「気と血の関係」について。

「気と血の関係」について。

「血」とは血液のことです。
察しがつきますよね。

ですが「気」のイメージがつかみづらく誤解をしておられる方もいます。
たとえば「”気”は中国気功法の大家が造り出す、ミステリアスな力」と、
勘違いをする人もいます。

もちろん、そのような位置づけで扱おうと考えてはおりません。


「血」は血液のこと。さまざまな組織へ栄養をあたえる物質です。
物質は陰陽の「陰」にあたります。


「気」は、物質代謝作用を起こすエネルギーのことです。物質ではありません。
気は陰陽の「陽」にあたります。


物質である血と、それを運ぶ機能を持つ気の存在の両者が協力し合い、血液の循環が起こる仕組みです。
『気血一致』ともいいます。

気と血がともに充実し、バランスがとれているとき、
理想的な血液の代謝が体内で起こります。

「気」を宅配業者気.png)にたとえ、
「血」を送り物血ボックス.png)にたとえると、わかりやすいでしょう。


すこぶる健康的な状態とは、
気と血がともに過不足なく充実している。
そのような状態を指します。

陰陽が充実してつりあう.png


対して、
気と血のどちらか一方、
または両方が欠けても、
血液循環が滞ることになります。

 

【 例1 】
「気」が多くても「血」が少なければ、
運び手は多くても運ぶモノが不足します。
結果的に血は滞ります。

陰が不足した場合.png

 

【 例2 】
「気」が少なくて「血」が多ければ、
血を運ぶための人員不足で血は滞ります。

陽が不足した場合.png

 

【 例3 】
気と血の両者ともに減少し不足すれば、
血液循環は滞ります。

陰陽ともに減少.png

 

 

【 例1 】・【 例2 】・【 例3 】
ともに血液が滞るという同様の結果があらわれてきます。


しかし病状の深刻さについて考察すれば、
違った局面が見えてくるでしょう。

同時に対処の仕方も変わるべきだということも見えてくるはずです。


たとえば、【 例1 】。
『「気」が多くても「血」が少なければ、運び手は多くても運ぶモノが不足します』
という場合には、減少して不足する「血」を補います。
そうすると漢方薬や食による対応の薬膳等による対応も、
「血」の量を増す目的で選択するとよいでしょう。

まさにこのときは良質な食物をいただいて血を増やすことが先決です。
血が足らない方に対して、私が施術をしても、
血が施術で一気に増えるような栄養供給ができるわけではないのです。

 

たとえば、【 例2 】。
『「気」が少なくて「血」が多ければ、血を運ぶための人員不足で血は滞ります。』
という場合には、減少して不足する「気」を補います。
そうすると漢方薬や食による対応の薬膳等による対応も、
「気」の量を増す目的で選択するとよいでしょう。

気が少ないときには、空気を吸うことで呼吸代謝があげられれば、
気が補えるときもあります。
急激な過度な運動は、かえって気を損傷します。
少し早歩きか自分の心地よいペースで30分程度歩くというのもいいでしょう。

または施術での対処もあるでしょう。
たとえば、
お客様には複雑な話になるため説明しておりませんが、
肝の気を推動させる力を増すようにする意図をもって、
施術をすることで滞った気を送る力を強めるように操作をしています。

 

そのように「気」と「血」のどちらが不足して血流を阻害する結果に至るかの原因がわかれば、
適切な対応をとりやすくなるでしょう。

 

そして【 例3 】。
「気と血」の両方が減少して血液を循環させる機能が低下している場合。
病状として回復が困難な状態に移行している時期とみることができます。 
このような状態に気づいたときは、緊急をもって対応をなされたほうがよいでしょう。
かかりつけ医に相談の上、信頼できる病院や鍼灸医院等に足を運ばれることをお勧めいたします。

 


また、上記の例示はしておりませんが、
気、血のどちらか一方かまたは両方が<過剰>になる場合もあります。

そのときは補うという対処法はいたしません。
過剰となった部位を見つけて、
気血の流通を悪化させてしまうよう堰き止めた部位等の原因部を見つけて取り除き、
血流の流れを取り戻すようにします。
そのような対処を「瀉(シャ)」という言葉で呼びます。
基本、筋膜リリースをおこなうことにより、
気血の流れを促進させる仕組みのベースは、
凝った筋肉等の組織により血管を圧迫して血流をせき止めている場合には大きな変化を感じることとなります。

内科的には気も血も十分な量があるし充実した動きをしようとするが、
それが部分的に動脈管を圧迫されて血管を止血されたため、
止血された部分から内側の血管内は血が滞って溜まっていき、
止血された部分から外側の心臓から遠くなる部分は血の届く量が減少して冷えていく。
そして体温の落ちた組織が体内にできてしまい弱化していくようなケースです。
そういった状態を虚実の実としますが、その不安定な状態が長期にわたれば、
やがては虚実の虚という力を失した状態に移行していくようになり、
状態悪化が進行していくでしょう。

 

時には補い、時には瀉する。

圧をかけるやり方に、この使い分けの方法があります。
そこを語ると、本一冊の内容量を語る世界ですから割愛します。
ですが、同じようなストロークで圧をかけているように見えても、
ここは「補」のストローク
こちらは「瀉」のストローク
などと分けてカラダ内部のエネルギー代謝を整理しているのです。

それはお客様自身のカラダに、
どのような対処をすればよいか書かれています。

カラダのパーツごとに状況を読んで、適切な対処を選択します。
そうして意図的に血の流れを制御することが、
私の意識する筋膜リリースの仕事のなかには入っております。

西洋医的に考察すれば、
物質として認識できる「血液」は語りますが、
「気」という目に見えない機能に名を与えることはありません。
東洋医学では、なぜ、目に見えない気という力作用に着眼したのでしょうか。
そこは中医臓腑学のように中医学の専門的な分野を学ぶときに、
「気と血を分けて正解だ!」と思えてくると思います。

 


気は、気持ちの問題にも大きくかかわりますから、
気が沈んだり落ち込んだりすれば、気の量は減少します。
結果として血の運搬者が減って血流が滞ります。


ときには空元気でもいいから、
気を強くして前面に威勢よく押し出していきましょう。
その気になって、そうしていただければ、確実に血流は良化していきます。

 


余談ですが、私が行きつけの神社仏閣等に足を運ぶとき。
神社に訪問をするお参りの人の気の滞りを改善させてくれるようなところもあるのです。

それは神社全体でというよりも、
神社のこの一部の30センチ四方の空間のみからという狭いエリアで、
強く気の代謝を助ける流れを感じるときがあります。

目ざとくそういうところで、気のエネルギーチャージもできるかも?