急性の肩の痛みと、慢性化した四十肩や五十肩の違いって・・・?

四十肩や五十肩で困っておられる方もおられるかもしれません。

私の友達でもあり施術を受けにきていただいている方も、そのような不調で困っておられ、施術を受けに来てくれました。

で、肩や腕の課題のみであれば、はっきりいって改善は容易です。
その分野の主だった本はほぼ読み漁り、実際に施術の場で改良の上取り入れてもいますし、
独自の筋膜リリースのテクニックを持ってさらに効きのいい状態へ。
その結果、『これは、しつこいな・・・』というプレッシャーが私にのしかかるケースであっても、
着々と不快さが軽減してお帰りいただけるようになってきました。


つまり【肩や腕の課題のみであれば】というのは、
肩甲骨回りの肩甲下筋や大円筋と小円筋、肩甲挙筋、棘上筋・棘下筋などを筆頭に、
頚椎第一や仙腸関節などを丁寧に観ていくことで急性はカバーできるだろう。


ただ【肩や腕の課題のみであれば】の範囲を逸脱する場合があります。
それは胸郭という胸の肋骨部分自体が変位しておられるケースです。

変位した胸郭.jpg

実際的に多数の方々の身体をチェックすればわかりますが、
理想形の胸郭を持つ人は絶対少数派です。

多かれ少なかれ胸郭のずれが内在しているのが多数派です。

なので胸郭の変位が少ない場合には、
一般的に起きる胸郭変位量が深刻ではないので。
肩関節の関節の接合が浅くなり不安定になっている不安定な関節をカバーするために
その肩関節周囲に自前のギブスと呼べそうな筋や腱や靭帯を緊張させて硬化させて関節をはめています。
そうした場合、腋下から肩関節の直下を触り確かめればボール状だったり棘のような形状の
骨に似た硬さを持つ筋の癒着が密集したものが観察されます。
加えて肩甲骨と肋骨の隙間にある肩甲下筋が粘って肩甲骨を外旋させたところに固定し腕の動きに制限を加えたり、
または大円筋や小円筋が筋張り棘下筋が極度の炎症を持つことも合わせて観察されるでしょう。
それに加えて三角筋上腕三頭筋(力こぶが出る腕筋の裏側の筋肉です)を緩め、首の芯にできた凝りもとれば、
うまく胸郭と腕とのコネクトが完成して痛みが消える常態にもっていくことができます。

これらを一度でケアするのは、すでに炎症がピークな激痛では難しいため、
相応の量をザックザックと解き進めはしますが、そこはお客様の様子を見て無理強いのないほどを見定め、
次回の施術につながるような仕事の積み上げをしていくのです。
本当に腕の筋肉は激痛ですから。
お客様が、勢いもって耐えるからどんどんやってくれと言われてそれをうのみにしたら、
ひどいことがおこりますので。
お客様にとっては現状のリリースでもかなりの痛みがでていたとしても、
そこは痛みのピークから十分の一ほどになるよう計算してアプローチをかけてその状態なのです。。。

人間は腕を器用に物をつかみ、思考するときにもそれをよくもちいますから、
それはあたかも脳が外部にでて現れている出張器官そのものなのです。
だからこそ痛覚神経を多く配置させて、脳の出張器官を死守しようとします。
なのでこちらは容赦なく解くような場所ではありません。


ただこれが、胸郭の変位の状態が一定量の大きさを持っている場合。
たとえば胸骨が背側に後退した位置にずれている状態をお持ちであれば、
そうなると自然に肩甲骨の外転と上方回旋が常態的に起きており肩関節の関節のはまりが大きく浅めになりますし、
巧く肋骨と肩の接合場に乗せることができない構造になります。
結果、上述したような肩関節のはまりが思わしくないことをカバーしようとして自ら作り出した自前の筋を緊張させてつくるギブスが強くなります。
そうした大きなずれがあったような場合にはただの筋緊張が寝ても休んでも抜けない根深い筋膜の癒着に進むことになります。

