漢方薬は副作用がでることが少ない印象があります。
『漢方薬は副作用ってない』のではと根拠ないまま、
私も以前はそんなことを思っていたころもあります。
ですが実態は異なります。
漢方薬にも副作用がでることってあるのです。
たとえば、、
陰虚体質の方は血と津液の両方が不足した体質です。
そうした陰虚体質の人に対し、
さらに汗や尿から利水される漢方を摂れば問題がでてきます。
人体がからっからに乾いた状態に干からびさせたら、
貧血やめまい、ふらつきがおこる可能性がでてくる。
というわけです。
たとえば、、
瘀血体質という血瘀により血行が阻害される体質の方に対し、
いきなり補血もせず血瘀のみを除去して血行を促進させると
貧血によるめまいやふらつきなどが起きることがあります。
こういった不調事態を体験すると、
『よくなると思ったのに、
これは一体全体どういったことなのか!?』
と精神的なダメージがひどいものとなります。
こうしたトラブルは
中医学診断による体質が判断できれば避けられます。
ですが的確にそれを判断するには技術が必要です。
体質別判断の問診でチェックしただけでは実際は
判断材料を獲得するには不十分でしょう。
問診による質問内容は参考になりますが、
現状の体調をリアルタイムに診断し判断に反映させるには
くわえて(舌診や脈診や腹診など)をすることが必要です。
その概要をお伝えいたしますと、
中医学四診と呼ばれる
(判断につながる目的を持った情報)を集める【情報収集過程】を通します。
[望診→聞診→問診→切診]の流れで調べることが一般的です。
中医学の四診断では舌診や表情を読む[望診]をおこない、
次に[聞診]で呼吸音や発声時の声のかすれや震え等を読み、
次に[問診]で質問事項をチェックします。
最後に[切診]で脈や腹を診て望診・聞診・問診で得た結果と
切診で得た情報が適合しているかを確認いたします。
整合していればOKですが、ときどき不整合な脈が現れていたり、
もう一度、根本状態を調べ直す必要がでてくることもあります。
四診の結果を持って中医学上の証の結果がでると、
効果的な治療方針が出すことができます。(弁証論治)
この治療方針が決まり初めてどの漢方薬を用いるか、
それが決まります。
それぞれの体質の情報が収集され判断し漢方薬が選ばれますから、
効果的な治療ができる納得の行く方剤の選択ができ
上述したようなトラブルの発生が抑えられるのです。
ちなみに体質の分け方は先生ごとに違いがあるもので、
学び始めた当初はそこに混乱することもあるでしょう。
私は自分と縁があった分け方を採用して判断しており、
(気虚や気滞、陽虚や湿熱、血虚や瘀血、陰虚や痰湿)
といった分類に体質をわけをいたしております。
薬膳でも当帰のような生薬を食材にしておりますから、
そういった視点での生薬研究は大事だと考えています。
私が学ぶ薬膳学校の方では問診と望診のなかの舌診が
主に判断するとき参考にしているようです。
私が施術をするときには脈診、腹診なども使っていて、
専門的な勉強をしてましたから薬膳でも活かせるのか?
薬膳を食べるまえに脈をみるのはOKでも、
お腹を按じチェックするイメージはないかも。。。
生薬ごとに気をつけるべき副作用があります。
いくつか以下に掲載させていただきます。
服用している漢方薬の構成生薬であれば、
知っておくとよいでしょう。
薬膳で生薬を使う場合にも
気を配りたいですよね。
黄芩(おうごん):肝機能障害・間質性肺炎
甘草(かんぞう):カリウム血症・偽アルドステロン症・間質性肺炎・心疾患
桂皮、桂枝(けいひ、けいし):軽い皮膚疾患
柴胡(さいこ):膀胱炎・間質性肺炎
地黄(じおう):胃腸障害
大黄(だいおう):下痢
人参(にんじん):動悸・興奮
附子(ぶし):強い動悸
麻黄(まおう):自律神経失調など
他にもありますので、
より詳細を知りたければ
病院等でお尋ねください。
ちなみに病院で処方されたものではなく、
漢方薬を複数種類同時に服用しておられる方の場合、
生薬の甘草がそれぞれの漢方にはいっていたら
用量が摂り過ぎとなってしまうことがあります。
つまりひとつの漢方薬で甘草を摂るだけでは
摂取量の上限を越えませんので大丈夫ですが、
ふたつの漢方薬で甘草を使っていたら
気づかないうちに摂取量上限を越えてしまい
甘草による副作用を被ることがでてまいります。
甘草以外の生薬でも、
ダブってしまうことで副作用がでることもあり、
総和で摂取量の上限がないよう気を配りましょう。
■ 漢方薬の購入について。
一般では副作用かどうか判断が困難な場合もあり、
副作用の詳細な知識を持って指導していただける
病院での処方や漢方薬局が安心です。
通販やドラッグストアは手軽に入手できたり、
安価な価格設定で手に入ることもありますが、
これって飲み続けていいのかなと迷ったとき、
いかにも頼りない対応で買ったものが無駄に。
そういった場合も少なからずあるので、
信頼できるところから手に入れること。
それって大事です。