シンプルな骨盤

骨盤部の深層までリリースするようになってきたら、
多くの発見がありました。


第一の発見。
いままで骨盤の筋肉群を手で深層筋までリリースをがんばってきた。
これはこれでずいぶん深層まで解いていったつもりであった。
手で解くことをやめて道具を使いだした。
テコの原理や接触面をソフトにして痛みを軽減させたりして。
すると以前にも増して深層までリリースできるようになった。
深層の度合いが変わりました。
より深まりました。



そうすると骨盤に関係深い機能とは、
という意味合いが理解が進んできた。
つまり以前から機能についてはわかっていたはずだったのだが、
それがより深く骨盤部分がリリース進んでから実感が強まった。
「あっ、そこまで深い変化が起こるものだったのか」という風。


幾つかその機能を上げると、


・呼吸
・全身のバランスを保つコアからの動きと姿勢の維持
・脳脊髄液の流れ
仙腸関節を生かした歩行
・など


骨盤に関係する大殿筋が硬ければ呼吸が浅くなります。
そして骨盤が前後に骨盤底筋部分がハンモックのように
前後に振り子運動をしなければ腹で呼吸ができないので。
この振り子運動が始まれば、股関節や肩関節が
吸気と呼気で内旋したり外旋することが自発して起きる。
呼吸は波の満ち干きに似た全身運動なのです。


骨盤が胴体の基底部にあたりますため、
左右どちらかや両方の腸骨や仙骨の前傾があれば、
脊椎全体の垂直軸が通りが悪くなります。
椎間板がくさび状押しつぶされる箇所がでてくる。
グラウディングができない状態ですね。
脊椎の動きがスムースにできませんし。
姿勢の維持に抗重力筋以外の筋肉を使わざるを得ない。
抗重力筋以外の筋肉を立位姿勢の維持に使えば、
そこは必ず疲労が蓄積し硬化短縮してしこり化します。


脳内で創りだされた脳脊髄液は仙骨の前後運動で呼び水のように呼び込まれる。
それが骨盤の動きにしなやかで律動的な様子が少なくなれば
脳脊髄液の流れが低減し自立神経が失調していく。
それは自律神経という神経を機能させるための栄養源に
脳脊髄液がなっているからなのです。
脳脊髄液が少なくなれば自律神経を働かせるためのエネルギー不足が生じます。
自律神経の不調により神経痛のようなものを起こしたり、
当該する内臓器官に正常な動きをしづらくするだろう。


骨盤の仙腸関節仙骨と腸骨の噛合の不具合があれば
股関節のはまり方が浅くなってぐらつきます。
それではうまく立位姿勢を維持したり歩行できません。
仙腸関節仙骨と腸骨を分けて動かすことができねば、
膝を持ち上げて歩く歩き方になり過剰に負荷がかかる。


またちょっと変わり種で申しますと
ライヒは骨盤部の緊張を緩めて、精神的な心的外傷を改善させた。
ということは私どものボディワークを生業としているものにはよく知られています。
骨盤部の緊張が、要領よく精神的なトラウマのようなものを持ち続けるといいます。
なので骨盤部の緊張が軽減させられると、
トラウマのようなものにムダに精神的なエネルギーを浪費される度合いが減ります。



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慢性的な腰痛や不具合を感じ続けているような方の多くをみていった経験では、
利き足側の骨盤部の筋肉群や利き足側の反対側の大腰筋の硬化が強いものです。
ただこのような状態であることに、
体の不具合があるのに気づかない。


たとえばダンスをしていたりヨガをしていたりと、
活発に体を動かしている方々のなかにも、
どれほどの硬化がそこにあるか実感を持つ人は少数。


いわんや一般の方で、
諸所の虚弱傾向があったり
アレルギー症状があったり、
婦人科系の問題があったり、
極度に緊張しやすかったり、
などその他の方々のなかに、
びっくりするほど骨の盤の周囲筋群が硬化萎縮して機能しづらい部位があるか、
まったく気づいていない方が多いようなのです。
それにより骨盤がねじれていたり、開いていたり、閉じて詰まっていたりなど、
いつもいる骨盤の変位状態にあまり疑問や違和感を感じていない。


そしてここのずれを生じさせている部位の筋膜の癒着部分が、
ときとして強化プラスチックほどの固さになっていることで
そこが本来は柔軟性ある筋肉であったのに、
あたかもずっと骨であったごとく脳が認識。
それだから姿勢を決める姿勢運動神経系は
ちょっとやそっと骨盤の周囲を解かれても
脳が解かれた部位をまたすぐに骨化させる。


こちらの硬化の度合いがかなりの強さになっているときには、
施術の成果が継続しづらくすぐに戻ってしまうことが多くて。


私は、この部位を施術をするときの真っ先に時間をかけて処理していきます。
それもほとんど毎回、かなりの時間をかけています。


シンプル・ペルビック(単純な理想系の骨盤状態)。
シンプル・ペルビックは、
仙腸関節のしなやかさにとんでおり、
腰仙関節部分を挟んで腰椎が仙骨化したり、
仙骨が腰椎化したりすることがありません。
きれいに垂直のラインをなぞるでしょう。


理想型の骨盤の状態を触ってみて、
自分の骨盤の状態と比べてみれば、
なにか気付くこともあるでしょう。


そのような理想に再構成していかなければ、
体の改善を維持促進するのは難しいのです。


そこがおそらく施術を生業とするものが
性根を入れてお客様のリリースをするか
セルフストレッチ等で対処するのかで、
開きが出てくるようなところです。