コーチの考え方:ゴールイメージを先に描いて、こころの充実感を手に

私が気に入っているコーチング的思考法があります。


『 ソリューション・フォーカス 』という、
ゴールイメージを描いて、
リアルに臨場感を五感や周囲の環境などからくる影響を味わってから、
そちらに向かって進もうとする考え方です。


抽象的な説明となりますが、
次のように考えるといいでしょう。
スタート地点から迷路を進もうとするときに、
さまざまな行き止まりが用意されているものです。
ですがゴール地点からスタート地点に向かってたどると、
それらの行き止まりにつまづくこともなくするするたどれるでしょう。
そのようにすれば意外に難しい迷路でも、案外容易にクリアできるでしょう。


ゴールイメージを描いてからスタート地点を俯瞰すること。


現実界という迷路を進むのにも同様なことがいえるのです。


遂行が困難な事業も、スタートの現時点の足場だけを観て途方に暮れている。
前途多難でも挑み続ける粘り強さがあればいいのでしょう。
多くの人は、
今まで自分がやったことがない手間のかかることは、
不安の裏返しで手がつけられないということになる。


取り組むのが面倒というよりも
失敗するリスクが高いことには
どうも気後れして手が出せない。


たとえば、
これを私どものお客様のお父様やお母様といった、
高齢者が体に痛みを覚えたときを想定してみよう。


スタート地点で、現場の話を聞き出してみよう!
すると、
とあるケースでは、
「膝がどうしても痛くてしかたがないんですよ。この足がうまく痛みが消えればいいんですけど・・・」
それに対して原因究明の視点で観ていくならば、
質問者:「普段、運動はしているの?」といえば、
ご本人:「だって、足が痛いから歩けないんですよ。できるわけないじゃないですか!」


しごく当然の返答です。


質問者:「でも、できる範囲内でやってくれないと、改善するきっかけがつかめないと思いますけど・・・」
ご本人:「どうしても続けてやれないんです。なんて、自分ってダメなんだろう(がっくりする)」


そのような会話がどれほどご本人を傷つけてしまうか。
質問者に対して自信を喪失させられたという押し付けがましさは感じないかもしれないが、
だんだん自分の前向きなこころが萎縮していき勇気がくじかれていく。
そんな後ろ向きな自分に、ほとほと嫌気が差してくるのが普通だろう。
感情がへこまされて、なおかつ動けるような強い人間ばかりではない。


すると二度と自分の体のことなんて気遣ってくれるな、それは迷惑だ!
というような両者のこころの行き違いを創りだしてしまう。


質問者はご本人の痛みに寄り添って少しでもいい方法を一緒に見つけたいのに、
話をすればするほどこじれていってしまう。
質問者も最後には「結局、あなたは何も自分でしようとしないじゃないか!まったくもぉ〜」と、
慈悲のこころも、いつしか悲しみと切なさとやるせなさと叶わぬ望みがいらだちになってしまう。


人は、「自分が思い描いた部分が大きく見えてくる」という心理学的な特性を持っている。


つまりできていないところを真っ先に見ていって原因を究明しようとすればするほど
現状ではできていない問題行動部分を挙げ連ねるばかりに終止しようとする。
このところで「できているところ」もチェックすればいいものの、
ほんとうに「できていないところだけ」を挙げてしまう人もいる。


これは世に言う【ダメ出し】である。


そうすれば、
できているところが多くあっても
そこは覆い隠されて見えない状態。


ダメ出しされた条項が大きな負担増になって脳裏を負のオーラで覆い出す。


そのようなやり方では、すでに現状でつらい気持ちになっているのだから、
そのつらさや切なさは、一気に増幅するのが高齢者の気持ちなのでしょう。


高齢者も、以前は理想的な動きができていたんです。
そのときの体験をしているからこそ、
そのような体を失ったときのつらい気持ちや今後の不安は大きいものです。


目の前の質問者が、うらやましいほど元気で健康上の問題がない人だとします。
すると「自分のそのような感情を共感していないあなたに何がわかるの!」となるのは自明の理。


