『項靭帯』を活かして頭を支えるように


首の後ろを触ってみるとこりこりした硬い感じの小指より細い縦筋がでてます。
ここの縦筋部分がすべて頚椎の棘突起と勘違いしやすいところです。
『項靭帯』という皮下組織と椎骨の棘突起をつなぐ靭帯があります。
実はこの項靭帯を触っていたのかもしれません。
首のうらがへこみは項靭帯にひっぱられて皮膚が深部に落ち込むためできます。


ちなみに馬の項靭帯を観るとものすごい太くたくましい。
四足動物で頭を下支えできない動物は、
頭を前に落とさないようにするために役立てている靭帯組織だからだ。


で、なんでこんなあまり聞きなれない『項靭帯』などというものを
とうとうと説明しているのでしょうか。


それは頭をスカイフックさせて理想位置に保持するときには、
首周りの筋力、
たとえば僧帽筋や頭板状筋などの筋力だけで支えているのではなく、
使っても疲労物質がほとんどたまらない『項靭帯』という靭帯組織で
頭を支えられるようにすればいいことをイメージしてほしいからです。
私はこの『項靭帯』という頭を前に行かせ過ぎないようにする靭帯の存在を
正確に理解する前と後では頭の位置がどこが理想的かなどの
大切な姿勢評価に違いが生じてきたことを覚えています。


この部分の機能を発揮できる位置に頭を据えれば首や肩の筋肉は疲れない。
これができているかどうかで体軸の垂直性の感覚や
背面を広く活かせるかどうかの開きが出ます。


興味がある方は『項靭帯』を解剖学の専門書や
ネット検索して調べ確認してみてくださいね。


また中年以降に『項靭帯』が石灰化し弾性が失われるバルソニー病という疾患があるそうです。
ですが中年以前にもこの『項靭帯』がまるで萎縮しているかのようになり、
頚椎のカーブを異型させていることがあります。
ストレートネックとか頚椎の曲がりがきつすぎて首が短縮しているとか。
この部分は実に繊細で不用意に触り動かしすぎると危険が伴うので、
もし問題があるようなときは整形外科で診断していただき、
その上で必要があれば指導者のもとでエクササイズを習うか、
信頼ある施術家に施術を依頼するかするとよいでしょう。