左肩の不調原因を推理して解く

私ごとですが、
『左肩が張ってしょうがないなぁ』
数日前から、そんな感じがあった。


施術をするときの圧のかけ方を工夫していくたびに、
今までとは違う筋肉を使うため、
実際にしてみなければわからない部分が張ってくる。


ただ体の筋肉が柔軟性が高くなり感度が良くなれば良くなるほど、
多少の筋硬化であったとしても、感じ取れる辛さは半端なくなる。


目の前のお客様は、何十倍も硬いのに比較的平気な顔をしている。
それが緩んで正常な筋肉になるとそうはいかなくなる。


筋肉はいったん緩み調子の良い状態を体験すれば、
その設定にいつづけたいと考えます。


それは弾力ある緩んだ筋肉は血流が順調ですから
その中を通る神経系も血液の運んでくる酸素量に比例してしっかり働いてくれる。
そうなるとちょっと張っている程度でも、
敏感になった神経がけたたましく警報を鳴らす。


もちろんちょっと張っただけなら、
寝れば綺麗サッパリ緩みますから。
問題はない。


ですがそうもいかないような程度の張りはかなりきつくなります。



では肩が張っているのだから、肩をどうにかすればよいだろうか?


ひとまずはそう考えて、肩に対しての対処を幾つかしてみました。
ですがいまひとつ、というかまったくよくなる気配はない。
そうときは原因がまったく別のところということが多い。


一般の方はこの時点で軽くパニックを起こすところです。


ですが本業なだけあって、
視点を広げることで正解に近づけます。^-^)


時系列的に、
今までしていなかったことをし始めたものに注目。
それらをリストアップしていく。


12ほど思い当たるが、
中でも最有力に思い当たるものがあった。


ここ数週間、鎖骨下や前胸郭部を緩めることが多かった。
リリースするにも、もっとも気を使うところのひとつだ。


鎖骨などは肋軟骨の次くらいに骨折しやすいところだ。
そこをリリースするにも、
結局は指先でちょっと触っただけでもひぇ〜というほど痛みが出る人も多く、
自身では気づいていなかったと思いますが、様々な問題点が内在している。


かいつまんで少しだけ例示すれば、
大胸筋のパンプアップが硬化と萎縮を呼んで関連した肋骨部分をずらし
胸肋靭帯が柔軟性を失い骨化して胸肋関節などもずれてしまう。
肩が持ち上がり気味ならば鎖骨下の筋肉が凝り化して胸鎖関節もずれて、
胸骨角が隆起していることもあり、
アレルギー症状を持っている人は胸骨体が凹んでたり凸っていたりする。


実質的に言えば、
軽度の胸郭のずれならばヨガやストレッチなどでも改善は見られるだろう。
でもアレルギー症状を持っているとか脊椎の側湾がある、呼吸器が問題がある、
肩が持ち上がり気味だ、首が短くなっている、そして前に突き出ている、など、
なかなか改善できるものではない。


ということが、最近この部分を効率よくリリースできるような方法の研究をしてきて実感しています。


あっ、ここって、こんなに緩むものなのか!


これは私にとっても、かなり画期的なこと。




ただそのときの施術で、
どうしてもこの部位をリリースするときに、
お客様の痛みの強いポイントを解くためできるだけ痛みが軽減するよう、
私の姿勢がリリースポイントをよく見ようと近づかざるをえない。


他の部位ならば目をつぶっていても手の指先で触ればいいだけ。
一応、眼で確認はするが覗き込もうなんてことは不要です。
かえって覗きこむ習慣は手押しで押してしまうようになる。
それは素人の圧のかけかたです。
解けないし、それどころか重心を崩して骨折事故を起こす。
そんな素人っぽい事故を起こすことになりかねない。。。


だから一点をよく見ようなんてしない。
巨視的に全体を見るほうが関連部位を同時把握できるので
すこぶる有意義です。
だからいつも患部の一点をみることはせず、
全身や広く関連筋も含めた引きの画で見るのが普通です。


ですが、いまのところは、胸郭のこの部位を解くときはそうも言ってられない。


いまの細心の注意を払いながら行う私の解き方でも痛いといわれているのです。
ミリ単位でのポイント選びをしているので、これでも相当に痛みが少ないはず。
それは、この部位は、表面の筋肉層は普通に指先で解けるだろうが、
そこでも目打ちで突き刺されたりえぐられたりという痛みを堪える範囲を越えた世界になります。


