お盆を持つときの妙

お盆を持つときの妙。


手のひらにお盆をのせてみてください。


別に少し大き目のハードカバーの本でも結構です。


左手に乗せて。


そのときにどのような持ち方をするでしょうか。


親指、人差し指、中指を立ててお盆をのせたならば
以前ウエイターをなさっていて持ち方を教えていただいたのかもしれませんね。


不安定な持ち方に感じますが、
バランスをとるための繊細な手首の動きを実現させれば
まったく問題なく重いものものせられるでしょう。


それが正解です。


左手の手のひらを平らにして仰向けにして乗せてしまうと、
それはかなり胸の前側や三角筋上腕二頭筋などにつらい負担が強いられる。
そして肩があがってきてしまうかもしれません。
そのお盆を前方に50cmほど手を伸ばしましょう。


するとものすごい手がぷるぷるいうほどつらい。


これを長期間続けるというのは大変な重労働です。


ちょっとした手のひらの使い方でも、
天と地の肉体にかかる負担の度合い差です。


私どもはこの小さな使い方の差がどれほど
肉体に蓄積する問題の有無にかかわるかを
気にします。



ちょっときつねにつままれたような、
不思議な現象さえそこには存在する。


ここで施術者の体の裁き方をみてみよう。


見方がわかればこのような点に気を配る人か
あまり気にしていない人かはすぐわかります。


気にしていなければときとして先生ご自身が体を壊すこともあります。


そうなるとすばらしい手技テクニックを持っておられても
手技で与えられる作用力の繊細さを追求しづらくなります。



それに体の誤用といえるような胸の前側を過度に緊張させた使用は
運動神経や知覚神経をも馬鹿にさせてしまうことがあります。
すると体のずれを生じさせた状態から離れていけないのです。
施術をしても戻りがでてしまう。
形状記憶合金のような状態となりますが、
本人的には長年してきたスタイルで体内ではそれで違和感はない。
むしろ整体した状態のほうが変な感じだなという不快感が感じられることも。



ただ「このような感じで使えばいいんだ」と私が説明しても
そう体がすぐに反応してできるのはなかなかないようです。
事前に多くの体の使い方の経験と知識を深めているときは
すっとそれらの知識と結びつきある種の解答を得られた気持ちになり
深い理解へ向かい体に定着することもあるのです。


「体の使い方を練る」行為を日常生活で取り入れているかどうか。
つまりそれは体に対しての観察力を持ち続け試行錯誤を繰り返したか。
・・・です。