「10年後どうなっているか一緒に考えましょう」

体の使い方をレクチャーするときに、
このことばを気づきのためのワードとして使うことがある。

体の使い方が大切といっても、
別段急激な変化が感じられなく思える。
親しんできた体の使い方のパターンを、
外的に是正されることも気分がよくない。

いままでのたち方や歩き方を、
否定されたように感じる。
「こういうように歩けばもっとダイエットにもいいですし、
腰痛も起こりにくいですよ」
そんなことを幾度も繰り返し言い伝えるのも手ですが。

でもそれと同時に、
「10年後どうなっているか一緒に考えてみましょう」
と告げてみると劇的に新しい動き方を受け入れる人がいます。

短いスパンで考えれば、
長年培ってきた体の使い方のパターンを容易に改変できません。
徐々に不具合を感じたりよりよい動きを模索して変えること、
その繰り返しで変えていくものしか『身につかない』のです。
一時的に受け売りをしてみても、
長期的にはよい成果はでにくい。
自発的な種まきがあって芽吹くものです。

10年後、どうなっているか考えるとき。
整体的な施術を受動的に受けることで、
ケアするよりも効率がいいことに気づきます。

意識的に姿勢をコントロールする、
歩き方をコントロールすることはわずらわしいもの。
しかしそれが構造的に自然な力の流れを形づくれば、
疲労も少なくなります。
それを数週間続ければ、
肉体的な変化を感じはじめます。

『それを10年続けたら、そのときの自分をイメージしてください』
そのような想像力を味方につけます。

うまくそのイメージをつかめた人は、
一本の道が見えるように感じ始めます。

老子は、「人の命は我にあり、天にあらず」といっています。
人の命は天からの贈り物だが、その寿命はわれわれの心次第で変わる。
健康寿命を長くするためには心がけ次第ということですね。
未来の健康に対して長期的な展望を持てば、
よりよい将来を作り上げて生きたいものです。
今の自分にその選択権があります。

そして体の使い方によって発生する不具合は、
ある程度、『計算』できます。
カイロプラクティック関係の医学的な専門書を紐解けば、
不具合のある体の使い方をすればどうなるか?
10年後のイメージも、リアルになるはずです。