骨盤と胸郭の相関

骨盤が前傾しすぎていると、
大腿骨が外旋できなくて股関節のハマリは浅くなります。


股関節のハマリが浅くなっていると、
どうしても大腿直筋などの太もも前側の筋肉が硬化して、
同時に前脛骨筋などのすねの前側の筋肉が緊張し続けます。


そうなると大殿筋や中殿筋などの臀部の筋肉の緊張が抜けなくもなります。
慢性的な緊張はその部位の筋肥大と硬化による機能低下を引き起こします。
そのようなときには膝を自らは伸ばしているつもりでいても、
たいていは曲りがあって膝周囲の内側側副靭帯や外側側副靭帯、
それに膝裏の十字靱帯などに緊張を強めてその周囲に癒着を起こしてしまう。
また大腿筋膜張筋や腸脛靱帯などを過酷に使い過ぎて炎症をもっている。


そのようなときには単純なことなのですが、
股関節が浅くはまっていて
大腿骨と腸骨の間の力学的な密着度が弱いため、
両者の骨同士で支える力の受け渡しがうまくいかない。
股関節のハマリが浅いと骨盤が傾斜して胴体が倒れ落ちている状態。
かなり重いものを骨で支えられない部分が出てきてしまうのです。


大腿骨より上がぐらついてしまう状態を呼び、
そのグラつきを低減させようとして、
臀部筋や太ももの前側の意識でコントロールしやすい筋肉部分が
常に過剰に使い続けられてしまうことになる。


このようなときには臀部等に深いしこりが入りますが、
そのしこりを解いても骨盤を前傾させて使おうとする
運動神経が学習したパターンを手放さないとだめです。
いつまでたっても埒があかない。


・・・。



というところまでは気の利いた骨盤に関連した本を観れば読み取れるでしょう。


ですがもうちょっと広い視点で人体全体を観て語りましょう。

骨盤だけを観るのではなく、
骨盤と胸郭の関係を観察するのです。
この両者はバランスを取り合う構造上の関係があるため、
どちらかが前傾したらもうひとつが後傾して
バランスを修正するようにできています。



この両者を同時に揃えると無理なく脊椎を立てるラインが現れるのでして、
どちらか一方のみをきっちりと調整して合わせても微妙なときがある。


骨盤をいくら垂直に立てようと試みても
未調整で前傾または後傾した胸郭に引きずられてしまう。
そうなるとほんとうに美しく整った脊椎のラインは生まれません。


もしぎっちりと骨盤を垂直に立てようとすれば、
胸郭部が骨盤が垂直に強く矯正されたことに呼応して垂直になろうとする。
だがそれは一時的なことで、
前傾等がきつい方ならば数分もそのままにしてはおれないでしょう。
骨盤部分のみしか着目していないと、
ここで迷宮に入ってしまうでしょう。


ですので、
前傾した骨盤を垂直に立てるためには、
骨盤部位のみに目がいっていては足らない。
後傾した胸郭を垂直に立てることもセットで修正をかけること。


そうしていくことが理想状態への早道。

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それに胸郭と骨盤の関連性についての例ですが、
胸郭の形状の異常が骨盤内側の腸骨筋部分の引き連れに影響をあたえることもあり、
そのようなときにいくら腸骨筋を緩めても多少の改善に留まる。
だが胸郭の異常を矯正し修正した瞬間に、
さっきまで痛かったような腸骨筋部分の不快感が嘘のように消えている。


そのようなことは見方がわかれば当然のことですが、
わかっていないと不思議に思えてきますよね。
当てずぽうなことをしているわけではなくて、
理路整然と説明できる。

何度でも再現できます。


施術をするときには、「人体を視野広く観る」ことがポイントです。
そのような本にもかかれていない程のノウハウをどれだけ蓄積するか。
それが代替不可能な技術者として価値を高めることとなるのでしょう。