一般健康書などの施術法の伝授の功罪

一般の人向けの本にも、
施術家がしてみるにも
リスクが高いやり方が
紹介されている本がある。


たとえば、
イラスト付きで
どのような場所を、
どう押すのかなど。


丁寧に矢印付きで、
解説してくれてる。


そこまでしていただけると、
やってみたくなるのが人情。


こうすれば改善するのなら、
がんばろう!


真剣に悩んでいればいるほど、
そのように思えてくるはずだ。
ただ真剣に悩んでいる人ほど、
解説された通りの手技により
改善するというより
ダメージが残ることもある。


つまり健康体に近い状態なら、
少しは手技で負担を強いても
問題なく皮膚抵抗等の防衛が
しっかり自分の身を守る。
その上である程度の成果あり。


その部位に問題があるならば、
ダメージが相乗して倍加する。
成果というよりマイナスです。


施術を生業とするものと一般の方では、
施術に関しての情報量が違っています。
施術とは活殺自在というリスクを含む。


そちらを痛感しているため、
この人にはこの手技はいい、
この人にはこの手技がいい、
あの人にはこの手技は害になる、
あの人にはこの手技は忌避すべき。


のように、
ひとつの手技でもケースバイケース。


あるときは活かせるが、
あるときは害になる。


そうやって化けるもの。



たとえば
大腰筋を緩める操作。


一般の腰痛症の方々には、
心地いい腰の緩み快適です。


それが一転、
妊娠初期の安定期前に行なえば
流産のリスクは跳ね上がります。



だから状況や状態を判断しています。


どれほどの深さで入れるか。
どの角度なら安全か。
どの浸透圧でいくのか。
お客様の体の固定方法は?
活殺点は外して安全かどうか。


基本的な目的の手技の定形はあるものの、
効果を引き出し安全性を高めるため工夫。
それぞれの先生方は、みな、そうしてる。


というのは、施術は、現状の体の状態を、
他者の力で壊していくものなのですから、
壊した後に理想型に落ち着かせるための
先に終わりまでを見通し手をつける
のが通常です。



ここからはじめなければ、
いずれ収集がつかなくなる。
収集がつかない体をこさえては、
私どもは仕事になりませんから。


ちょうど文章を書くときも、
草稿を認めてから本書する。
そうしたほうが出来栄えが、
はるかによくなるものです。
文豪も多く草稿を残してる。


本番に手をつける前段階が、
充実しているか否かで結果が違うものです。


ここまでの作業をしてから、
手をつけていくのですから。
念がいった話です。


多くの施術の一般書は
施術家が書いたもので、
施術家が施術をする者向けに書いたものとして、
私はそれらをみているため、行間が読めてくる。


完璧に読めてるとまではいきませんが、
だいたいの書いた人のメインの流派を見て
何を言おうとしているのか想像がつくもの。



たまたま整体の一般書を読んでいたら、
F3」という記号が、
いきなり出てきた。


頚痛はC、胸椎はT、腰椎はLで示すが、
「F」ってなんだっけ?


はたと見当がつかなくて見えなくなったのだが、
姿勢均整術の本を読んでいることを思い出して、
姿勢型がF3なんだっけと思いだしたとか。。。


その手の校正で用語の使い方不適切で
ペケされて補足が必要としてほしいものも
素通りして掲載されていることも多いのです。



大手出版社の校正マンが校了まで仕上げるならば
そのリスクは少なくなります。
ただ・・・私のような個人発信のブログ等では、
そのような優秀な人材の目が加わることもない。
読み手側は気をつけなければならないでしょう。


そして同業者の文章でも、
隠蔽工作のためと思いたくなるほど、
核心部分が伏せ字のごとくぼかされ、
行間を察するということもできないが、
手の置く場所等はイラストで図示する。
文章で、安全を促す注意書きは、ある。
ただページ数の関係か言葉足らずです。


私は試行錯誤して何が書かれているか
探してみるのが習慣となり行間を足す。


ですが一般的にはそのようなことまで、
気が回りません。


なのでだいたいこんな感じかなという、
アバウトな知識で
落とし所が見えない時点でも、
踏み切ってやってみることになります。


人数的にはダメージを受けるまで至る方は少ないかもしれないのですが、
既存のダメージに輪をかけてダメージを乗せていくことになってしまう。


それは著者が本や映像などにより、
善意で技術を伝えた方々もつらいでしょうし、
改善するはずとの期待に反してダメージを被った方の思いは、
察して図ることもできません。


大変なつらさです。


施術家の著作方法のノウハウをわかりやすく解説する指南書が
あればいいのだがと思うこの頃です。