私が知人の施術者の紹介をお断りする理由のひとつ


街中では整体院や整骨院など多くの施術院が増えているので、
通常ならばそちらへとお客様が流れていく。
新店舗は店内も美しく感じもよいところが多い。
接客も好印象を与えるようなスマートなものです。


なのに幸か不幸か私の知り合いのうちでも、
腕のいい施術者は以前と変わらないか
むしろより多くのお客様が訪れている。


そのため互いにお客様を紹介しあうと、
「うちはいまもう新規のお客様は受けられないの」と、
その先生の誠意ある施術の末の疲れきった体が訴える。


ときにそんな施術者は自分のエネルギーを使い果たし、
若くして志半ばで死を迎えるものもいる。


伝聞でそのような諸先輩方の話を聞くこともあるし、
実際に付き合いがあった氏もそのような死を迎えた。


命がけで勤めるという言葉は大げさではない。


「死に至る前に自分で治せ」といわれることもある。
だが施術者も日々学び成長するもので完全ではない。
人への奉仕心が強く一心不乱に突き進むうちに、
自分の身体を整えることは最高の投資という言葉が
二の次へと追いやってしまうことがある。


自分の身体を省みることができずにいたことを
完全ではなかったといわれる。
未熟といわれたりもしていた。


施術家も別段、特殊な偉人でもない。
ちょっと施術知識を持っているだけ。
精神的に強い人間ばかりでもないし、
心身ともに弱さを持ちながら
成長を遂げようとしている日々が続いている。
それは他の職業の方々と変わりないと思う。


私にメールで問い合わせるとき
『知人の先生を紹介して欲しい』とおっしゃられることがあります。
お断りすることがほとんどで気を悪くなさられることも多くあると思います。


要するに、
ぎりぎりの体力までそのひとコマずつの施術時間に投入し、
疲れ果てるまでがんばる先生は相応のお客様が控えています。
それでもうすでに先生の足腰が立たなくなり、
にっちもさっちもいかない悲鳴を聞きますと、
そのような先生を紹介はできなくなるのです。


紹介依頼のお断りをすることは、
お体について不安があって尋ねておられるのですから
協力したい気持ちは強いのです。


ですがたまたま現時点での私が気に入る先生は、
そのような大変な状況を押してがんばっている。
私がお願いすれば引き受けるかもしれないが、
その先生の命を削ることになる。
苦しい。


本当に精進してがんばっていますから。