気功家の胆力は八方へとダンサーの胆力は上下へ


ある種類の気功をすると
布袋さんのようなおなかになる。
ぽ〜んとした感じの豊かな腹部。
一見すると腰が前に反っている。
だが実は腰椎は反らずまっすぐ。
きれいに整っている。


このような気功家は、
胆力という力で腹部のボールを創り出す。
前後左右上下など四方八方に広げていき
強大な中心圧を持つ。
特に上下方向の広がりは横隔膜と骨盤隔膜で支えられる。


この胆力を活かすことで力強い発勁(はっけい)を可能にする。
発勁とは中国武術における力の発し方。
ときに物理学的に越えた力のような特殊な力を発するように見えるが、
鍛え抜かれた胆力の活用という視点に立った物理で説明がつくことも多い。


発勁するときは腹部が鋼鉄のように硬くなるが、
腹を緩めるときはしなやかそのものででっぷりゆったりしている。
このような胆力は腰を立てるのに非常に役立つため、
自律神経系の脊椎神経を年老いても守り続ける。
内臓器官との情報やり取りが正常な状態が続き、
長寿になることが多い。


だがバレエなどをなさっておられるダンサーは、
この布袋さんのような豊かな恰幅のよい状態で
舞台に上がることはできない。
プロではオーディションで落とされる。
ダンサーは腹の胆力の発揮させるとき、
一工夫が必要なようです。


気功では上下左右前後に腹部を膨らませて中心圧をもっとも豊かにした。
でもダンサーは上下に腹部を膨らませていくという意識を強めるとよい。
話を丸れば腹部の上部にあるのが横隔膜で下部にあるのが骨盤隔膜です。
横隔膜と骨盤隔膜の距離を上下に広げるようにしていきます。
腹部内奥のコアを作るともいえるでしょう。
上下に腹部を押し広げることで腰椎の前に反りだしやすい状態をまっすぐに。
そしてそれだけの作用ではありません。
仙骨と腰椎5番〜腰椎1番と胸椎12番の間には
6つ椎間板という椎骨をはさむクッションがあります。
その椎間板クッションを上下に押し伸ばします。
やわらかい腰部ならば椎間板が伸びた分だけ上方向へ腰の高さが伸びます。


そしてこの腰部の椎間板が伸びると、
椎骨の動きとして相関関係がある頚椎という首の骨の間の椎間板も伸びる。
首が無理なくきれいに伸びていくようです。


上下に腹部胆力を伸長させると大腰筋が軽々と働きやすくなりますので
足が軽く持ち上げられるようになりますし片足バランスも楽につきます。


また腰椎を反らさずにいられるため
気功家同様に自律神経的内臓の若さが保てる。


ただどうしても一般的には腰に力を入れて足を持ち上げる習慣があります。
そのため腰部を反らさないようにして椎間板を上方向へ引き伸ばして!
といわれても頭では説明を聞けば理解できますが体では体現しづらい。
ここが修練のしどころです。
がんばりましょう!^-^)




余談ですけど、
腹部胆力を上下方向に距離を広げるようにするときの注意。
上方向は横隔膜です。
横隔膜の上の組織は肺や心臓などのある程度の柔らかさのある臓器。
だから横隔膜を上に引き上げるときは以外に持ち上がって距離を稼げる。
下方向は骨盤隔膜です。
骨盤隔膜の下部といいますか、
骨盤隔膜は骨盤という硬い骨に覆われ靭帯でしっかり硬く付着している。
そのために横隔膜ほど上下動の動きが少ないし感じ取れません。
骨盤隔膜を下方に引き下ろす感覚がつかめにくいため、
するとどうしても横隔膜を上方へ押していく感覚が強まる。
だから横隔膜を引き上げることだけ注視して骨盤隔膜を下げることをしない。
そうすると体のバランス力がキープしづらくなりますし、
不要な内臓負担を強いることとなります。
骨盤隔膜を引き下げる感覚はとりあえず
骨盤を真下へぐいっと内臓感覚で押すような感じで。
ここの言葉での表現が難しいのですが、
横隔膜を上方に押した力と同等の力で骨盤の内側下部の骨を押す。
それで楕円球状胆力の中心を正確に感じ取れるようになる。
胆力の中心を把握できれば動くときの力みは減少します。
体の上下左右前後の中心が割り出せたも同じことです。
そうなると体のバランスの釣り合いをうまく崩して動きを創り出し、
崩してはまたもとに戻していくという、
『シーソーのようなつりあい関係』で体を動かせばいいと読めます。
ここでいうシーソーは公園にあるの二人で乗る遊具のことです。


胆力の中心が定まらないと
片側が落ちっぱなしのシーソーに乗るようなことになります。
いったっきりで帰ってこないと面白くないものです。
いったら帰ってきてくれる繰り返しに童心をくすぐられ楽しくなる。


そのようなものなのかもしれませんよね。