『胸郭』という<鳥かごへの思いやり>が、大切なものを守ります

胸郭部分のリリースは、
意外に私は多くの一般の方々にとって、
見過ごしがちな盲点だと思っています。


どちらかのテレビで「骨盤が歪んでいるのが気になるんです」
という言葉を発しているところで、
「私は、この方の胸郭の変位状態がものすごい気になる・・」
と思っていることが多いんですよね。


自分の胸郭のコンディションが整えられているかどうかを知っていて、
それについてさらなる改善を施せば、
どれほど自分の今後の人生に大きな益となるか。


それを真剣に希求できている賢明な人は少ない。


人の胸郭のリリースの前後を知るに及び、
私には、そのようなことを常に考えてしまうのです。。。




では、なぜ、胸郭部にあまり焦点が当てられていないのか。。。
あんまり施術院で、胸郭に着眼してます!と声高らかに、
全面押しする先生が少ないからかもしれませんね。


生理学的な知識を持って胸郭の変位がどのような影響が出るか。
医学的に詳細を語るまとまった本などは見たことはありません。
でも、肋骨という鳥かご状の入れ物の中には、
心臓・肺・胸腺など生命維持に最上級の影響を及ぼすものが。
つまり重要極まりない臓器だから肋骨という骨で守らなければならないんです。
ただその外枠の胸郭部を構成する、
胸椎や肋骨・肋軟骨や胸骨、
そして肋間筋やらその他の筋、靭帯等の軟部組織が、
多くの日本人には理想型の人の割合が少ないのでは。




私は、日頃、外に出てマンウォッチングをする趣味があります。
施術を取り組み始めた昔には、
街角を歩く人の外見部分から、
見える姿勢やフォルムで体の異常箇所を推理する課題をもってから、
今も、何気なしにそのような職業病的なものの見方をしていまして。


100人の人が私の目の前を通れば、
そのうちのほんの5人もいないでしょう。
私が、この人は理想に近い胸郭を持っているなという人は。。。。
あとの95人に対して、決して口にだすことはありませんが、
「もうちょっと、この胸骨部分はこっちに移行させないと、、、」
というように問題部分が目につきます。


そのような胸郭部分。
過半数はやり方によって改善しやすい人も多くいます。
そのような人はちょっとがんばって形状の良し悪しを理解して、
適切な方向へと自分の身を持っていければ。
健康体の体がさらに磨きがかかるでしょう。


実に気分がイイ!そんな爽快感を味わうことができます。


ただその過半数以外の方で、
できればこの人は施術で改善なさられればいいのだが、、、。
と余計なお世話を思ってしまう方もおられる。


それも事実です。


ですから、この後者の施術院で改善させるほど、
改善がセルフでは難しいだろうと言う人もいる。
私が肋間筋部分の特定部位や胸骨の壇中当たりを触れば、
その触られた瞬間に痛みが出るのはまだ良い方の方です。
しこりが折り重なり積もっていて感覚が消えている人もいるほど。
そのような方々は、胸郭部をリリースした後のメリットは計り知れない。


でも、、、
「それならば、なんで胸郭部分をリリースするっていう視点が、
骨盤ほどにないのだろうか?」


そのような疑問を持つ人も出てくるでしょう。




これは単なる私の憶測で恐縮ですが。。。


施術院で、
あまり胸郭部分のリリースを全面に押し出していない。





胸郭の改善が難しい点のひとつ。
それは以前も、ブログに書いたことがあるかもしれません。
手で解くのが、これほど骨な場所はないということです。



ボディワイズにお通いいただいているお客様のなかのお一人に、
とある腱をただしい位置に調整する施術を学び施している方がいます。


その方から、施術上で興味深いお話を聞かせていただいたことがあります。


指先で圧をかけることで、
かけられたものの腱や靭帯などをスパッと切断することができるんだ、
といいます。


なぜそのようなことができるかといえば、
理由があります。
全身骨格の骸骨モデルの人差し指等の指先の骨部分ご覧いただけたら幸い。


そうすればすぐにわかるのですが、
指先の骨は少し先っぽが矢尻の食い込み部分のような返しがついていて、
そちらが手の指先越しでも浸透力のある力で腱や靭帯を弾くようにする。


するとうまく腱や靭帯部分が指先の骨の返しに引っかかることで、
身体操作が優れたものならばその引っかかった部分をスパっと切断する。
表層部分を力任せにこする程度の圧では切れ味はよくないが、
やはりダメージを筋肉、腱、靭帯という軟部組織に与えます。


だから私にお話をしていただけた先生は、
しっかりとそのようなリスクがなくなるように研究と修行をして、
クライアントへダメージを与えないように特別な対応をしているのです。