つまりこうなった場合、腕や肩の筋の癒着をリリースしても、
その腕や肩の土台になる胸郭変位で腕や肩の乗りが悪いため、そこの問題が生じやすいのです。
だからこの場合の五十肩のステージは急性的なものではなく、
肋骨や鎖骨や胸骨に腕や肩の筋が癒着が経年で進行した慢性化したものである場合が多くなるのです。

この場合は腕や肩の癒着リリースしただけでは、はっきり言って恒常的な改善の定着は不十分でしょう。


ちなみに、じゃ、なぜ、四十肩や五十肩といった、加齢により症状が発症するのかというと、
それは体内で生成できるコラーゲン量の変位により起きるとされることも知られています。

それはたとえば、
男性の場合は、
20歳から40歳にかけて約20%減少し、
40歳から60歳にかけて約25%減少しています。
80歳の頃には、20歳の頃の約40%しかコラーゲンがない状態になります。

50歳なら25%のコラーゲンが若かりしときと比べると減少してしまい、
肩関節の周囲の上述した炎症部を構成する筋や肩関節内部の軟骨組織も減りますから関節の遊び(余裕)が減った状態になっている。
だからそうなると本人が持つコラーゲン量の減少が起きると弱い部分に痛みや不快感のような症状が現れだすのです。。。

だいぶ、身体を健康に保つためには、年を取るって色々実情変化を理解して対策を打つ必要も出てくるものです。
しんどいことですが、ここは神が自身にあたえた生きるための課題として積極的に取り組むしかない部分でしょう。


そして胸郭の状態をかいぜんさせるための仕事は、
私の施術でもある程度のところはカバーできるが、
それはあくまでお客様がその後に胸郭を動かして変位量を減らすためのきっかけづくりにすぎない。
まぁ。。。胸郭変位量があっても伸筋の活かし方が身についているようなバレエ等のレッスンで鍛え抜かれている人に対しては、
最高の援護射撃だといっていただけることを多くありますが、
一般の方ではなかなか伸筋の筋操作といわれても、それを頭で理解した程度じゃ不十分な理解にすぎないものであり、
なかなかバレエ等をなさっている方のようなカラダでわかってそれを腑に落ちておられる方とは違っておりますので。。。


ちなみに胸郭変位量が強く内在するときには、ケースバイケースですが脊椎側弯症の方々がなさるエクササイズが流用でき、
効果的な結果を出せることもあります。

私の友人の場合はそこまで極端な胸郭変位ではないため、そこまで徹底したことをする必要はなく、
ヨガ等で全身や胸郭を伸長させ、肩関節のはめ込みや同様に股関節のはめ込みを正すようにすればいい。
とりあえずそれもあって、先日お客様のKさまから教えていただきました実践的で簡単、なおかつ私が観ても、
これシンプルだけど効果が期待できそう!!という映像をお伝えしておきました。
なので、そちらを本人がやっていこうと思うかどうかは本人次第ですが、
時間をかけて日々そちらエクササイズをやっていただければと願ってます。


ただそういった胸郭変位の量の段階が大きい方の場合には、
自己流のエクササイズをすることでかえって状態が悪化することもでてきます。
すでに五十肩の激痛があれば、なかなかそれで運動したいとか思えないし、肩の可動域が小さいため運動もしづらいので。。。
セルフケアでの効果はあまり期待しづらく、その状態で期間を増せば、問題の五十肩も時間が経過すれば悪化していく可能性も出てきます。
五十肩とか、いったん治ったような感じになって痛みがあったところの消炎がなされることもありますが、
たいていは身体のねじりなどや操作法を無意識に変更して筋肉の痛みが軽減できるようにしているのですが。。。
ただ残念なことに、そうしたことは負担を他の部位に移した代償行為でしかないため、別の部位が時期に痛みが出るか、再度、同様な発痛場所により強い痛みを感じはじめることになります。
そのようなときはたとえば私も所有して参考にしている「胸郭運動システムの再建法」のような本を著している専門家もいて、
ネットを駆使して適切な医療機関を探し出していただくようにしたほうが現実的でしょう。