気滞の気の滞りを通す『理気薬』が、経絡の通りをよくする作用の唯一のものなのか?いや、いや、そういったものだけでもなかったようです。

人体にも血管やリンパ管や神経などのライフラインがある。
災害時に停電、断水などもあり、
使えないと電気や水のありがたさが身にしみるものです。

東洋医学には血管等の他に『経絡』という{気(エネルギー)の通り道}があるといいます。
血管は目に見える組織ですが、
経絡はレントゲンにいも映りません。
目に見えない経絡だが自律神経系に近しい機能なども果たしているようです。
経絡がふさがり気のエネルギーが通れないと、様々な不調があらわれます。


そうなると鍼灸や指圧や整体等の東洋医学を学んだ経絡治療のプロが、
通りが悪くなった経絡の箇所を治療して気の流れを再開させるのです。


そういった手技療法による対応以外にも
気の滞りに対処する生薬や漢方などもあります。
気の巡りをよくする食材に、
みかんやレモン等の柑橘系やしそやみつばなどの香味野菜などがあります。
スパイスのなかにも気の巡りをよくするものもありますね。
こうした気の巡りをよくする作用を理気作用といいます。

柑橘系の果物をいただいたときに、
これで気が巡りだすぞとイメージするなら。
少なからず改善したかなといった好転した感じは持つものです。

ですがここからは個人的な体感であって他者は違うかもしれませんが、
理気作用が長時間継続している実感が持てないのです。
6時間後には理気作用の効力が半減しているように感じます(個人の感想)。




ネットで経絡を整える効果があるだろう食材を調べれば
寒を散らす温性の食材の生姜とか、
補気作用をもたらすなつめとか、
活血化瘀をもたらす紅花とか。


寒性から来る経絡の通りの悪化を取り除いたり、
気の量が適正に充足するようにしたりとか、
血流を活性化させて血瘀を散らすような対処をするとか。
理気作用以外にも様々なアイデアで対処ができることを知りました。
こうした解決法も十分な成果が期待できそうですし納得できますね。



ただ直接経絡に作用させるといった対処だってあっていいはずだろう。
そう考えると、なんとなく釈然としないところがありました。



で、結論をいいますと、
作用に『通経絡』(食物性味表では「活絡」)という
経絡の通過性とてもよくする作用を持つ生薬があったんです。

本をざっと観ただけでは
経絡の通りをよくなる整備をしてくれる作用を持つ生薬の存在はわからなかったのですが。。。

知られているのは<疎経活血湯(そけいかっけつとう)>の構成生薬のひとつ、{威霊仙(いれいせん)}があります。
他には<独活寄生丸(どっかつきせいがん)>の構成生薬のひとつ、{独活(どっかつ:{うど}のこと)}があります。
疎経活血湯は保険対応内ですが独活寄生丸は保険対応しない漢方処方です



威霊仙』・・・って、なに?

耳慣れない生薬。
ネットで生薬が買えるか調べたら私には購入できないようだ。残念。


『独活』は{うど}のことです。


日本にもうどはあるが中国にもある。
それぞれが同一種なら問題はないが
書籍「漢方294処方生薬解説」を参照すると、
日本産は{独活}といわれ根茎をもちいたが、
中国産は{唐独活}といいシシウドの栽培品種の根を用います。

こういった用いる部位の差異もさることながら、
日本の独活はウコギ科で中国産の唐独活はセリ科です。
これでは作用や効能も変わるはずです。
独活も唐独活も医療認定されていますが、
別物と認識したほうがいいのでしょうか。
両独活とも同様の通経絡作用が期待できるものか、
知りたいですが、ここの調べがまだついてません。

あと独活も唐独活も、ネット通販で入手可能です。
買ってみて自分で試すしかないのかもしれません。。。



実は個人的なトライアルとして、
気の通りを良くして自律神経を整えるボウエンテクニック。
独活湯をもちいれば、
ボウエンでの経絡調整作用に利するところが生じるだろうか。

そうなればクライアントは多大なメリットを享受できるはずです。
海外ではメジャーなボウエンが、日本ではそこまでではないのは、
それだけ多くの現代日本人は経絡の乱れが深刻だということをしめしている。

そういったことは、私も施術で経絡を使うようになってから実感しています。
そうした経絡の調整をするチャンネルを増やしたいという考えを念頭に入れて、
通経絡作用が得られる生薬を調査しているところです。





最後に余談ですが、
独活寄生丸>という処方、
私自身は自分で試したことがないんですが、
高齢者や虚弱者の腰痛に対してはすばらしい処方らしく、
そうした方々のファーストチョイスとのこと。

寒さや湿気で起きる関節や筋肉、骨などの異常によって起きる疼痛全般に広くもちいられているそうです。

詳細を吟味する力が私には不足しておりますが、
先生の受け売りで言わせていただければ
独活寄生丸は疎経活血湯より
高い効能を示すことがあるといいます。
特に独活寄生丸の応用には、関節リウマチ、坐骨神経痛椎間板ヘルニア骨粗鬆症に応用され、
他にも薏苡仁と地竜を合わせて骨の再生の促進が期待できるそうです。


年齢的に高齢となっていけばほとんどの方が腎陽虚といった老化が身体に起こります。
同時に気血両虚にも陥りますと、
気持ちは若いが足腰が弱っていきます。
そんなときに独活寄生丸の構成生薬を知って利用するかどうかで、
その後が違ってくるかもしれません。
(お願い:独活寄生丸等の利用の際は医師または登録販売者の指導の元、用法用量を守ってお使いください)