ナメクジウオの「うずまき反射」

痛みの刺激から身を遠ざけよう、
身を守ろうという反応は生命維持の根源といえるものです。
非常に原始的な生物でもからだに備わっている機能です。


脊椎動物の祖先がホヤ説ではなくナメクジウオということが判明したらしい。
脊椎動物の祖先にあたる原始的な動物がナメクジウオなのだそうです。
そうであればいろいろとこの動物を観察すれば、
進化の源流を見つけ出すこともできるでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%A1%E3%82%AF%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%82%AA


そこでそのナメクジウオという脊索動物の一種をつついてみる。


ナメクジウオをつついてみると痛みの刺激から身を遠ざけよう、
身を守ろうとするための反応が起こります。
体を丸めうずをまいていくのです。


これを「うずまき反射」といいます。
または「侵害逃避反射」ともいいます。


人間の脊椎も棒でつっつかれれば
うずまき反射が起きるのですね。


ただ棒でつっつかれなくとも
このうずまき反射に似た反射は起きているようです。
痛みをずっとこらえていたりすれば、
次第に脊椎の椎間板部分が萎縮して
椎間関節の可動域が狭められていく。
うずまき反射が起き続けた状態で固定していきます。


そのように仮説を立てていけば、
長年の腰痛や肩こりや手足の末端部に至るまでの慢性痛などを持つ人の
椎間板の萎縮傾向が痛みを感じる部分から遠のいていき身を守る方向に
生じていくということが観察できるのだろうと思います。


体の姿勢がゆがんで垂直性が乱れることで脊椎に側湾などの悪い傾向が
おきるときもあるのですが、
それ以外にも痛みの発生源を中心にして新たにうずまき反射が起こり
より複雑な脊椎のゆがみを描き出すことがある。
立位での垂直軸の乱れだけでは語れない部分が、
うずまき反射による水平軸の乱れというものを
考慮すれば脊椎の近くに縦靭帯の骨化の入り具合の予測も立てやすくなる。


そのように考えることができるかもしれません。



ただ・・・人間の場合、
ナメクジウオ以上に厄介なのが
棒でつっつかれたとき侵害逃避をするのですが、
何度か繰り返して棒でつっつかれたりすれば、
突っつかれていないときもつっつかれたら嫌だなと感じてか、
侵害逃避をいつでもできるよう準備状態で保持してしまう。


不快感を強いられそれから逃れたいという感情が
記憶や神経にプログラムされる。


すると今は棒でつっつかれてもいなにのに、
ずっとつっつかれていて逃げるような反射をし続けるのかも。


実際は怪我などはいずれ直るわけですが、
そのときに植えつけられた侵害逃避プログラムが記憶に残ってしまう。
この後者のほうが後々まで本人が気づかないところで働き続けて、
脊椎をゆがめるような悪い作用を与え続けることもあるように思えます。


施術をなさっておられる方々では、
いろいろとこのような仮説を立て、
それに基づいて観察し実際を分析するわけです。


仮説を立てて検証していく作業は大変な作業ですが、
教科書にあるような部分からはみ出た地に着いた自分の目で確かめた
知識や研究などは施術をするときに活きてくるでしょう。


独自の視点を得て他者との違いがでるのは
そのような自己の関心ある研究を突き詰めることからくるのだと思います。