仙腸関節部分のリリースha

仙腸関節部分のリリース

ときたま「仙腸関節は動くか動かないか?」という議論の書込をみます。
詳細は双方と主張がある。


医学解剖を長年している医師には、
仙腸関節は動かないと主張する先生も多くおられます。


仙腸関節が動くと主張する側では、
「死体解剖では仙腸関節部分をとりまく靭帯は硬直し
骨と同じような硬さになる。
それを診て動かない関節『不動関節』と判断してないか」とか。


様々な方々がヒートしながら語ります。


その真実はさておき腸骨と仙骨が一体化して動けないと困ります。


出産をするときには大変なことが起こります。
腸骨と仙骨が一体化して仙腸関節部分で関節が広く解離できなければ
胎児が産道を通り抜けられない。
そのようなとき自然分娩が見送られ帝王出産を余儀なくされます。


お産のときが仙腸関節が開く特別なときといわれそうですが、
生理のときの女性の仙腸関節は普段より格段にもやわらかく動きます。
AKAで仙腸関節の動きを改善させるテクニックを施すとき、そう痛感します。


それにダンサーなどになると殿部筋群を制御して仙腸関節を操ります。
大殿筋、中殿筋、小殿筋、梨状筋、その他の筋肉を巧みに操ります。
それにより仙腸関節の耳状面の接触位置と強さなどを変え、
刻々と変化する胴体と足の接続関係を維持しバランスをとります。
反射的にこれができるよう修練すればいい舞台となるでしょう。


それにもうひとつ仙腸関節が動かないと困ることがおきます。


ちょっと話が遠回りしますが、
身体の体幹から手を動かすとき。
手の骨はどこが付け根なのか?


肩の臼状関節部分ではありません。
ここは解剖学的に体幹より離れすぎています。
こんなところから動かせばロボットのような
関節のギクシャクした動きしかできません。


答えは鎖骨の内側部分にある「胸鎖関節」からです。
鎖骨は腕の骨の一部です。


ためしに鎖骨を動かせないように前後で押さえつけてもらい、
それで手をあげようとすればあげるのにひと苦労しますから。
手をあげるときに本人が気づかないうちに鎖骨をあげている。


では足の体幹の付け根の部分はどこでしょうか?


ひとつは脊椎の部分にあたる仙骨に接する仙腸関節部分。
身体の後側のことですよね。


ちなみに先ほど腕の骨は胸鎖関節からと申しました。
胸鎖関節からスムースに動くと手が自在に動かせると。



足を動かすときに仙腸関節の部分を自在に動かすっていっても、
仙腸関節部分の周囲の筋肉はなかなか動かすにもひと苦労です。
背中側の筋肉群はもともと自分の意思で動けと命令しても聞いてくれない。
そんな筋肉の集まりみたいなものでして。


なので背中側の筋肉は意志の力で自在に動かしにくいため、
腹部側の筋肉を使います。
腹直筋なり腹部側の筋肉は意志の命令に対してのレスポンスがいい。
手は鎖骨の中央の胸鎖関節が腕の付け根としたように
足は恥骨の中央の恥骨結合が足の付け根として考える。


実際に恥骨結合で左右に分かれた恥骨部分を動かす。
たとえば右の恥骨を上に持ち上げようとしてから足の全体を持ち上げる。
するとヒョイといつもよりも軽い感じで持ち上げられたように
感じる人もいるんじゃないでしょうか。


ただ軽く感じられない方もいます。
恥骨を上方へ持ち上げようとするときに仙腸関節が硬いと
恥骨結合部分が動けなくなってしまうからです。
仙腸関節を緩め恥骨の骨を上に持ち上げる運動を恥骨のクランク運動とか
おっしゃられる方もおられるような。
ちょうど自動車のアクセルとかブレーキなどのペダルのようなもの。
もしブレーキペダルが硬すぎればペダルを踏んでも動きませんよね。
ペダルの根っこ部分で踏み込みの硬さを硬くしたりやわらかくするような
可変方式で恥骨を動かしてくれているのが仙腸関節なんですね。


仙腸関節が硬くなっているととにかく足を持ち上げにくくなります。
それにより太ももの前側の筋肉に負荷をかけて持ち上げるしかなくなり、
足が太くなり戻りません。


そして太ももの前側がしこりになれば骨盤が前傾してゆがむのが必至。


そんな身体のゆがみ方から抜け出るためにも仙腸関節を緩ませて、
それから少しずつでも身体の負担が軽減される歩き方をしていく。


ちなみに右利きの人で仙腸関節が硬くなっている人の場合、
右の恥骨結合側が強い炎症を持っていて上方にずれてます。
左利きならばその逆です。
恥骨結合部分が左右平行でなければ骨盤の平行性は保てません。
右側の恥骨が高ければ右脚部の前面が全体的に短くなるようです。



ゆえに個人的には仙腸関節部分のリリースは大切だと思います。