「肩甲骨。嘘、つかない」

姿勢の維持に欠かせないもの。


いくつもあるのですが、
大切なひとつに肩甲骨のテンションを維持しつづける必要がある。


立っている状態ならば、
腕や肩は宙吊り状態だから、
別に肩甲骨へことさらな意識を配る必要などないと思われますが。


それでは、
すがた(姿)のいきおい(勢い)と書く、
姿勢の「勢い」が生まれません。


肩甲骨部分が虚脱していて力感がなければ、
首を左右や前後に動かすのもおぼつかない。


それにもまして腕力がうまく発揮できなく、
腕ヂカラが非力モードです。


手が空中にフリーに動かせるようにするため立ったはずですが、
肩甲骨への力感を感じられないと機能的な動きじゃないんです。



最近、フレックスバーというゴム製の棒のようなものを両手で持っていただき、
それを胸の前で絞りながら前方に押し出すような動作をしていただいてます。
肘が伸ばされて前に突き出された状態ですね。


雑巾絞りのような動きです。


このときに肩甲骨を緩め肋骨から少し浮かせてから
ぎゅっーーーと絞りだすのがポイントなのです。


こうして、このしぼった状態の腕をキープしつつ、
私がその方の頭部を天井へ向けた動作をしていく。
するとこのしぼった状態の腕をキープするときは
首がそれほど苦しくない。
安定して天井を見ることができるのです。
そして前に出された腕を下方に圧をかけても、
不思議なほど腕は下がらず抵抗できてしまいます。


ただ単純にフレックスバーを絞らずに腕を前に伸ばしてただバーを持っているだけの状態で、
私がその方の頭を天井に向けようとするとぐらつきます。
それに喉が詰まるような息苦しさを感じてしまわれます。
そして腕を下に押せば、体ごと前にヨロケテしまいます。


そんな感じの実験を体験していただいております。


いつもが僧帽筋を利用して頭を制御できるような
そんな効きのいい人ならば、このようになります。
ただ頚椎の詰まりが日頃から強くてという人では
顔を天井に向けるときに、平気そうにしています。
そうであれば、それはそれで問題です。^-^;




武道で、剣術等をなさる方々などは、
すばらしい剣の使い手の肩甲骨周りの筋肉が細密な分化をして、
少し肥大しつつも棘上筋、棘下筋含め
肋骨から肩甲骨を引き離し意図した状態に移動させるための筋肉も発達している。
実に素晴らしく、唸らされます。
「お見事!!」
ただ武道家はなかなかもろ肌を脱いでということはないのです。


他の武芸やダンス、手を動かす職人技を叶えるものたちも、
一流といわれる者はこれと同様な状態であるのが普通です。



馬と赤ちゃん四つん這い.jpg



それはまだ人体の骨格が四足で歩く動物の進化の過程であって、
それを流用して二足歩行をかなえているというものだからです。


赤ちゃんのときに、四足でハイハイをしていました。
そのとき腕は、胴体を支える柱です。
肩甲骨が腕の頂上に位置しています。
そして胴体を下方に落下させるとき
肋骨と肩甲骨のスペースができます。
そして肩甲骨部分にはガツンとくる、
しっかりした胴体を浮かせるために重しがここにかかっているという力感が感じられるのです。


この肋骨と肩甲骨の隙間が、ハイハイをするときに胴体のブレを縮小させるためのサスペンションの役割にもなり、
これにより首に掛かる衝撃を弱め、
脳のブレを大きく減少させて思考力を保つことができるような仕組みです。


実際に、四つん這いになり、
やってみていただけるとわかりやすいでしょう。
四つん這いになって、
肩甲骨と肋骨の間にスペースができているとき、
頭を前に横に下に、どこに向けても楽ちんです。
それに強力な力で頭を動かせているのです。
(そして頭をこの状態で動かすときは、自動で尾骨が頭と骨盤のバランスを取るように動いてくれます)


それが
肩甲骨と肋骨の間のスペースがない状態のとき、
頭を前方に向けようとすると喉がつまりますし、
頭を動かす力も非力です。


このような点について観察していただいて、
それから四つん這いから二足での立位に移行し、
肩甲骨の状態を四つん這いのときと二足立位のときと、
ほぼ共通していたんだなと確認していただければいいでしょう。



そうすれば手は肩甲骨を含めて、
未だに前足なんだと実感できるでしょう。



肩甲骨部分を、ひとまず四つん這い状態のときの状態の機能的ポジションに設定する。
そうすことで、腰背部をまっすぐに伸ばして立てる力を得られます。
脊柱起立筋が、自然に中央の脊椎方向へベクトルが向くのには、
その起立筋全体の向きも四足動物が頭部の方へ向けて進む時の状態を思い起こさせて、
都合、二足でも頭部方向へ進もうとするため背筋が伸ばせます。


そして肩甲骨が四つん這い胴体を支える際の力感を感じた状態にすると、
体性感覚が素晴らしい人ならば、
同時に腸骨もそれにつられて協調して脊椎を立たせるための
動作しやすいようなところへ動き出すことにきづくでしょう。


腕にとっての肩甲骨と足にとっての腸骨は、
機能的に相似しているのだと観察出来ます。



肩甲骨を使えていないと腸骨をコントロール出来ないので、
それでは腸腰筋を活かせるわけもありません。
コアの筋肉として名高くなった大腰筋や特に腸骨筋は腸骨をコントロールする筋肉でもあるため、
腸骨を肩甲骨の意図的なモーションでコントロールしやすい状態にできるのだなと知らなければ、
都合により腸骨がにっちもさっちも動けなくて大腰筋や腸骨筋も使い勝手がよろしくありません。


なので、たとえばバレエダンサーが、
上半身をもろ肌を脱いでコンテンポラリーダンスなどをしているときに肩甲骨が見えるわけですが、
それを見た瞬間に、
「むむむっ、これは凄いポテンシャルを発揮できるダンサーですね 0_0!)」と思えたり、
「むむむっ、将来の伸びしろが相当有りそうだな ^-^; 」と感じたり。


かなりいい精度でそのものの力量は見えてきますね。


左右の肩甲骨が、位置が水平ではないとか、斜めっているとか、前に後ろに巻き込んでいるとか、
そんな変異形であればよくありませんよね。
同時にしっかりと日頃から肩甲骨パワーを意識して背筋を整える修練を積まれている方々は、
その部分の筋肉が分化していきますし育っていきます。


顔の表情や、動作もろもろをうまく作りこんで形を作ろうとしたとしても、
「肩甲骨。嘘、つかない」のです。