怪我をしてもただじゃ起きない

怪我をしてしまったとき。


その怪我をした患部を癒そうとする自然治癒力が働く。
代謝を促進させて患部に血液を送り栄養素で満たし再建を図ろうとする。


そして生命力がかなり強い人の場合には、
怪我をしているときに体内で創りだした自前の麻薬物質のようなものがでて、
痛みを沈静化させようともする。


ただそのときに同時に神経組織の網目を活発化させ、
神経の多くが主に筋肉を動かすのに使わている事実。
つまり痛みを抑える物質をだしつつも
神経組織を活発化させて筋肉をいつもより動かしやすくもしている。
筋肉を動かすことでマッスルポンプを強め代謝を上げる手立てとしている。


だから怪我をして痛みが出ている患部は動かせないのだが、
患部に触らないような部分をトレーニングしていくことで
通常以上にすごい能力をその部分に備えさせることもできる。


それは時々起こる本当のことなので
そうであることを知っているかどうかで、
怪我をしたときの取り組みや精神状態に
開きが出てくるように思います。



たとえばですが、
内山高志というボクサーが去年の年末大晦日に試合をしました。
彼は右を壊して使えない時があり右で打つ練習もできない。
そのときに左手のジャブを強化したそうです。
そのジャブの威力はものすごい強さになった。
本当に強烈な左ジャブ。
それは試合運びでのこと、
強力は左ジャブを受けたくない相手は、
うかつに入ってこれないし、
通常なら牽制的に打たれるジャブをもらって、
それで効いてしまうという恐ろしいことになっている。


こちらは怪我をして患部を使えないから、
患部にかからないところを鍛えればいいって、
割りきってトレーニングして功を奏したのだろう。


そのときに精神的に患部にばかり気を寄せれば、
せっかく沈静化させようとする自前の麻薬物質が
効きが悪くなり痛みばかりに気が滅入ってしまう。
そのような状態であれば、
せっかくの怪我をしたときの光明も受けられない。


怪我をすれば痛いし復活ができるかどうかのリスクが高いので、
できるだけそうならないにこしたこともない。
だがスポーツ選手やダンサーなど、
多かれ少なかれ怪我をすることを恐れすぎては、
動きが萎縮してしまう。


だから怪我をしにくいような工夫をしたり、
先生などからのアドバイスをもらいながら
がんばっていくようにしたいですよね。





ちなみにこのときに脳波の周波数が穏やかになる。
通常はβ波であるのが、
α波やときにはθ波のような脳波がでている。
α波等がでているときに体の組織の再生がしやすくなるので。
そういった脳波のモードに移行しやすくなるのでしょうね。


そしてβ波では、
いつものパターン化した体の動きや精神の動きを単純に繰り返してしまう。
体の使い方を学ぼうとするものにとり気づきが少ない状態です。



それがα波やθ波では、
意識の集中が強くなる。
思考や体の使うときのパターン化された状態から抜け出しやすくなる。
体の機能を活かして物事に対処しようとすることができる。
発想が自由になり気づいたらいつも疑問に思っていた難問がさらりと溶けていた。
そのようなことが起こりやすい状態です。





ある意味、怪我をしてしまうということは、
いつもの体の使い方をすることができない。
いつもの体の使い方ではない使い方をせざるを得ないならば、
それだったらいっそのこと、いつものパターン化した動きを捨てるきっかけにすればいい。


そう考えて、体の使い方を最検証してみると、
意外なほど興味深い結果が生み出せることもある。




不運なことに、
私どものお客様でバレエをなさっている方が、
練習中に足を故障してしまいました。
すぐ舞台というところだったので
さぞや心中大変なことだろうと。
ですが本人からは、
不思議なほど冷静でいられるという。
舞台は今回は参加できなくなりましたが、
怪我をしてもただでは起きない自信があると。


そして体や精神的な状況を聞くと、
少なからずアドレナリンが持続的にでておるようで、
意識が研ぎ澄まされている感じがある。


筋肉で体を動かす用法ばかりが、
体を使う方法ではないことが、
足を故障したために派生して分かった。
そのため私が立位姿勢を観れば、
いつもと体のしなやかさのパターンが違っていた。
今まで観たことのない様子で、とてもいい感じだ。


体の胴体の使い方のパターンが、
発想の根底から変えられている。


口でこのような体のさばき方を説明されてもわかりづらいが、
自分の体が怪我をしていない部位を活かせという命令にそうと、
自然にできてしまっている。



立派なことです。



怪我が治ると、
そのような体の使い方をする必要性を失い、
以前のままの使い方が再燃されてしまいやすいので。
この感覚を、ぜひしっかり体感してメモリーしておいて、
怪我が治ったあとでも再現できるようにして欲しいです。



そうすることが出来れば
怪我をしてもただじゃ起きなかったといえるでしょう。
怪我をしても、
それを機に体の動きの飛躍へとつなげる人もいるのですね。


怪我というネガティブなものも
場合により、「よっしゃ!患部以外を開発するときだ!」と
頭を切り替えられポジティブになれる人は伸びますよね〜。


きっと。


ただ日頃から体の使い方などへ興味を持っていておこること。
誰にでもそうなる限りではないのです。