押してダメなら、引いて! それから平行圧で引っ張ってみましょう! 

私が筋膜の癒着部を解くために施術で使う圧の種類{陽圧・陰圧・平行圧

 

陽圧陰圧平行圧.jpg

 

あまり聞いたことがない単語ですが、これから少しずつお話していきますね。

 

 

外圧は刺激を受ける前にリアルな想像ができる「既知の圧」です。
リアルな想像がわくものに対してカラダは対処を準備できます。
既知の圧に対しては、少なからず皮膚抵抗や筋肉プロテクターによりブロックされる傾向にあります。


対して陰圧(皮膚を引っ張り上げられる圧)は「未知の圧」です。
どのような対処をカラダがとることでその刺激を避けられるか。
正解が見出せません。
自然界で陰圧を受ける経験がないため、
どのような刺激の質だったかも想像がぼやけています。
リアルな想像ができません。想像できないからわからないのです。
だからカラダにどのような反応を起こせばその圧に対抗できるかの指令はない状態です。
刺激に対して準備ができないどころか、対処法を探るため未知の刺激を観察し始めるのです。

施術は「既知の圧」を採用することもありますが、「未知の圧」の採用に鍵があります。


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まずは一般的に用いられそうな外圧刺激から


野球をしていてボールがカラダに当たったとき、その衝撃的な刺激から身を守る。

ボールがカラダに当たる.jpg
ボクシングで、相手ボクサーに腹部を殴られたとき、皮膚や腹直筋を緊張させて硬度をあげて内臓を守る。

プロテクター作用は、特に衝撃を受けることがわかっている意識があったとき、しっかり利く作用です。
でも思わぬ段差に気づかないでコケて尻もちをつくとっさのときさえ、
地面につく寸前でお尻の皮膚を固めて自己防衛をはかります。
反射的に外部からの刺激から体の内部にダメージをつたえないようにすることで、
私たちは体を守るようできています。

皮膚や筋肉は外圧または外部からの衝撃から身を守るという
「プロテクター(外部刺激からの保護作用)」プログラムが組まれています。


だから人や他の動物も含めて、強烈な圧を外部より身体内部へ向けて加えられても、
皮膚抵抗や筋肉を無自覚的に緊張硬化させて内部を守る作用により、
私がお客様へ加えた圧の大部分は弾き飛ばされているわけです。

一般の方が圧と聞くと、この効率の悪い圧法を思い起こすと思います。

施術者としてはもっとも筋膜リリースをなすには効率が悪い圧で、
この圧を回避する別法での対処の追求。
これが施術の技術上の研究テーマとして、多くを占めます。

 

外部から体の内側へ加えられた刺激として、
陰陽で言うところの【陽(プラス +)刺激・陽圧】といわせてください。

 

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対して。
陽圧より、ちょっと賢い圧のかけ方もあります!

 


カッピングのような皮膚にカップを付けて吸引して皮膚を持ち上げる圧を加えたとき。
それも身体に対して加えられた外部刺激ではあります。

ですが元々自然界では皮膚を吸引されるような刺激がほとんどありません。
タコの吸盤に吸われるくらいしかとっさに思いつきません。
ほんとうに稀な刺激なんです。
人間も、そして他の生物でさえも、
そのような稀な刺激には、わざわざ反射行動を起こしてまで耐性を付けるような脳への負担のかけ方はしないのです。
外部圧をはじくよう自動救済装置のようなものを常時アイドリングさせているので、とっさのときに働くのです。
それがめったに起きない吸引刺激に対して備えるためエネルギーを使い続けるなんて経済的じゃありません。

吸引刺激に対しての抵抗をする反射的なプロテクター行動をとるプログラムは組まれていません。
皮膚をつまんで骨から遠位へと引き上げるという刺激に対しても同様です。
ほぼほぼ無抵抗に、引き上げられる感じでしょう。
持ち上げられた初期には意識的に皮膚を緊張させて多少抵抗できても、
30秒もしないうちに引っ張り上げられてしまうでしょう。

外部から体の内側へ加えられた刺激ではありますが、
吸引圧または引っ張り圧のような身体に対して持ち上げられる圧の場合。
陰陽で言うところの【陰(マイナス -)刺激・陰圧】といわせてください。

 

陰刺激は筋膜をリリースするとき応用すると、いい成果がでやすいようです。


私がホットストーンを筋膜の癒着部分に当てて「 トントン! 」と叩くとき。
お客様は叩かれた体の奥へ伝わる刺激でしこりが解けていると考えている人もいるでしょう。

ですが私の意図は違います。


筋膜が癒着した部位の端っこに、筋膜同士を剥がすための2枚の紙(こちらの前のブログ内容参照願います)のはがれ目のようなところを作りたいのです。
うまくいけばはがれて引き離せるような目になると見込んだ部位にホットストーンを当てます。
狙いを定めて3ミリ単位以下の狂いを抑えてホットストーンを叩いて刺激を加えるのですが。

