仙骨のカタチを誤解してはいけません


仙腸関節という仙骨と腸骨のつなぎめとなる関節部分を緩めるようなリリース方法があります。


仙腸関節の関節面は全身の関節の中でもっとも関節面が大きい。
仙骨以上の上半身の骨を伝わる重さをどう腸骨以下の下半身部位に伝えるか。
こちらの仙腸関節の関節面の噛み合い具合に掛かっています。


中殿筋や小臀筋などの筋肉の骨盤の付着部位が骨のように固まり
にっちもさっちも動きがとれないように仙腸関節が動けないとき。


仙腸関節のリリースをするわけです。


先だってのことですが、
その仙腸関節のゆるめ方を同業の先生にお伝えしたときのこと。


仙腸関節のリリース方法は、いくつかの施術法の書籍にも紹介されてます。
その施術法ごとの特徴があり、どのようにそこを捌いていくかが変わります。
適宜、そのテキスト通りのやり方でやってみて、
あとになってどれが自分のセンスでもっとも相性の良いやり方かとか、
またはお客様の実際のお体の状態ごとに即して
どのようなやり方を採用すればベストかを考えるようにするわけです。


私としては「このやり方を知っていれば十分」という考えはなくて、
いろいろと研究をしていくといいのだろうと思っております。
ただ手を広げすぎると、
ひとつのやり方を深く極めることができなくなるので
その点は、これまた適宜、各手技用法の良い点を抽出したり
アレンジしたりして自分のものにできていければと思います。


ただ、ここで解剖学的な誤認をしてはならないところがあります。


仙腸関節が長期間にわたって動きが悪くなるようにある方々の多くは、
仙腸関節を取り囲む筋肉の硬化があったり仙骨と尾骨をつなぐ靭帯が
骨と同じ程の硬さになっていることがあるので。


同業の先生に仙腸関節のリリース方法をお伝えしたときのことですが、
この骨と同じほどの固まりが骨盤の内奥のこことこことここにできる、
という指摘をしたのですが、ちっともその意味を解してくれていない。


もちろん同業ですから骨盤の解剖学については、
私と同等の知識もあれば経験もあると思います。
ですが筋膜リリースで「骨盤の深部まで解く」ということは、
確かに私ほど執念深くやっておりますところは珍しいといわれてまして。
そんなところで私にはこの方の骨盤を深くリリースしていくと
このような形状として現れるだろうという予測をしています。
過去に施術でリリースさせていただいた
同じような状態であるお客様がおられるときには
的確にその様子を類推してイメージすることができるのです。



「この方の仙骨はこんなに大きくないよ。もっと小さいんだよ」
といわれても、どうしても骨盤周辺の硬化した筋肉や靭帯を含めて
仙骨だと思われてしまっていて。
もっと仙骨は小さいんだって、必死につたえてもわかってくれない。^-^;
その誤解を解くのに苦心をいたしたときがあります。


そして仙骨のエッジがまったく見当がつかない状態の方の
仙腸関節部分だけのリリースをしても、
それほどのメリットがないので、
その周囲の仙骨をずらす根っこになる部位も目を向けてとアドバイス
なんとなく、わかってくれたような、くれなかったようなという様子。


私もそのようなしっかり仙骨の骨のエッジがわかるほどの
深層までのリリースをすることができないときには
その先生と同じことを考えていました。


そしてしっかりと深層までの骨盤周辺やそれに関連する筋肉を解かねば
仙腸関節のリリース効果が持続しにくいことがあるのだということを
わかったのもそこまで解けるようになってからでした。


仙腸関節と腰仙関節のような大関節部分が異常な位置に強制的におれば、
どのように他の関節を解いても、これらの大関節によってずれだします。
もちろんそれほどのずれがなかったり柔軟性があれば許容範囲内ですが、
慢性的な腰痛や姿勢の異常等が見られる方々は、
多くの場合には相応な問題を抱えていることがある。
注意をしておきたいところですよね。


日頃からレントゲン等の写真を撮影してチェックされる先生方でしたら、
愚かなことと笑われることでしょうね。


その点は、私としても反省すべきことと思います。
ですがレントゲン等の写真で仙骨の状態がわかったところで
そのまわりの硬化したり骨化したといえるような部位は解く技術の獲得には
即つながるものではなかったと思います。


ほんとうに骨盤周辺のリリースは奥が深いなと思います。