そうであったから、そのような痛みを極力抑えて、
深層部まで緩められる方法をひたすらに試行錯誤。


結果的に今のやり方にたどり着いたわけです。


通常なら、痛みが強いから解かない場所です。
解いたとしても痛みがない程度ですから、
深層が硬いままです。
それでは肋骨可動性も取り戻せないですし、
五十肩などを綺麗に改善させたり、
鎖骨下の動脈や静脈の圧迫による血流悪化や
肋間神経などの不快感なども改善しづらいし。
それにピッチャーをしている方の肩をささっと変化させたりもできないし。
バレエをしている方の鎖骨や肩甲骨をより自在に動かせるようにしたり。


個人的に、
ここは頸部にも影響が大きく、
呼吸器や循環器の大本となる肺や心臓にかかる負担を軽減させるため、
これは体調改善のためのキーになるはずではと考えています。


20年以上ここまで解けるようになるまで時間がかかった。
でもそれだけの価値はあるな。


そのような成果も出てきていますので、
けっこう苦労して研究してきた甲斐があったなと喜んでます。


ただ、そういったところの裏側に、
いろいろと私への代償として何かが来るのが常です。^-^;


胸郭を解くときに私の重心の置き場のベストポジションを崩さざるを得なくて、
足腰に掛かる負担が半端なくきつくなっていた。
そうなることを見越して、足裏にはおもりとして足腰を安定させるための地下足袋スニーカー履いた。
それでかなり重心のズレを補正しやすくなるよう改善されているのだが、
それでも足腰にかかる負担がまだまだ半端ではない。


ちなみに右利きの方々は右の前胸郭が変形している。
それによりそちらの部位にかかる時間が多くなり、
ゴルファーが片側ばかりでスイングしていて
腰痛を患うような感覚に近いものに陥っているのだろう。


これが私の体幹部のねじれにつながり左肩甲骨や左肩にという片側だけの張りにつながったのです。



そのようにまでストーリーが考えだせれば、
あとは簡単。


もうどこに問題があるかは、判明してます。


応用筋肉学の公式といってもよいような、
計算でそれは割り出せるといってもいい。


胸椎11番〜腰椎一番のねじれがでたということがわかったということなので、
この部分を含むようにセラバンドを巻きつける。


この時点で、左肩の張りや痛みは『無痛』になった。


嘘のように、さっきまでの不快感は消えました。^-^)/




あとは大腰筋の付け根上端部分を緩めることと、
臀部を含めた脚部全体をカウンターストレイン
想像以上に左手を酷使し続けていたことだから
左手の負担部分を上腕三頭筋をメインに解く。


行ったことは上記のようなことだが、
この部分を割り出せなければ、
その後の長きに渡って苦しむことになる。


左の腰部の腎臓裏部分に深いきついしこりができることで、
その苦痛は少なくなるか消えることになる。
それにより脊椎に与えるダメージは大きい。



左肩を緩めようとして効果なしと思い、
次にセラバンドを腰に巻きつけたのは
わずか、その30秒後です。


自分のことだから思い当たることを質問すれば
高速ですべての思い出せる限りの回答がでてきます。
あとは正解らしさの高いものを絞り込みます。
質問に対しての回答が漏れがなく、
それぞれの重要度がわかるから、
迷わずひとつの正解がでてくる。


そういうシンプルに片がつくこともあるのです。


お客様が、いきなりどこそこの体の部分が痛み始めたと聞くとき、
問題の不快感が起きたとき、「なにかいつもと違ったことをしていませんでしたか?」
たとえば座っていた椅子を変えたとか、席替えをしたとか、
ストレスが強い状況になったとか、
新たな運動を始めたとか、
詳細に教えてくれればくれるほど、
解答が正確にえられることになる。


なので、もし「なにかいつもと違ったことをしていたでしょうか?」と質問をされたときは、
これはまったくかんけいないよな、とか思えるような些細な事も、
迷わず教えてくれたほうが正解が近づくことも多いのです。


施術は情報戦。


いろいろと体を見ていって推理することも大切ですが、
それだけでの調査よりも状況を聞けたほうが手っ取り早いし確実だし。


私が施術中に「あれ、ここなんだかいつもと違いますね」というと、
そこひねったんですよ、というようにある程度は見ればわかるが、
見抜きづらいところであれば見過ごして、対応が後手に回る。


なので気づいた体にかけた負担や状況や不快感がでたところなろを
「私の体の近況につきまして〜」と教えてくれるお客様もいるのですが、
それはこれから行う施術の方向性を決めるありがたい情報を伝えてくれていることなのです。


得てして些細すぎるように感じてしまえることに原因があることも多いからです。
(些細すぎて思い出せないこともあるんで、これは困りものなのですが^-^;)


そうすることで成果が感じられるまで遠回りをしないですみますからね!