硬化して柔軟性を失った肋間筋部分に指先の部位でアプローチをすると
非常に痛みがでるので難しいところがあるのだと。


指先の骨の形状が構造上ピンポイント圧をかける性質があるため、
大腿部等の太い筋肉ならばまだしも筋肉の断面が広いため傷もつきづらいが、
肋間筋のような細く短い筋肉は容易に傷ついてしまう弱い筋肉の筆頭ですし。
簡単に肋間筋は傷つけられるものですから、
非常に痛みを感じやすくしてダメージから
身を守ろうとしているのです。


まさに米粒大の小さな肋骨部の関節や胸骨上にできたしこりが
千枚通しで突き刺されるほどの痛みを感じる。
それも指先で、わずか10グラムほどの弱い圧をかけただけで、
のたうちまわるほどの激痛を感じるような部分があります。
その部分はトリガーポイントとして幾つもの筋肉の外枠の筋膜部が、
よれたりねじれたりひっついたり縮んたり、
さまざまな異常な状況下に移行したまま固まってしまっております。


そしてもしそのような強烈なレベルのトリガーポイントエリアが
数個も胸郭部にできてしまえば、肋骨の正常な開閉はできません。
そのような状態では呼吸が浅くなってみたり、
免疫力が低下していったり、
心臓に圧迫等の負担がかかってみるなどの、
悪影響が身に及ぶようになります。。。


胸郭の変位が強く胸椎部の側湾にまで達するものなら
私は自力での復活はなかなか難しいものだなと思います。
そのようなものの対応に役立つメディカルな本は、
側弯症を改善させるためのエクササイズが紹介してあります。
以前に予約順番待ちに並ばれていた側わん症があって
そちらの改善を試みたいという方がおられて、
数冊の本を参考までに紹介させていただきました。
医学的な高度な知識が多く紹介されているもので
一般書ではないため読みこなすのも大変だったと思います。
ですががんばって、自分なりにやってみたとおっしゃいます。


ただ、実際は胸椎部分をストレッチをかけたときに、
眼から涙が溢れて叫びたくなるほど痛みが出てきて。
幾度かはそれにも耐えなければならないかと考えて、
自宅でやってみたがぜんぜん成果を得るには至らなかったそうです。


私に、痛みが強い状態だがどうすべきかと質問をしてこられて、
通常、痛みが強すぎる場合は負荷が過剰な状態のストレッチだから
そのようなものは即座にやめてくださいという回答をさせていただきました。
痛みが強いストレッチは、筋・腱・靭帯を痛めることが多い危険な行為です。
そのようなことはやめて、他のやり方を見つけるべきです。


各人の体ごとの対応法があり、
向き不向きがあるものです。





その方は歌をうたう歌唱の趣味があるそうで、
そのため肋間筋の収縮が悪いことが、
どれほど歌の音程や声量に悪影響を及ぼすか。
そのことも気にしておられました。


それでかつてなさられたのが、
どちらかの施術院に通われていたときのこと。
肋間筋の拘縮したつまり部分を、
痛みを堪えるから解いてほしいとお願いしたそうです。


結果は、
強烈な痛みを堪えてみても肋間筋は緩むどころか硬化が強まり、
日頃の呼吸のしづらさが増したり、
夜寝ても浅くしか寝ておらず、
アレルギー症状がさらに強まってしまったといいます。



ただ、私はその施術院の先生を悪くいうような気にはなれません。


私も指先での胸郭部のリリースをお客様にさせていただきましたが、
痛みがほんとうに厳しいものだということは、
お客様の反応を観て感じ取り。
数名の驚異的に我慢強いお客様が痛みを訴えた時点で、
指先で胸郭部分を解くということは
お客様の痛みの不快感を避けるため辞めただけですから。
他の側臥位で肋間筋をゆるめたり、
広い面を持つ柔軟なブロックでずり圧をかけてみたり、
様々な代替できるようなものはないかと探りましたが、
自作てい鍼を作りだしてアプローチを肋間筋にまで伸ばすまでは、
肋間筋への直接つまり部分などへの圧を封印しただけだからです。


唯一、お客様に肋間筋部分等をカレンドラオイルでマッサージを。
そのようなアドバイスはしてまいりました。
それは状態がそれほど悪くない中ぐらい程度の問題を含んだ人は
有効だったように報告を受けています。


ですがそれで私が十分な成果を期待したレベルまでいかない、
状態が思わしくない方々にとっては打つ手がなかったのです。


つまり肋間筋部分の拘縮しきる部位を筋膜リリースする際には、
肋間筋リリース、特に拘縮がひどく胸郭の変位が大きめな場合、
成果を出しづらいどころか少しのやり過ぎで悪影響もでるので。。。


ちなみに私もハンドマッサージのやり方を工夫して、
いろいろと肋間筋を充分な柔らかさをだせるように
かつて24年以上挑戦し続けてきました。
その研究し続けた限りにおいてということで、
他の施術家の先生方のハンドマッサージについては
十分に存じ上げませんので。