迷路で言えば、
スタート地点を出発し、早々に行き止まりに当たる。
前進ができずに後戻りを余儀なくされた状態でしょう。



私もコーチングを学ぶ前は、
このような質問者のやり方を普通だと思っていました。
「どこがいけないの?」という疑問すらなかったかもしれません。
人の気持ち、感情を捉えるのが、正直、相当に苦手だったのです。


そしてそれは同時に、
コーチングをするコーチは、
一般の人が普段使いで用いる会話用語とは違った言葉を積み重ねて発するものなんですね。
(そのようなことを知ることができたのは、コーチングスクールに通った成果でしょう)


そのようにすることで、
ご本人のゴールイメージを思い描く手伝いをさせていただく人なんですね。
理想の状態に焦点を絞り描かれたこれからの状態に至ったご本人を想像し、
「そうなれたら、どんな気持ちがしますか」などとお伺いをたてていくし、
本人の口から建設的な意見が微塵でも出ればにこにこ顔で狂喜乱舞する。


そこには「ダメ出し」をする要素など一切を取っ払った姿勢で話を聞き、
これから目の前の人が起こす夢への架け橋を渡る姿を見せてくださいと、
寄り添いながら進みたいですと伝えます。
コーチングの場合は、これが継続セッションの申し込みの勧めになるのですが、
身内にはそんなものは必要ないですよね。


身内という親しい間柄であったとしても、
土足で入り込むようなことをしてはならず、
むしろ慎重でかつ愛情あふれる言葉を伝え続けていくことに慣れたほうがいい。



もしかすると、、、。
ご本人はスタート地点でひとりであがいていた苦境のつらさも、
幾分かは癒えているかもしれません。
ゴールイメージを描いて自分が欲しいものを明確に手にしたことがきっかけで、
自ら「何をすればいいのか」を考えだしはじめることになるかもしれませんね。



そこに一般的な会話からは離れた感じの
普通じゃないコーチングの会話技術を使える強みがあるのでしょう。



そんなゴールイメージを鮮明化させてから話を進める技術のことを
おそらくソリューション・フォーカスと呼ぶ・・・らしいです。



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私どものような施術院では、どうしても施術時間の関係上、
【 究極のダメ出し屋さん 】的な思考で問題部を探る人という存在にならざるをえないときもあります。
良い施術はピンポイントで終えられるというやり方でしたら、
施術時間がたっぷりとってあればお話をする時間もあります。


ですが私の施術の場合、
ほとんどのケースでは、
観察眼から数百もの問題点を見つけ出していて、
そのうちの数十もの問題点を必死に改善するものです。
一挙手一投足で、いくつもの問題点を削り取りますし、
長い施術時間中も、刻々と変わる状況に合わせて手を出し続けます。
すると数十モノ問題点を改善したところから、
患部が掘れていけばさらに強烈な問題点がひょっこり顔を出してくれるのです。


そういった連続です。


そこを地道に正面を向いて取り去り拭い続けるという作業をしている。
だから究極に忙しくてしかたがありません。



ただしそのような施術に含まれたものはダメ出しから出ていますから。


その時点で、ダメ出しをしていることへのすまなさを感じてフォローをする気配りが大事なのですね。


そんなことも気付きました。


思いついたままのフォローするための言葉を投げかけようとするので、
型が決まっていませんから。
いまだに、口がうまく回らずにシドロモドロになるときもあります。


施術業という究極のダメ出し思考が身につく職業上の発想から脱し、
ただひたすらにお客様の理想の自身の体の状態を具体的に聞くようにするのもいいのかもしれませんね。


そして私どもの施術院には、相当にご本人の身体状況も深刻で、精神的にも疲れ果てていることもある。
そのようなときには、
たとえ施術の時間を幾分か削ったとしても、
膝とひざを交えソリューション・フォーカスをベースにした具体的に五感が揺さぶられるゴールイメージを、
ともに創りあげてから施術に入っていくほうが長い目で見れば成果がでるかもしれません。