腹部の状態がよいと、すぐ治る人と言えよう


あまり施術の心得がないときには、無茶はしてほしくないところのひとつがお腹です。
五臓六腑。
そのすべてが集まっているのがお腹です。


経絡は、そのすべてがここ、お腹の中に通じているわけですから、
もしも、腹部をみてガッチガチに固かったり、
適度な弾力がなく軟化しすぎて力が失せていたりすれば、
それは体の隅々末端まで流れる経絡の全体のコンディションにも
問題が出てきているという事にもなるでしょう。


経絡の乱れがあれば、
該当する自律神経系を通して不調を生み出すことにつながります。


そして元気な人が一時的に不調になっている時と、
病気がちな人が不調を起こしている時では、
腹部の硬さや横隔膜下の硬さ、恥骨上の腹直筋の様子など、
チェックしてみれば大きく違っていることに気づくでしょう。


前者の元気な人が一時的に不調になっているときには、
腹部が柔軟性が十分残っているのです。
適度な全体の暖かさと、恥骨の上の腹直筋下端の付け根部分やみぞおち、
へその裏側の柔軟性、
へそが見れる時には、そのへそが曲がっていないかを確認し、
大腰筋部分(右利きなら特に左側大腰筋がこりやすいことが多い)のしなやかさなどをみていく。
そしてそれらのほぼ70%くらいが合格点に達しているなら、
元気な気がまだまだ体の中を隅々まで行き渡ろうとしている。
そうであるなら治りがいい。


それに対して病気がちな方の場合には、
腹部に血液が滞留しすぎて、他の場所の血液量が少なくなっている。
そのような循環器系の問題も出てきてしまう。
腹が一部または全部が冷たかったり、
または嫌な感じのほてりがあったり。
へその裏の硬化も強い。
肋骨下端に指をさしこもうとしても、痛くて差し込めることができない。
また肋骨下端が横隔膜と肋軟骨部が癒着が進んでいることで、
肋骨下端に指を差し込むという事自体、指が弾かれて入らない。
通常ならば指の第二関節くらいまで、楽に肋骨下へ指が入る。
そうであれば腹式呼吸がしやすい状態です。
牛乳瓶、2〜3本分ほどは楽に息が入り、
血中酸素量が増えてサラサラな血になれる。
だから体の隅々まで血液という栄養素を運び二酸化炭素等の老廃物を排泄する仕組みを確立できている。
そうでなければ腹式呼吸がしづらいため胸式呼吸に頼らざるをえないため、
酸素の摂取量が理想状態と比較すれば低減していく。
それで血中酸素量も減るようになる。
腹部大動脈を圧迫していたり、鼠径部のしこりが強くて腹部に足先へいくべき血液が滞留させられていたり。
それが内臓部分に臓器同士を不用意に圧着させて内臓同士の癒着を進行させることになる。


そのような腹部がネガティブな状態であれば、
骨格筋ばかり解いていても成果が思わしくない。


どんなに骨格筋を解いても戻りが早くて、改善した状態を維持しづらくなっている。


やはりこの場合には、内臓が柔軟性を帯びて心地よくいられるような胴体を模索してつくり上げること。
そのような状態に施術で底上げすることもできる。
ただし内臓のリリースは、他の骨格筋などを解く以上に、
ダメージを与えるリスクも大きいですし、
極度の慎重さを必要としますから。


もしも自分でお腹が硬いなとみつけてみたとしても、
あまりいい加減に腹部をぎゅうぎゅう固いところを
押して圧してゴリゴリするのには慎重さが必要です。
一般書で、内臓マッサージの本などがでていますが、
骨格筋を圧し間違えるときとは比較にならないほど
内臓マッサージのダメージは大きくなりますから。
一般の方が本に手軽に内臓マッサージをしようと書いてあったのを見つけたとしても、
自己責任で少しずつ欲張らずに解いていく事です。


ただ腹部が硬くなりすぎるときには、
強い炎症をその箇所は持っています。
それに内臓同士が癒着が進んでいれば、
それを無理に引き離せば臓器が癒着部が出血したり血管や神経が切れたりと傷つきます。


そのようなリスクがあるため、
いくらリリースのノウハウを身につけたとしても
安全第一で進めたいので、
本当に息が詰まる様な緊張感のもとで内臓を緩めていきます。


そういった繊細なところでもあるので、
一般書の内臓マッサージを紹介するものに、
少し強引にやってしまうようなところがあると、
かなり怖いなと思います。


本文の中には、たとえ注意しながらやってみて
もし不都合な痛みや不快感があればやめること、
とあるのですが。
そのような痛みや不快感が、
臓器の器質的なものを傷つけて生じたものなら
それではすでにもう手遅れ感がありますから。



もしもしっかりリリースして、
生きのいい柔軟性ある腹部を取り戻したいならば、
適切な施術ができるものを見つけて、
リリースを依頼するほうが安全だと思います。
そして確実に先へと進んでいけることでしょう。


余談ですが、施術を受けに来た当初では、
お腹を少しでも触るとくすぐったくて仕方がなかったり、
少し奥まで押し込むと苦しみだしたりしていたお客様も、
今では内臓部分がしっかり奥の奥まで緩みだしています。
これは、体質的に安定している状態を示しているのです。



適切なその炎症箇所をカバーするやり方をとりつつ
内臓マッサージの施行をする必要があります。



内臓に圧をかける場合の、
加圧の量、加圧の方向、加圧の深さなどが、
絶妙によくなければ溶けにくいものです。
ミリ単位とか、その半分の単位で、
圧をコントロールしていくのです。


もしも内臓にある程度の柔軟性がある方ならばともかく
相当に硬化が著しい方の場合には、
そこは一般の方には本からだけで学べるかどうか、
少し難しいところがあるのではないかと想います。