喉が渇いたときだけ水が欲しくなる


母の事で。


数日前『右側のひざ上の太ももが痛い』という。
昨夜は『右手の肩が痛い』と訴える。


母の年齢は72歳。
常にハードに動き続ける事を信条にしています。
だから痛いところ筋肉疲労による痛みなどは、
若い者でも生じておかしくないほど動いています。


だが状態としては上半身に常に力がはいり抜けないタイプ。
この体型は心臓および呼吸器に不安を抱えます。
そのことについて母には幾度も伝えてあります。


何度言っても『へぇ〜。そうなの!知らなかった』
と新鮮に受け止めている。--1
毎度毎度なのですが、
飽きずに頑張ります。


ですが痛みが生じているときは違います。
本人もまた真剣になります。
痛いのは誰でも嫌ですから。

      • -


そこである程度ワークでケアする事もあるのですが、
つい最近は違います。


脚が痛い、といったときは足の使い方を教えました。
腕が痛い、といったときは腕の使い方を教えました。


各々40分程度の時間をかけます。


そして脚の使い方を覚えたときには、
いつもより歩く速度が速くなったと驚きます。
実際に足のふくらはぎなどが柔らかく変わっています。


腕の使い方を覚え、
『曲がらない腕』を身につけてもらったとき。
腕に力を入れても呼吸は楽で肩が上がらない事に気がついてくれました。
曲がらない腕とは。
上体を起こし腕を前に突き出した姿勢をとってもらいます。
その腕を上からぐいっ!と押すやり方です。
最初は『へなへなへなっ』となっていたが、
広背筋と肩甲骨の動きと背骨の伸張力をうっすらわかりだすと、
私の体重をかけても曲がらなくなりました。
このときの感覚を脳にインプットしてもらえれば、
腕の使い方を修正していくきっかけとなるはず。

      • -


砂漠で喉を潤す水は、
誰でも喜んで受け取って飲んでくれます。
ですがプールの中に潜る人に水を飲ませようとしたら、
煙たがられます。


十分足りていると感じていれば、
もう欲しくはないのです。
水や食べ物やお節介も。


学ぶ側の理論を優先しなければ、
議論は空回りするばかり。


『あなたにはこれが足りませんから』といわれても、
自分で足りてると考えていれば受け付けないのです。
周りは辛抱強く温かく見守るしかありません。


ですが『水が足りない』と困り始めたとき、
美味しく水を飲んでくれます。


学ぶ側の姿勢が整いました。
教えることに集中できます。
すると飲み込みが速い。


72歳でも20Kg程度の瞬間圧をかけられても、
平気な顔が出きるまで『学びとれる』ました。

      • -


ただ疑問が起こるかもしれません。
『なんで施術をしてあげなかったの?』と。


施術をしても腕の使い方などを学ばなければ、
だめなんです。
たとえば太極拳合気道を究めた老人はなぜ健康と体力を維持できるか?
そう疑問を持てば答えは簡単にでるでしょう。


『体の用法』というものがあり、
いかに体に負担を強いないで活かして使うか?
その技術を研究する事自体が技を磨く事です。
技を磨く過程で体の用法が身につき日々実践。
体を楽に合理的に活かす技術を究めています。


彼らの健康と体力維持の秘密の主要部分です。


それにより加齢して体が衰える速度に、
体を活かして使う技術力が勝りました。
この点、気を引き締めて対応すること。


そこに驚きとともに、
明るい未来を抱けるでしょう。


このたび母には、
中国武術合気道でおこなわれる腕や脚の用法の一部を伝えました。


体を使う技術に関心を持ってもらいたかったからです。


「プールの中にいて水はもうたくさん!」
と言っていた自分が、
「もっと水を飲まなくては。喉が乾いていたんだ」
と気づいてくれれば成功です。


がんばってほしいです。