でも、もし私がお客様のカラダへと、ガツンガツンと身体内部へダメージが与えられる圧を加えてていたら。
どういったことになるか考えてみてください。

 

それは体の筋膜の癒着を解くどころか、体の内部炎症を改めてこさえつづけるようなことになります。

 

でもそこまでのことがおきることがなく、筋膜部位はリリースが起こるのです。

実は、「トントン!」とインパクト圧を与えたときのポイントは、
体内内部へ加える陽圧を抑え気味にして(残念ながらこれがゼロにはならないのですが)、
体外へ跳ね返る陰圧を起こすような圧をつくることで、患部の癒着部を解くようにしているのです。
これはインパクト圧を加えるときに使っている私のツールが、その秘密を握っています。
なにかリリースに役立ついいものはないかと、片っ端から試したときに見つけたのです。

 

「陽圧」で、ガンガンと強めの圧をかけて解くこともできます。
ですが、それは私どもとしてはとるべき手法ではありません。

なぜかといえば、陽圧による刺激の特徴が皮膚抵抗が甚だしいため、
内部の筋膜の癒着部まで刺激が通りづらいし、
プロテクター筋以下にあって無理やりに改変された組織も、
早々に以前の施術前の状態に戻すように「回復作業」をします。
だから施術前の状態への戻りが速攻で起きるのです。


お客様がそのような施術を受けられたとき。
施術直後は楽になった気持ちを味わえたとしても、すぐに戻ってしんどくなるはずです。
施術費を払った甲斐がない。


それに対して「陰圧」は、皮膚抵抗がかからないためか。
「陰圧」で調整をしたときは施術後の改善状態が長く維持するという特徴があるのです。
なので、この手を使わないわけにはいきませんよね。

 


たとえば、スティック状のホットストーンを2本持って胸鎖乳突筋を緩めたいなら?

それらを使って起始・停止を同時刺激をして緩める使い方もします。
それも正解です。

ですがもし胸鎖乳突筋の筋腹部分が斜角筋と交わり、そこがきつく癒着が進んでいるときは。
スマホ首の人たちのことですね!
そのようなときは、斜角筋と胸鎖乳突筋の隙間に一本の適温加熱したホットストーンを設置固定して、
もう一本のホットストーンで胸鎖乳突筋を頚椎から遠位になるように引き上げるようにします。

これは首筋は人を殺せる急所ですから、首の奥へ向けての加圧は避けたいので陽圧をかけられないのです。
なのでうまく陰圧として引っ張り持ち上げていくような刺激ではがしていく。
すると陽圧で喉に押し付けるような圧をかけても一切解けなかったところが、
徐々に、着々と緩みだしていくのです。

このときにもちいるホットストーン。
それがいただいた「白かっさ」が使い勝手がいいんじゃないかなとみています。

白かっさ3.jpg

(※ 喉の陰圧は、やり方が相当に繊細かつ難しい個所です。不用意にはなさらないでください。)

 

 

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他にも、さらに使い勝手のよい圧があります。

私の今の施術では、7割がたがこれから申し上げる圧をかけることで構成されています。

実用的なのです。

やり方の概要を申し上げますと、
たとえばですが、、、一定の圧(たとえば100g)を加えます。
そして一定圧を維持し続けたまま、筋肉の繊維の流れに沿って特殊な平行圧をかけるやり方です。
ボウエンテクニックというボディワークで習う、ムーブというテクニックを応用したものです。

そのときの手の動きは加速運動にしてはいけません。
等速運動でおこなわなければリリースが起きにくいでしょう。
それどころか加速運動での平行圧は筋組織にダメージを残すかもしれない。
安全と効果向上を考えて等速運動での圧をかける練習をすることでしょう。

他にもいくつかポイントがありますが、ボウエンテクニックを学んだときの規約のため、
お話しできないので申し訳ありません。残念です。。。
もう少し私らしいやり方にアレンジを加えて独自の様式にできたところまでいけば、
お伝えしても大丈夫じゃないかなとは思うのです。


この等速一定圧運動でのリリースをベン石温熱器で背中や他、大きな筋肉を緩めるときに、
最大の武器になっています。
リリースが陽圧の2~5倍も稼げる感触があります。

普通にベン石温熱器で患部をこすって緩めるだけでも、確かに解けることは解けるんです。
ですが、それでは意図した筋膜の癒着部位にダイブして乖離させることはできないのです。
精密なアプローチができてこなければ成果がだせない緻密な作業をする場も、
身体にはたくさんあって。
そのようなところへの精度を高めてくれております。


現在の私はボウエンテクニックの施術をできますという看板は掲げてはおりませんが、
もしボウエンテクニックの講習会を1年間通っていなかったら、
トントントンなどの陰圧止まりだったと思います。

それでは筋膜の癒着をはがすベン石温熱器の活躍は、半減しています。

 

かなりの受講料と学習時間や期間をかけましたが、
間接的にお客様へとその成果が還元することができて、うれしいです。