股関節と肩関節のリリースには関連靭帯も必須

先日、お体の状態について「股関節の変形」と書かれた
お客様のメールをいただきました。


少し詳細に私どもができる股関節部の問題改善のアプローチの注意点を
解説できればと思います。


股関節や肩関節は、
人体のなかでも大きな可動域をもつ球状関節です。



たとえば股関節のつくりをみてみると、
そこには外側から臀部の筋肉に守られ、
梨状筋で外転されたり。
ここまでは理解しやすいでしょう。


筋肉で守られているんだな〜という感じ。


もし股関節に筋・筋膜系の問題があれば、
そこを調整していきます。


確かに分厚いお尻の筋肉群で守られていて、
ここが固まり過ぎたり虚弱していてはうまくない。
私のような筋膜をリリースする手技を使うものは
筋や筋膜部の不具合をみて調整していきます。


ただ慢性化した股関節の不具合では、
筋肉群をリリースしただけでは理想の可動域をかなえるには不十分。


股関節周囲の靭帯に制限があるためです。


もちろん臀部の筋肉群を緩めれば、
それに比例して股関節の自由度は上がるのですが、
股関節周囲の靭帯に問題があれば股関節の関節包という部分が
強烈に押しつぶさたままで関節軟骨が押しつぶされたままです。


この股関節部分にある関節軟骨に遊びがないと
大腿骨骨頭と寛骨臼周囲が詰まりすぎてしまう。



徐々に臀部の硬化し骨と同じほどの硬さに至った臀部筋を
必死に回数をかけつつもリリースしていく。
それも欠かせぬことではありますが、
同時に股関節周囲の靭帯をリリース。


ここをリリースしないと、
靭帯は他の筋肉部以上に骨と同じほどの硬さになり
自然に解けることがあまり期待できないほどとなる。


強烈に股関節周りの血管や神経を圧迫する。
それは足先へ流れる血流量を制限させるし、
逆流した血液が腹部に押し戻されてしまい
女性ならばつらい生理痛にもなりますよね。


靭帯の伸張不足により引っかかって動けない方向もでてしまう。


四つんばいになると大腿骨骨頭が仙骨方向へ押し上げられるようになる。
人間の体も二足歩行をするようになる現在も、
股関節が安定する設計図は四つんばいと同じ。
大腿骨が外転し仙骨方向へ近づくようになる。
そのようにならねば安定した立ち方はできない。


それを股関節周りの靭帯の骨化したような不具合が
股関節を安定した位置へ導けないようにしてしまう。


股関節の不具合を解放するキーのひとつに
「股関節周囲の靭帯」を緩めることというものがあげられるでしょう。


ただ股関節周囲の靭帯を緩めるパワフルな方法は、
これまたテキスト等にあまり掲載されてはいない。
そのように見受けられます。


私自身、試行錯誤してようやくここまでいけたか!
というようになりました。
直接的-靭帯・関節リリースで
関節運動を考えたアプローチといいましょうか。
解くときには当然のごとく私の体重だけでは無理で梃子も巧みに使うし、
圧をかけるときの力のベクトルは5〜6本同時に起こすときもあるので
これは一般の方がまねるのは無理だと思う。


透明な力のベクトルを一点に束ね集めその合力を加圧や削りに使う。


私が手を置いたり添えたりするところや足で接触する箇所も、
計算していろいろと工夫を加えているのです。



兎に角、私がめげるほど施術者に負担がかかる。
股関節がそれほど硬くない方ならば問題ないですが、
それなりに硬いときにはまさに持久戦、耐久戦です。


徐々に磨きをかけねばという課題が残りますね。^-^;



ここまで解けたとき「重要性」を心底実感します。


解く前と後ではこれほど股関節周りだけではなく
腰部の深部にある直接圧をかけて解けないような部位までも緩みだします。


大腿骨の大転子をもって軽く上下等動かせば動き出す。
さっきまでは強い力をかけてもびくとも動かなかった。。。



またここまで股関節をもとにお話をしてまいりましたが、
肩関節も肩関節周囲の筋肉の硬さだけではなく靭帯部も
しっかりとリリースしておきたい。


それはまったく股関節と同じような理屈となります。


ただこちらのほうは肋骨や鎖骨などの骨折しやすかったり
頚椎部分のような繊細でダメージに弱い部位があるため
リリースの仕方には注意を要します。


リリースの労力は股関節を解くときの1/10程度。


肩関節のリリースも、
かなり画期的なことがおきていると思います。


最後に、
股関節がずれているなどの不具合があれば、
肩関節にもその不具合に比例した問題が内在していることがほとんど。


股関節がずれれば上半身がねじれ
それを肩関節がねじれを正すほうへねじって修正を加えている。
肩がずれて右肩が前に出て胴がねじれれば
それを打ち消そうと骨盤が逆にねじられてバランスをとろうとする。


無意識にそうしてくれている。


なので肩関節と股関節の問題量は比例するんでしょうね。