私がかつて編み出したやり方では成果が出にくかった、
ということですので、
その点はご了承ください。




それは肋間筋の位置関係を知れば、
肋骨の骨の奥の内臓よりに付いている筋だから、
表面圧をかけるだけではアプローチが難しくて、
リリースがしづらいし。。。


それじゃ肋間筋に直接指先で力強く触れると、
矢尻状の形状を持つ指先の先っぽの骨が
最弱でちっぽけな筋繊維を切り裂くし。


結構、八方塞がりになるのですよね。





私が制作した自作てい鍼。
一見するとぶっとい真鍮棒なのですが。
自作てい鍼のぶっとさゆえに
肋間筋の筋繊維を指先の矢尻状の骨で傷つける心配はない。
同時に自作てい鍼自体がある程度のウエイトを持っていて、
圧をかけるときに理想の圧をかけるようなことができます。
細かい米粒大の部分にアプローチを加えることもあるため、
その痛みははんぱではないときはあります。
ただ自作てい鍼のてい鍼たる所以で、
不思議なほど軽めに当てているだけ。


それでも患部の神経部位が強烈な炎症を内在させっぱなしであれば、
十分すぎるほどに痛みが神経を通して鋭い鋭利なものとして通ります。
その痛みの質は筋肉の炎症という痛みの質ではない、
目打ちで打たれたような痛み。
靭帯とか腱が問題があるときには、
これと同じような発痛がありますが、
ずっと麻痺したままの胸郭内側で炎症を持ち冷えて固まる部位に
さぁー^ーー^ーっと、
そこに血液が入り込み、
幾度か自作てい鍼を胸郭部にかけていくと、
問題の患部はまったくの別物のような健康的な状態へと徐々に変わります。



そのような変化を遂げてきた方々を、
幸い、かなり多く見させていただきました。
自律神経系の問題がある方々な、
呼吸や循環などの問題が先行して内在し、
負のループを重ねる人が多くおられます。
そのような方々へのアプローチにもいい。



ただもちろん、
素人の方が強めに自作てい鍼で
自分の胸郭を解こうというのは無茶です。
自作てい鍼は術者がそれを使い込んで、
解き方を工夫して使いこなせないとムリですよ。 ^-^
下手に使えば肋骨や胸骨を痛めかねないのです。。。



ただ先の述べた、
側わん症での肋間筋の動きが悪かったことで歌が歌いづらかった女性。
その方に丁寧にリリースを繰り返していくことで、
以前の声の質とは明らかに変わったといわれるように、
ボイトレレッスンでいわれるようになったといってました。
それに鼻水等のアレルギーも、
幸い、胸腺が動きを取り戻してくれてきたためか、
「そういえば、最近、鼻かんでなかった、、、あっ、今気づいた」
^-^v


といって喜んでくれていました。


自作てい鍼を使われて恐怖の時間を過ごしたけど、
今思えば、ほんとうにがんばって乗り切ってよかったと。
私も、自作てい鍼を使い始めのことですし、
一切のマニュアルのない独自の解き方ですから、
痛い思いをさせてしまい恐縮していたのですが。。。
よく、がんばりましたね!!!


ちなみに女性の場合は年齢が進んでの強い胸郭異常があると、
更年期障害の問題がより強く現れる傾向もあるのではと、
私や数名の施術仲間の方が臨床からみています。
だからそのような点においても、
少しずつ改善しているようだともこの歌うたいの女性は教えてくれました。







ちなみに肋間筋のリリースには、
別に自作てい鍼をオンリーで使って、
それで成果を生み出してるわけではありません。


そのように思われると、それは大きな誤解です。


首の筋肉のリリースと腋下のしこりや大胸筋、
そして肋骨の側部全体等を、
側臥位で特別なアプローチでリリースする工夫をしています。
現在も側臥位でのこの部位のリリースを継承しています。


側臥位でリリースを加えるメリットとしては、
狙っている胸郭全体の筋がより緩みやすくなり、
同時に立体的に胸郭の左右半分ずつを観て接して、
アプローチすることができるというダイナミックさ。


そこは自作てい鍼ではカバーできない優れた面を大いに持つものです。


実際は、愚直に、
側臥位と胸郭前と背面のすべてをまんべんなく定量的に考慮して解くから、
画期的と思える変化がうまれ、
ほーら動くもんだよね胸郭って!という成果がでるものなのです。




昨日、施術院をなさっている先生と
そんな胸郭のお話をしていました。


できれば、その先生にも胸郭部位のアプローチ法の研究をしていただき、
情報交換が密にできるようにできるように協力体制が組めればなと願っています。



私の独自のやり方は、私だからできるという個人技があるものです。
それに私の現状のやり方は、成果は出る反面、
利益がまったく消えるほどの時間がかかるし、
難易度も高く、術者の疲労はひどい積もるし。





他の先生に勧められるものじゃないのですが、
部分でもかまわないから
ヒントになったり使えるところがあったら、もってってほしい。


そんなことを感じる、この頃です。 ^-^