辺りですよね。


腰椎には肋骨のような骨で動きを制限をされていないから、
大胆な動きが可能な反面、
壊れやすくできていると考えていただければいいでしょう。


動き方を研究するときに、
まずは体を壊さないこと。


そのような計算ができていなければ、
のちになって体に負担が蓄積すると
調子が悪くなりスランプに陥ります。




腰椎や頚椎に負担がかかる動きをしているならば、
いずれ負担が筋膜の癒着やらコリやらで蓄積する。
頚椎や腰椎に負担がかかる動きをすれば動きがぎこちなくなったり、
呼吸がしづらくなるのが特徴です。


ただ腰椎については、効率的な支えを作り出す方法があります。
腹部の腹腔内にコアとか下丹田とかいわれるようなものを作る。
広くは骨盤の内側の面や内腹斜筋や外腹斜筋、横隔膜や骨盤底筋群などを利用して、
一定の腹圧を生じさせます。
その腹圧を腰椎が前彎(前方向へ反りだす状態)しないようにさせるためのエアバッグ状態にしてしまえばいい。


そうすることで腰椎の椎間板やそれを取り囲む筋肉や靭帯にかかる負担を軽減してくれます。



特に脚部に渡る強い力を生じさせる運動をするとき。
その動きには大腰筋の協力も必要だというならば、
腰椎が前彎していてはなったものではありません。


腰椎が前彎すれば大腰筋のテンションは低下して、
発力作動が悪くなるのです。
そうなれば大腿直筋などで応急措置的に対処する。
それで腰が痛んだり張ってきて悪くなっていく。


そのような無理がかかった状態で鍛え続ければ
体の中心から末端へ力を移行させる効率的な動きは生じません。
筋肉は柔軟性を失いパンプアップをしたが呼吸を止めた運動を強いたため不快感が強く残る。
不快でつらい運動をするならば気づけばそのような動作を再度行なうのではないかと感じて
不思議なほどそのつらい運動動作をいつでも再開できるように筋緊張を強いて備え続けます。
それは意識的にしている動作ではなく、無意識にしているものです。


そうやって無意識下で腰椎の前彎をさせながら生活をするならば、
気づかないうちに腰椎を前彎させ続けるための腰部や大腰筋などに強いしこりを作り出します。
そしてそれは仙骨部分の異常な反り返りを維持させる。
それが強烈な反り返りになってしまうようなときは、
自分でエクササイズ等でそれに対処することは困難。


ほぼ不可能だといえるようなときもあるでしょう。


そうならないように気をつけるためにも、
腰椎の前彎し過ぎの防止をするための腰部の腹圧を生じさせてつくるコアとか下丹田とかいう
運動の基本的土台を作り出すことが大事。


ただ腰椎の前への反り過ぎが慢性化した人は、
そのような反りをキープし続けるためのしこりが骨のように硬くなります。
硬化した筋肉は伸び縮みを抑制されてしまうため、
いざ、腹圧を生じさせてコアを作ろうとか下丹田を感じ作ろうとか、
イメージを頭で描けたとしても、
体はそれに反応してくれないだろうし、
無理にそうしようとすれば違和感を感じている。


そこから復活させることの難しさというものは、
施術で幾例も実際に解いていくことがなければ、
わからないことだと思います。


臀部筋の深部に至るリリース。
腰背部の深部に至るリリース。
最低限、それがかなえられて
仙腸関節の動きが出てこなければコアってどういうものかを体感しづらいものだと思います。


そしてそこまでいくことができるような筋肉の柔軟性が最初からある方はよいことですが、
なかなか臀部や腰背部の深部まで硬くて動きが悪い方はコアを感じ取りづらいように思う。


そのようなときはひとまず体感をできないのですがイメージでコアを描いて行きましょう。
私もかつてはとりあえずコアのイメージを描き、そこに解剖生理学的な仕組みを当てはめ、
体感がなくともどのような機能を発揮できるか予測していくうちに、
あいまいのままでは動かなかった体の中の歯車が、
ディテールが描ききれてきたらコアを使いこなす体感も増し動き始めた。


それから、私は合気道太極拳も初めておもしろくなってきた。
それまでは本当に歯痒い思いの連続だったように思います。



コアの体感は、持てる方と持てない方といるように思いますが、
各人が工夫をしてコアをメイキングしていただければと願います。



そしてコアを作り出すための筋肉の硬化を取り除く
筋膜の癒着を直接リリースするための技術は役立つ。
そう、感じます。