施術をするときに、色々と工夫をこらす。
そのひとつに道具の利用があります。
タオルを重ねて圧をかけるポイントに設置する。
そのときには適宜、タオルの形状を変えて接するエリアを最適にし、
タオルの折り方で硬さや高さを決めていきます。
そのように重ねたタオルの上から圧をかけるわけです。
ここまでは簡単に真似ることができるところでしょう。
ですが表面上には現れることのないノウハウも、
その奥にはいくつもあるのです。
施術をする理論が解られても、
自ら緻密に長年かけて積み上げた多量に渡る背景知識があってのこと。
それがなければ容易には真似できません。
圧をかけるとき施術者は体を割って使っています。
ただしこれが難しい芸当であることは確かですし、
ここができないと施術成果が低減するだけでなく
安全性が犠牲になるでしょう。
圧をかけるとき単純な圧をかけることもあります。
ですがたいていは直線的な圧をかけてはいません。
力のベクトルを計算したうえで圧はかけられてる。
筋膜を緩めるには単純な圧では上滑りしてしまうときがありますから。
狙った筋膜の硬化した部位を逃がさないように巻き取るような接触を
実現する必要も出てきます。
そして複数のタオルを重ねて利用することで、
強力なトルクをかけた圧を生み出せるのです。
そうすることで施術の成果は、
当社比ですが飛躍しました。
友達の施術者が、
数年掛けても解けないというお客様の部位を
私が代わりにリリースしたときに、
するすると解けていきました。
ちょっと狐につままれたような感じだったようです。
ですがもちろんそこにあるのは一切が奇跡ではない。
単純な物理の法則を使い、
その場面に対応する力を創りだしただけです。
何度でも何百回でも再現できるようなものです。
ですが私も2年前ならばその友達の施術者がどうしても解けない
という迷いの縁でさまよっていたときの心境がわかります。
当時の私の力量では恥ずかしながら解けなかっただろう。
何が欠けているかが解らねば解法のロードマップがない。
私は毎回ごとの施術でひとつでもふたつでも新たな施術アイデアを得ようと
取り組んでいます。
そう考えて毎回の施術で必ずいつくかのアイデアのヒラメキを得ています。